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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-73(妄想劇場)

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 

漢の韓信-73ー西魏王の娘

いま将軍に私が申すべきは、お悔やみ申し上げます、
といったところでしょう。
さりながら同時にお慶び申し上げます、とも
言わせていただきます」
蒯通の弁舌は、韓信には謎掛けのようでよくわからない。
韓信はこのときもいったい彼がなにを
言おうとしているのかがわからず、
戦闘前の忙しいさなかということもあって、
いらいらする気持ちを抑えられなかった。

「蒯先生。先生のような縦横家はそのような論調で
相手を手玉に取るのだろうが、私に対する時は
もっと単刀直入に物事を述べてほしい。
先生はいったいなにを私に言いたいのか」
蒯通は韓信に対して再拝し、滔々と意見を述べ始める。

「将軍は、天下を統べるお力をお持ちです。
それでありながらこのたびも漢王の手駒となりおおせ、
命じられるままに動いておられます。
これを私は、お悔やみ申す、と言っているのです」
「なにを言う。私は漢王麾下の将軍である。
先生の言う手駒という表現にいい気はしないが、
実際はその通りだ。
臣下が主君の命に従うのは当然であろう」
韓信はどなりつけたい衝動に駆られたが、
蒯通が自分を高く評価して物を言っているのが
わかったので、なんとか我慢している。

「狩人は、野の獣を取り尽くすと、
猟犬を煮殺すものです。どうか深くご考慮を」
「……狩人が漢王で、猟犬が私だと言いたいのか。
なんという不遜なことを。まあいい、
考えておこう。

それでどういうわけで今度は
お慶び申し上げます、なのか?」
「将軍は、魏の公女を手中に収められました。
魏豹を討ち、かの公女を前面に押し立てれば、
将軍が魏王を称することも不可能ではありません。
そのためお慶び申し上げます、と
いったのでございます」

韓信は苦虫を潰すような顔をした。
「手中に収めるなどと……嫌な言い方をする。
私と魏蘭とはそのような関係ではない。
それに私には彼女を政争にまきこむつもりは
これっぽっちもないのだ」
「ほう、意外でしたな。

かの蘭という娘は器量も常人以上、
将軍にお似合いだと思ったのですが……
将軍にはあまりお気に召しませんでしたか」
韓信は体温が上昇するのを感じた。
蒯通が指摘しなかったから不明だが、
もしかしたら赤面していたかもしれない。

縦横家というものは、そうやって女性の外見にも
論評を下すものなのか。
しかし私の好みは、……もう少しふくよかな女性だ。
蘭は確かに美人ではあるが、私の好みとは……」

そのとき後方に当の魏蘭の姿が見えた。
その姿は相変わらず軍装を施したままである。
結局韓信は魏豹を討つにあたって蘭に
その様子を前線で見せることにしたのだった。
蒯通はにやりといやらしい笑いを浮かべながら、
言うのだった。
「失礼します。将軍、魏の公女を得たことは、
この上もない機会ですぞ。
身をたてるには何ごとにも機会が大事です。
機会、機会! よくお考えください」
そう言って蒯通はその場を立ち去った。

蒯通は明らかに韓信を使嗾し、煽動している。
韓信は自分の運命というものを
考えずにはいられなかったが、
深く思考したところで答えが見かるものでもない。
しかし、劉邦に背いて自立する、というのは
どう考えても自分らしい生き様だとは思えなかった。

このとき韓信は任じられて左丞相となり、
軍の管理などにおいてほぼ自由な裁量を与えられた。
丞相の権限については諸説あるが、
実質的な総理大臣というのが一般的な見方である。

また左丞相もあれば右丞相もあり、
どちらかが上位に立つのだが、
これは王朝によって異なるものである。
この時期の漢の場合、内政の長として
蕭何が存在しているので、韓信が左丞相ならば、
蕭何が右丞相であり、蕭何の方が不文律で上位に立った。

韓信は征服地の占領政策などを
副首相のような立場で一任されたのである。
このとき韓信は気が進まなかったものの、
蘭を中軍に置いた。
「蘭、常に私の見えるところにいるのだ。
戦闘中は馬が興奮するかもしれないから、
気をつけるのだぞ。
最低でも、カムジンより前には出るな」
蘭は緊張しているらしく、韓信の言葉に
こくりと頷いてみせただけであった。

魏軍は函谷関の近く、黄河の北岸の蒲坂に大軍を集め、
漢軍は対岸の臨晋に陣を取った。
「川を前に陣取ることは兵書の通りで
魏豹はそれを実行している。
しかし、敵が渡河してこない限り恐れることはない。
こちらも川を前に陣取っているからだ。
どういう形でもいい、渡河して敵陣に
飛び込んだ軍の方が勝つ」

そこで韓信はあからさまに川岸に船を連ねて、
あたかも大軍が渡河を試みているように
魏軍に見せかけた。船は弓矢の射程距離ぎりぎりのところで
進んでは退き、また進んでは退き、を繰り返す。
それは魏軍を挑発しているかのようであり、
逆に攻めあぐねているかのようにも見えた。

韓信は漢軍随一の将だという話であるが、
噂ほどではないな!」対岸の魏豹は周囲の者にそう話し、
まともに迎撃する必要はない、と判断を下した。

このままにらみ合いが続き、兵糧が先に尽きた方が
撤退すると考えたのである。
魏豹はあらかじめこうなるであろうことを予測し、
根拠地である平陽からの補給路を
充実させておいたのである。

「将軍……大丈夫なのですか? 
戦況が膠着状態になっていることが、
私にもわかるくらいです。
このままで魏豹を捕らえることが可能なのでしょうか?」

それまでおとなしくしていた蘭が船上で
韓信に問いかけた。滞陣四日めのことである。
「心配するな。布石は打ってある。
明日の昼前には渡河の機会が訪れるはずだ。

それより蘭、カムジンの様子が変だ。
見てやってくれないか」
カムジンは騎馬戦では尋常でない能力を示すが、
船に乗ったのはこれが初めてだった。
川の流れは緩やかだが、彼はそれにも耐えられず、
船酔いの症状を示していたのである。

「カムジン、大丈夫? 
……ふふ、勇士だと聞いていたけれど、可愛いのね」
「すみません」介抱されるカムジンを見て韓信は、
憎まれ口を叩いた。
「カムジン、その様子では別働隊の方に
お前を配置した方がよかったな!」
別働隊の存在を蘭が知ったのはこれが初めてだった。
韓信としては蘭を陣中に置くことは決めたものの、
ここに至るまで彼女が魏と通じているかもしれないと疑い、
話さないでおいたのである。

つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



『赤いグラス』 石原裕次郎&八代亜紀



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



『赤いグラス』 アイ・ジョージ 志摩ちなみ 




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo