流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

歴史・履歴への許可証

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昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー
 
 
日本民話

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きっちょむさん(漢字では吉四六)は、
大分県大野郡野津町に実在した人物で、
酒造業をいとなんでいた
初代広田吉右衛門であるとされています。



餅屋の値段

 

むかしむかし、
吉四六さんと言う、
とてもとんちの出来る人が
いました。



ある日の事、吉四六さんは、
馬にたきぎを積んで町まで売りに行きました。
「えー、たきぎはいらんかねー。
たきぎはいらんかねー」
そう言って売り歩いていると、
餅屋の主人が店から出て来て言いました。
「おい、お前が引いているのを全部買いたいが、
値段はいくらだ?」
吉四六さんは、てっきりたきぎの値段を
聞かれたのだと思ったので、
「へえ、ありがとうございます。
全部でちょうど、百文です」と、答えました。
それを聞いた餅屋の主人は、ニヤリと笑うと。
「百文とは安いなあ。それ、代金だ」
餅屋の主人は吉四六さんに百文を握らせると、
たきぎを積んでいる馬ごと
引っ張って行こうとするではありませんか。
吉四六さんは、びっくりして、
「こら、何で馬ごと持って行くんだ?」と、言いましたが、
餅屋の主人はすました顔で言いました。
「わしは、お前が引いているのを
全部でいくらだと聞いたんだ。
するとお前は、全部でちょうど百文だと答えた。
だから馬ごと持って帰っても、
文句を言われる筋合いはない」
「し、しかしそれは・・・」
「代金を受け取ったからには、この馬はおれの物だ」
「・・・・・・」

こうして餅屋の主人に、たった百文で
馬を取られた吉四六さんは、
(そっちがその気なら、こっちにも考えがある)
と、仕返しの方法を考えました。
さて、その日の夕方、餅屋の主人が店で
忙しく働いていると、客の一人が
餅屋の主人に尋ねました。
「ほほう、いい店だな。いくらだ?」
聞かれた餅屋の主人は他の客に餅を渡しながら、
後ろを向いたまま答えました。
「ああ、二十文だよ」
「安い! 買ったぞ!」
「はい。ありがとうございます」
お金を受け取った餅屋の主人が、
ふと、その客を見てみると、
その客は吉四六さんでした。

餅屋の主人は、怖い顔で吉四六さんを
にらみながら言いました。「ややっ、吉四六さんか。
餅を買って機嫌を取っても、馬を返してはやらないぞ」

しかし吉四六さんはニコニコ笑うと、
餅屋の主人に言いました。
「いや、あの馬を帰してもらおうとは思わないよ。
それよりも、早くこの店を出て行ってくれるかな。
この店は、おれが二十文で買ったのだから」
それを聞いた餅屋の主人は、びっくりです。
「馬鹿を言え! おれがいつ、二十文で店を売った!」
「売ったよ。
おれが、『いい店だな。いくらだ?』と、言ったら、
お前さんは、『ああ、二十文だよ』と、言って、
代金の二十文を受け取ったじゃないか。

代金を受け取ったからには、この店はおれの物だよ」
「ああ、しまったー!」
それから餅屋の主人は吉四六さんに土下座をして謝り、
吉四六さんに馬と山盛りの餅を渡す事で、
どうにか許してもらったという事です。


おしまい


麦の粉



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから。



時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
きれいなお風呂・宣言



お風呂物語