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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-82

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 

漢の韓信-82


「陳余という男は学者肌であってな。
兵書などはよく読んで理解している。
しかしわしの見る限り、頭の固いところがあるようだ。
兵書に書いてある以上のことは、決してしない」
張耳は趙への道すがら、韓信にそう話して聞かせた。

「例えば?」「陳余の陣形は基本に忠実で、
見た目も美しい。しかしそれだけでは勝てぬ。
一言でいえば、やつには応用力が乏しい。
わしが鉅鹿で章邯に囲まれていた時も、
陳余は並みいる諸侯軍の中で最もきらびやかな
軍容を保ちながら、何もできなかった」

「なるほど……ところで張耳どのと陳余は
刎頸の契りを結んだ間柄とお聞きしていますが、
いま陳余を討つことに対してためらいはございませんか」
張耳は、韓信の問いに深いため息をついた。
「本音を言えば……陳余を殺さずにすむのならそうしたい。
魏の県令だったわしと陳余は昔、秦によって二人とも
首に懸賞金を賭けられ、逃亡生活を送った。
苦楽をともにした朋友なのだ。
それがどうしてこうなったか……
所詮はわしに人を見る目がなかった、
ということなのだろう。

いずれにしてももはや、わしと陳余は
並び立つことはできない」
「……討つことに迷いはないと?」
「しつこく聞くな。迷いはない」
韓信は、信じられなかった。人はこうも
割り切れるものなのか……。
それというのも、韓信は旧友の鍾離眛を
討てなかったのである。

私が、弱いということなのだろうか。
思いに沈む韓信の背に、蘭の手が添えられた。
韓信の軍は閼与から東へ進軍を始め、
山岳地帯にはいった。
趙軍は井口(せいけいこう)でこれを迎え撃つべく、
二十万もの兵を集めた。大軍である。

対する韓信の軍は、魏や代に駐屯する兵や、
劉邦のもとに送った兵を差し引いて、
三万程度しかいなかったのである。
加えて井口という地名はその字の通り
井戸のような形をしていることに由来しており、
四方が山に囲まれ、中央は谷となって深く沈み、
その底に川が流れている。
水量は決して多くはないが、戦場に川があることは
戦術上の制約が多い。
川そのものを防衛線として利用されれば、
攻める側は非常に不利である。
ましてそこに至るまでの道が、険しい。
山中のことなので道幅が狭く、行軍は横に広がらず、
縦に伸びる。これは行軍に分断の
危険を伴うことを意味した。圧倒的不利の条件であった。

韓信は密偵を送り、状況の把握に務めた。
一方、そのとき趙の陳余は幕僚の李左車(りさしゃ)から
熱のこもった献策を受けていた。その李左車は言う。
「漢将の韓信は、平陽で魏王を虜にし、
閼与で夏説を生け捕り、勝ちに乗じております。
いま韓信は張耳を補佐として得、
謀議して趙を降そうと画策しており、
その鋭鋒には正面から当たるべきではありません。
ところが幸いなことに井口への道は狭く、
車や騎馬が並んで行けないことは、
我が軍にとって有利でございます。

つきましては私に兵三万をお貸しください。
間道から出陣し、敵の横っ腹を討って分断いたしましょう。
その間、本隊は塁を高くして陣営を固め、
防御に徹すれば、敵は進もうにも進めず、
退こうにも退けず、十日以内に
韓信・張耳両将の首を持参することができます」

陳余はこれを聞き、不快感をあらわにした。
「なにを言う。兵法に『敵に十倍すれば、これを囲み、
二倍ならば戦う』とあるではないか。
いま韓信の軍は数万と称してはいるが、
実際には二万かそこらだろう。
まして彼らは千里の道を歩き、
我が軍と対峙しようとしているのだ。
いくら勝ちに乗じているといっても、
疲れているに決まっている。

この程度の敵を正面から敗れないようでどうする」
李左車はなおも食い下がった。
「しかし、聞くところによりますと韓信
詭計を得意とするとか。こちらが正面から
迎え撃とうとしても、やつらが正面から
現れるとは限りません。現状では
地の利はこちらにあるのですから、それを最大限に
利用することを考えるべきではないですか」

陳余はそれに対して鼻で笑うような態度を示した。
「君は、政治というものをわかっていない。
戦争というものは、勝てばそれで
よいというものではないのだ。
いま我々が有利な立場にありながら、
弱い韓信の軍を騙し討ちにしたと世間に知れたら……
諸侯は趙を懦弱(だじゃく)な国と評し、
軽んじるだろう。軽んじられれば、攻め入られる。
それが道理というものだ」

「漢軍が弱いと、はたして言い切れますか? 
おそれながら正々堂々と戦うのは
武人としての本懐ではありますが、
この戦いにおいて趙は負けることは許されず、
確実に勝つ方策を採らねばなりません。
あなたにはそれが……」

「もうよい。下がれ。すでにわしは
君の策を採らぬことに決めた」「…………」
「君は、戦場では趙王のそばにおり、
護衛に徹しろ。それ以上のことはするな。
王はもともとこの戦いに乗り気でないゆえ、
窮地に立たされると安易に降伏しかねない。
目を離すな」「…………」
「わかったのか」「……御意にございます」

この会話の一部始終が密偵によって
韓信の耳に入った。これにより韓信
井口に至る隘路の途中に伏兵が
いないことを確信し、安心して
軍を進めることができたのだった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『魂の歌姫 』



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる




P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo