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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-84

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 
 

漢の韓信-84


韓信たち先鋒部隊は抵抗もそこそこに後退し、
川岸まで追い込まれたところで味方の軍と合流した。
「諸君!」ここで韓信は息を切らしながらその長剣を抜き、
たかだかとかざして士卒に号令を下した。
「見よ! 前方は敵、後背は川だ! 
怯懦な心で敵に臨めば、諸君を待っているのは死である! 
恐れをなして後退すれば、諸君は川に飲まれ、
やはり待っているのは死だ! 
諸君が生き残るには、前方の敵を撃ち破るしかない」

漢兵たちの間に緊張の空気が充満する。
韓信はそれを断ち切るかのように剣を振り下ろして
命令を下した。「反撃せよ!」
おしよせる趙軍を相手に、漢の兵士は
死にものぐるいになって戦った。
「退くな! 踏みとどまれ!」
死地に追い込まれた漢兵たちは数で
劣勢であるにも関わらず、
意外なことに趙軍の猛攻に持ちこたえようとしている。

「……大軍に細かな作戦などいらぬ。
数で圧倒すればよいのだ」
戦況の膠着状態に苛立った陳余は、
ついに砦で待機する兵たちに出陣を命じた。
この時点で、砦は空になった。

「諸君、もう少しの辛抱だ! 持ちこたえろ! 死ぬな!」
韓信は自らも剣を振るって、敵を切り倒しながら、
味方を鼓舞する。
しかし味方の兵の中には猛攻に耐えきれず、
川に落ちて溺死する者が続出し始めていた。
「退くなと言っているのに!」
彼らを助けてやることはできない。
韓信としては見捨てることしかできず、
ある程度の犠牲が出ることは覚悟の上の作戦だった。
あらかじめわかっていながらそうした、
というのは救われない武将の性(さが)とでもいうしかない。

韓信が、自分には愛を口にする資格がないと言ったのは、
このような自分の行為の罪深さを自覚しているからだろう。
そうした苦戦を小一時間も繰り広げたころ、
城壁の旗が趙のものから漢のものにさし変わった。
例の赤い旗である。

潜伏していた二千の騎兵が空になった砦を占拠したのだった。
これにより、状勢は逆転した。
「砦が奪われたぞ! あれは漢の旗だ!」
兵の声に驚愕した陳余は後ろを振り向き、
さらに驚愕した。そんな馬鹿な。
そんなはずはない!しかし目に見えるのは、
砦からこちらに向かって突入してくる漢の騎兵の姿であった。
紛れもない現実だった。

士気を失った趙軍は、総崩れとなった。
砦と川からの挟撃にあった趙兵たちは次々に討ち取られていく。
「陳余だ! 誰でもいい、早く陳余を討つのだ!」
韓信は叫びながら、自分でも陳余を追いかけた。
陳余は馬を走らせたが、決まった逃げ道があるわけではない。
無計画に走り回るしかなかった。

「誰か、わしを守れ! 助けろ!」
しかし、趙兵たちは自分たちを守ることで精一杯である。
ある趙の将軍は逃げ惑う配下の兵を斬り、
反撃するよう強要したが、やがて乱戦の中で自分も斬られた。
すでに状勢は敵味方入り交じっての
狂乱と呼ぶべきものとなっていた。

そしてその狂乱の中、逃げる陳余の
脳天に矢が突き刺さった。
陳余は落馬し、自らの馬に踏まれて人形のように転がり、
落命した。激しい血しぶきが飛び散った瞬間、
狂乱の場が静まり返り、
兵たちの視線が矢を放った人物に集中した。

「楼煩だ!」陳余を射殺したのは、カムジンだった。
「大将の陳余は……討ち取った……
殺されたくないやつは……降れ!」
カムジンのそのひと言で、それまで逃げ回ってばかりいた
趙兵たちが馬を降り、地べたにひれ伏し始めた。
戦局は終結を迎えたのである。

やれやれ、またもカムジンに手柄を与えたことになるな……
しかし、まあ……これでよい」
韓信は周囲の者にそう言って、安堵の溜息を漏らしたという。
陳余の遺体は、川のほとりに運ばれ、そこで首を切断された。
「趙王をこれへ……」
捕虜となった趙王の歇は、韓信の前に引き出され、
引見を受けた。

「累々と続く趙の王家の血筋を私が絶とうとは、
考えていません……。
ただ、これからは市井の者として、静かに、
大過なく暮らしていただきたい。
それがあなたのためであり、我々のためでもあるのです」
韓信の言葉を受けて、歇は静かに頭を下げながら言った。

「そもそも余をかつぎ上げたのは、陳余と、
そこにいる張耳である……。
擁立した者に裏切られるとは……実に悲しいことだ。
しかし、いま将軍の慈悲により、こうして
生かされていることに感謝し、恨みごとは言うまい。
……また、将軍に言われるまでもなく、
余は静かな生活を望んでいる。

張耳よ、余は……余は、王になどなりたくなかったのだ! 
たまたま王家の血筋に生まれたというだけで
運命を翻弄されるのは、もう終わりにしたい。
なぜ余をそっとしておかなかったのか!」
韓信の横にいた張耳はこれを聞き、
自分の野心に満ちた人生を恥じ、さめざめと泣き崩れた。

韓信は、これに深く心を動かされ、
「不肖、張耳に代わって謝罪申し上げます」と、
歇に向かって深々と頭を下げた。
歇にも、張耳にも同情したのである。
さらに韓信は、井口(せいけいこう)の戦いに先立って
奇襲を献策した李左車を殺さず、生け捕りにしている。

韓信は虜囚となった李左車を前にすると
その縛めを自ら解き、
東を向くように座らせ、自分は西を向いて座った。
これは韓信が李左車に師事することを意味する。
軍事に対する根本的な考え方が、
自分と同じだと考えたのだった。
こうして捕虜の引見を終えた韓信は、約束どおり、
士卒と食事を共にした。……


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


美空ひばり - 舟唄~人恋酒



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『 むらさきの夜明け - 美空ひばり



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo