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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-76

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 

漢の韓信-76ー(愛・反間・苦肉


劉邦のもとより返答の使者が送られてきたのは
それから十日ほど経ってからであった。
「漢王は左丞相韓信どのに三万の兵を送ることを、
お決めになりました。つきましては丞相には
代・趙の攻略をつつがなく実行してもらいたい、との
仰せです。
なお、三万の兵を統率してこちらに送り届けるのは
張耳どのが担当されます。
丞相は張耳どのをそのまま留め置き、
趙攻略に際しての補佐をさせよ、とのご命令です」
見たか! 賭けは、私の勝ちだ!

韓信は魏を滅ぼした際に、捕らえた魏兵を
自軍に編入させ、兵力を増強させることに
成功している。それを考えれば、あらたな
三万の増兵はどうしても必要というわけではなく、
送ってもらえればありがたい、という
程度でしかなかった。
?通が賭けを持ちかけてきたために、
万が一劉邦が兵をよこさなくても損はない、と
考えて話に乗ったのである。

しかし実際に劉邦が三万の兵を送ることを聞いて、
韓信は心底安心した。
自分の要求どおり、劉邦が兵をよこしてくれることは、
劉邦が自分を信用していることに他ならないと思え、
言いようもなく心が安らいでいくのを感じた。

とりわけ心強かったのは重鎮である張耳の
派遣を決めてくれたことである。
なんといっても張耳は趙の建国に中心的に携わった男で、
そのような人物と行動をともにできることは、
心強いことこの上ない。
かつての朋友の陳余と雌雄を決しなければ
ならないことを思えば気の毒ではあるが……
しかし、それは韓信にはどうすることもできない
問題であった。

賭け自体はくだらないものではあったが、
漢王のお気持ちを確認できたことは、有意義であった。
韓信はそう思い、さらに、漢王に、
私の真心が通じたのだ。とさえ思った。
連戦連勝の漢の総大将としては
無邪気すぎるような感はあるが、それだけに
このときの韓信の喜びがひとしおであった、
ということがわかる。

ひとり悦にいった様子で居室で安らぐ韓信に、
室外の衛士が来客の旨を告げた。
「?通さまからのお届けものをお持ちしました」
そう言って入室してきたのは、
軍装を解いた姿の蘭であった。
白の長衣に幅の狭い帯を巻いただけの
簡素な平服であったが、いつもと違うだけに
新鮮に見える。

韓信は思わず目を細めた。しかし蘭は
それに気付かない風を装って話し始めた。
「私にはこれがどういう意味をもつのか
よくわかりませんが……?通さまは私に
将軍のもとへ行き、この酒を届けよ、と
申されました」

韓信もあえて普段どおりの態度を保ちながら、
応じた。
「そうか……。まあ、座るがいい。
せっかくの届け物だから、飲むことにする。
君にも付き合ってもらおう」
「はい。瑟(しつ)(琴に似た楽器)でも
弾きましょうか?」
「ほう、弾けるのか? さすがに良家の娘だな。

しかし、それは次の機会に。今は、話がしたい」
「はい」酒器が用意され、青銅の瓶から酒が注がれる。
この時代の酒は香りが強い反面
アルコール分は少なく、相当に飲まなければ
酔うことはない。
また、成分は穀物を原料にしており、
色は薄黄色である。
しかし年代物になると容器である青銅の成分が混入し、
趣味の悪い青みがかった色となる。
よって、この時代の人々は、いわゆる古酒を好まなかった。
身分の高い者ほど新しい物を好み、
古酒を飲む者は、貧しい者とされたのである。
このとき魏蘭が持参した酒は新しく、
器に注がれたそれは室内の明かりに反射して、
黄金色に輝いていた。
「……この酒の届け主である?先生は、
私に王として立つことを使嗾し続けている」
韓信は黄金色に輝くその酒を一息に飲み干すと、
そう口にした。
「え?」察しのいい蘭は話の内容が危険なことに、
すぐ気が付いた。

「?先生は漢王が私のことを内心で恐れていると……だ
から要請しても兵を送ることはないと……
しかし漢王は私の要請どおり、兵を送って下さった。
この酒は、私が賭けに勝った証なのだ」

韓信は危険な話をしているが、表情は明るい。
どうやら賭けに勝って安堵し、単純に喜んでいるらしい。
蘭にはそう思えた。
「?通さまは私に、結果はまだわからないと
伝えてほしいと申しておりましたが……。
私も内容はよく存じませんが、
いま聞いた限りでは安心するのはまだ早いかと存じます」

蘭は二杯めを注ぎながら言った。
それを口につけようとした韓信の手が止まる。
「……どういうことだ」
「将軍は、頭の良いお方でございます。
本当はご自分でもお気づきになっているのに、
考えたくないに違いありません。
それゆえ、気付かないふりをしているのでございましょう。

いま、兵三万が増強されることは、
私も聞き及んでおります。
将軍はそれを漢王との信頼関係の証だと
考えておられるようですが、
これはやはり漢王が将軍のご機嫌を
損なうことを恐れている、と考えた方が
自然のように思われます」

「そうなのか? 人はやはり……
そのように思うものなのか。
しかし私は軍を漢に向けたりすることは考えていない。
漢王もそう思ったからこそ兵を
私に貸し与えたのだろう。
私が離反することはないと……。
叛逆して自立をするかもしれない将に、
王が兵を与えたりするものだろうか?」

「そこは、漢王とて確信がないからでございましょう。
要するに将軍は試されているのです。
将軍が漢王の気持ちを賭けで確かめたのと同じです。
私の個人的な考えでは……
漢王はそのうち、兵を返せと言ってくるでしょう。
そのとき将軍がなにかと理由をつけて返さなければ、
将軍に叛意あり、と考えるに違いありません」
韓信は二杯めを飲み干した。
すでにその表情から安堵の色は消え去っていた。


つづく 

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



『昭和えれじい』岩本公水




歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



昭和えれじい
作詞:吉田旺・作曲:船村徹


憂き世しぐれの 冷たさに
生きているさえ つらい夜は
せめて酔わせて ねえお酒
昔(もと)にゃ戻れぬ 昭和川


『昭和えれじい 』 ちあきなおみ 




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo