流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想……

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

知られざる命 
Author: 壇次郎


北海道を舞台に、歴史に翻弄された
小さな命がありました。
太平洋戦争から近代に至る出来事に
感動される物語です。
誰もどうすることの出来ない悲しい事実が
ありました。
命の大切さを考えさせられます……  


【影】 
泰蔵は魚河岸の仕事をしながら地元の高校を卒業し、
建設会社に就職しました。そして、土木技術者として
北海道各地のトンネル工事に従事する様になりました。
泰蔵がそこで聞いた事は、
かつて行われていた地獄の様な過酷な労働の話でした。
ある日、泰蔵は、長年に渡ってトンネル工事に従事している
現場所長の話を聞いていました。
一緒に昼飯を食べ、お茶を飲んでいる暖かな日の事でした。
所長「どうだ、三好・・・、仕事は慣れてきたか?」
泰蔵「はい、おかげさまで・・・。
工夫たちも良く働いてくれますから・・・」
所長「そうか。でも、昔の工夫たちは
かわいそうだったなぁ・・。
みんな、『タコ』と言って、無理やり連れて来られたり、
借金のかたにされたり、辞めたくても
辞められない連中だった。
怠けている訳でもないのに、
よく、見張り番に丸太で殴られていたよ。
飯も食わせてもらえんから、みんなフラフラさ。
泣いている連中もいたけど、その内、
泣く元気も無くなっていったよ。
何人死んで逝ったことやら・・・」

トンネル工事の土木作業員は、皆、
下請け会社の労働者でした。
朝鮮半島や大陸から強制的に連れて来られた人、
甘い話に騙されて応募して来た人、
借金の為に人身売買させられた人等でした。
労働者は常に監視され、満足に食事も与えられず、
監禁状態のまま重労働を強要されていました。
体調を崩したからといっても、
休みなど与えられることはありません。
もし、逃げ出しでもしたら、大勢の人間で
しらみつぶしに捜索が開始されます。
中には、何日も暗い山中を逃げ回り、
無事に逃亡出来た者もいましたが、
逃げ出した殆どの労働者は捕まり、
表現出来ない程の酷い目に合わされました。
そして、多くの人々が過酷な労働や仕打ちに耐え切れず、
知らない土地で命を失っていきました。
彼らは決して埋葬されることも無く、
どこにも名を刻まれること無く、
この世から葬り去られました。
中には『人柱』と言って、
生きたままコンクリートの中に埋められたとの証言も
数多く存在しています。
北海道の橋やトンネル、ダムなどは、
彼らの犠牲の上に建っていると言っても
過言ではありません。
この様な非人間的な現象は、「タコ部屋」と称し、
敗戦まで北海道の山奥の工事現場にて
多く存在していました。
当時の警察も、行政も、見て見ぬふりをし、
それは終戦後もしばらく続いていました。
昭和二十一年八月、現在の札幌市南区真駒内には
進駐軍が駐留していました。
その施設に関係して土木工事を請け負っていた
事業者の飯場にて、土工夫の不法監禁、
虐待事件が発覚しました。
それをきっかけに、GHQ軍政部が
タコ部屋の中止命令を出しました。
そして、工事現場では次第にGHQの
監視の目が厳しくなった上、重機の普及も進み、
過酷な強制労働は次第に消えていきました。
それでも監視の目が行き届きにくい
奥地の工事現場や鉱山では、
昭和二十年代後半まで、「タコ部屋制度」が
存在していたと言われています。
北海道の多くのトンネルでは、
剥がれ落ちたコンクリートの跡から
人骨が発見されることがあります。
かつて、峠を走る線路脇からも
たくさんの人骨が発掘されました。
それでも、しばらく、これらの事実が
北海道開拓史に記されることはありませんでした。
よく、『人柱』のある橋の橋脚やトンネルの壁面には、
うっすらと人型の影が
浮かび上がっていると言われています。
北海道の各地には、こんな強制労働の
犠牲になった人々の為に、鎮魂の碑が建てられ、
毎年、多くの方々によって供養されています。

続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る

歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


美空ひばり 『民謡 相川音頭』
新潟県民謡


(ハイ ハイハイ)
どっと笑うて 立つ浪風の
(ハイ ハイハイ)
荒き折節 義経公は
(ハイ ハイハイ)
如何しつらん 弓取り落し
(ハイ ハイハイ)
然も引潮 矢よりも早く
(ハイ ハイハイ)




昨日という日は歴史、
 明日という日はミステリー、
  今日という日は贈り物、

時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる