流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

歴史・履歴への許可証

歴史・履歴への許可証

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


夢はでっかく、根はふかく。
花を支える枝 枝を支える幹 幹を支える根 
根はみえないんだなあ


Kobanasi_3


『キツネの仕返し』

むかしむかし、村人から家族の病気回復の
お祈りを頼まれた山伏(やまぶし)が
村へ出かけて行く途中、川の草むらで
一匹のキツネが昼寝をしているのに出会いました。
「よく寝ておるな。・・・よし、おどかしてやれ」

山伏はキツネの耳に、ほらがいを当てて、
「ブオーッ!」と、一吹きしました。
「コンコーン!」驚いたキツネは
飛び上がったはずみで、川に転げ落ちてしまいました。
それを見た山伏は、お腹を抱えて大笑いです。
「ワハハハハッ。これはゆかい」

さて、山伏は間もなく、お祈りを頼まれた
家に到着しました。
すると主人が、落ち込んだ顔で出て来て言いました。
「残念ながら、おいでいただくのが一足遅く、
病気の女房が死んでしまいました。
人を呼んで来る間、留守をお願いいたします」
「いや、それは」
「では、頼みましたよ。女房は奥の部屋です。
せめて女房が成仏出来る様に、
お祈りの一つもあげてください」

主人はそう言うと、どこかへ行ってしまいました。
「何とも、嫌な事を頼まれたものだ。
だが、仕方がない」山伏が奥の部屋に行ってみると、
部屋の真ん中にびょうぶが置かれていました。
そのびょうぶの向こうには死んだ女房が
寝ているのですが、山伏は気味が悪くて
びょうぶの向こうに行く気がしません。

「早く、帰って来ないかな」
山伏が主人の帰りを待っていると、
突然、びょうぶがガタガタと動き出しました。
「わあ、わあ、わあ」山伏が情けない声をあげながら
ビックリしていると、びょうぶがガタンと倒れて、
その向こうから死んだはずの女房が
髪を振り乱しながら近寄ってきました。

「あなたが、もっと早く来ていれば、
わたしは死なずにすんだのに。・・・うらみますよ」
恐ろしさに腰を抜かした山伏は、
後ずさりしながら死んだ女房に謝りました。

「すまん、おれが悪かった。謝る。
謝るから、もう近寄るな」
そして、どんどん後ずさりしていった山伏は、
急に床がなくなるのを感じて、
そのまま川の中へドブーン! と、落ちてしまいました。

「あれ? ここはどこだ?」
辺りを見回すと、山伏が落ちたのは
キツネをおどかした川の中です。
さっきまでいた家は、どこにもありません。
山伏は、ようやく気づきました。

「そうか、おれはさっきほらがいで
おどかしたキツネに、仕返しをされたのか」
その頃、山伏にお祈りを頼んでいた家の人たちが、
山伏が来るのが遅いので迎えに出てきました。
そして川の中にいた山伏を見つけて、
山伏から事情を聞いた家の人たちは、
「キツネに化かされる様な山伏では、
お祈りをしてもらっても無駄だ」と、言って、
山伏に頼んでいたお祈りを断ったそうです。

おしまい


朝顔 ・東京都の民話』




『百七十歳の九尾キツネ・埼玉県の民話』

むかしむかし、あるお寺の小僧さんに
キツネが取りついて、突然こんな事を口走りました。
「我は、この寺の境内に住んでおるキツネじゃ。
この間、旅に出てある村の庭先にいた
ニワトリを取って食ったところ、
村人たちに追われてひどい目にあった。
何とかここまで戻ってきたが、
今年で百七十歳になるため、もう体が言う事をきかぬ。
どうか我を神としてまつって、
毎日供え物をしてくれぬか」

その話を聞いて、和尚さんは怒り出しました。
「百何十年も前から、この寺の境内に
住み着いていると言うが、わしは今まで
お前の事など聞いた事がない。
大体、年老いて食べるのに困ったから、
毎日食べ物を供えてくれとは、何たるものぐさじゃ。
すぐに小僧の体から離れて、どこかへ立ち去れ!
さもなくば、お前をたたき出してやるぞ!」

和尚さんは鉄の棒を持ち出してきて、
すごいけんまくです。
ところがキツネの方は、落ちつきはらって言いました。
「うそではない。百年以上も前に、
我を見たという話を聞いた者が必ずいるはずじゃ。
証拠を見せてやるから、年寄りを集めてみよ」

そこで和尚さんは庄屋をはじめ、
村のお年寄りたちをお寺の境内に呼びました。
そしてキツネの言う証拠を、
見せてもらうことにしたのです。

「我を神としてあがめ、供え物をしてくれれば、
これからのち、火災、干ばつ、
病気などの心配はいらぬぞ。
それでは、証拠を見せてやろう」

キツネはそう言うと小僧さんの体から離れて、
九本の尻尾のある正体を見せたのです。
するとお年寄りの間から、驚きの声が上がりました。
「おおっ! これは九尾ギツネじゃ。
子どもの頃に聞いた事がある」
そのむかし、村にはこの九本の尻尾を持つ
九尾ギツネが住んでいたのです。
そこで和尚さんと庄屋さんたち相談をして、
お寺の門前にある小山の南側に
小さな祠をつくって、この九尾ギツネを
神としてあがめる事にしたそうです。


おしまい


Mituo
人の為 と
書いて、
いつわり(偽) と
読むんだねぇ 

 
 
誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば、言い訳になるから……。


時は絶えず流れ、
  今、微笑む花も、明日には枯れる