流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

 昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、

 

  韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。



韓信=7
鐘離眛は、現実の良い面しか見ない傾向がある。
覇気はあるが、確固とした
自分の意志というものが足りないように感じられた。
韓信は学問、武芸とも能力は非の打ち所がなく、
幼年ながら兵書の内容は暗誦できるくらいである。
しかしそれを生かすために自ら行動する
勇気に欠けると感じられた。
子供とはいえ、人はさまざまなものだ、と
栽荘先生は二人を見る度に思うのである

韓信は虚勢を張る、ということがなかった。
できることとできないことを冷静に判断し、
自分の将来についても夢想することはない。
同じ年ごろの鐘離眛などには、韓信のこのような姿が、
実につまらない男にうつるのである。
男として生まれたからには、もっと気宇壮大であるべきだ。

信、おまえは意気地がなさ過ぎる。
家宝の剣が泣くぞ」鐘離眛のいう剣とは、
韓信の父が城父より持ち帰った、あの長剣のことである。
韓信はこの剣がむしょうに好きで、
幼いころは背中に結びつけて持ち運んでいたが、
ようやく背丈が伸びてきたこのごろは、
腰に帯剣するようにしている。
しかしまだ充分に成長していないので、
長すぎる剣の鞘の先が地面にあたり、
がちゃがちゃと金属音を奏でることが多かった。
このため韓信が通りを歩くと、
姿が見えなくても人々は音でわかったといわれている。

しかし韓信の母は、息子が
剣を持ち歩くことを好まなかった。
「大切なものなら、大事にしまっておきなさい。
見なさい、鞘の先が傷だらけではないですか」と、
小言を繰り返すのだった。
これに対して韓信は、父親ゆかりの剣を持つことで、
父と一緒にいる気持ちになれる、などとは言わない。
彼が言うのは、外を歩いていると
何が起こるかわからない、
自分は年若く腕力も充分ではないので、
いざというときには剣で対応するつもりだ、
ということである。
どんな価値のある剣でも大事にしまっておいたのでは、
その価値を発揮できない、
剣というものは人を斬るためにあるものだ、と
淡々と語るのだった。

息子の考え方に危険を感じた韓信の母は、
父親がどんなに温厚な人物であったかを話して聞かせ、
父が剣を持ってきたのは、息子に
人を斬らせるためではないと説明した。

韓信は言った。
私はもう何年もこの剣を持ち続けていますが、
未だかつて人を斬ったことはありません。
どうしてだかお分かりですか。
私がこの剣を持ち歩いていることで、
私に危害を加えようとする者がいないからです。
剣を持つことで人を斬らずにすむ。
父上がこの剣を私の護符にした、という意味が
今ではよく分かります」

母は、おまえのように
綿もはいっていない服を着た者を襲っても
何も出てこないことがわかっているから、
人はおまえを襲ったりしないのだ、と言い、
大げさに物事を考えずにもっと
人を信用するものだ、とさとした。

後年になって韓信は母親との会話を
悔恨の念を持ってよく思い出した。
あのとき守るべきは自分の身などではなく、
母親の身だったのだ。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
花に例えた古い歌
 今さら聞いても、歌っても、 
 何処に置いても、飾っても
  花も歌も、枯れてゆく....
  人生、絵模様、万華鏡...



安達明「女学生」



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





P R
きれいなお風呂・宣言
お風呂物語