流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント

明日という日はミステリー、

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。 
 


韓信-12
二世皇帝の胡亥は愚鈍であった、と言われている。
結果から見れば確かにそうかもしれないが、
彼も即位当初は使命感に燃え、真剣に
統治者としての義務を果たそうとしたに違いない。
彼は決して何もしなかった皇帝ではなく、
その統治期間にさまざまなことを行っている。
ただ、そのどれもが国を疲弊させる結果を招いたのだった。

胡亥にとっての皇帝の使命とは、
先帝のやり残した仕事を完遂させることに尽きる。
阿房宮(あぼうきゅう)の増設はその典型で、
およそ必要もなさそうなほど広大な宮殿を
さらに大きくする工事のために、各地から人民が徴発された。
これにより農業、工業を問わず国の生産能力が減り、
その影響を受けて物価が上昇した。

また、秦という国は極端な法律至上主義の国家だったので、
些細な罪で投獄される囚人が多く、
これも生産能力減少の一因となった。それでも、
増え続ける囚人たちをただ獄に繋いでおくのは
さすがに無駄だと思ったのか、
阿房宮設営の工員に彼らをあてておおいに利用したわけだが、
どちらにしても無駄なことであろう。

皇帝がどれだけ立派な宮殿に住んでいようと、
庶民には関係のない話で、工事自体が無駄なのである。
国力を途方もなく無駄遣いした阿房宮の増設工事は、
結局未完に終わり、そのばかばかしい顛末から
「阿房」の音が転じて「阿呆」の語源になったと言われている。

胡亥の無駄な土木事業はこればかりではなく、
始皇帝の墓を完成させる事業などもそのひとつである。
彼は国中から腕のいい職人を集めてこれを行ったが、
墓が完成すると保安の必要性から、
構造の秘密を知る彼ら職人たちを残さず穴埋めにしてしまった。
これなどは人材の浪費も甚だしい話である。
また、先帝が詔令を出したものの、やりかけになっていた
貨幣の統一事業にも本格的に乗り出している。
それまで各地に流通していた刀の形をした銭や、
布切れのような形をした銭は、
丸くて中央に四角い穴の空いた銅貨に取り替えられた。
半両銭と呼ばれるこの銅貨は鋳造も楽で、
携帯にも楽な形をしていたが、先述のように
生産者がことごとく徴発されるか囚人になるか、というような
社会状況では買えるものがなかった。
こうして秦の地方社会はインフレとなり、
しだいに人心は荒んでいったのである。

市中を歩くと、以前より活気が失われているさまがよくわかる。
街路は人影がまばらで、わずかにそこにいる連中も
暇を持て余しているような輩ばかりだった。
このときの韓信もそれと同じで、
人になめられないように胸を張り、
こわばった表情で歩いていたが、
実は当てもなく歩いていただけなのだ。
少なくとも当時韓信を知る者は、皆そう思っていた。
ある日韓信は、道ばたで若者がたむろしている場を通りかかった。
彼らは食用の犬の屠殺者仲間で、
この日は一匹しかいない犬を囲み、
近頃の仕事の減少による貧窮を無駄話で紛らわそうとしていた。

韓信が彼らの前を通りかかったとき、
その中の一番体の大きな男が、彼に絡んだ。
「こいつはでかい図体で、
いきがって剣などをぶらさげて歩いているが、
そんな奴はたいてい気持ちが弱いものだ。見ていろ、
おれが確かめてやる」

韓信は見透かされたような気がした。
生前、母と交わした会話が思い出される。
韓信にとって剣は、それを持つことによって
相手に妙な気をおこさせないための
抑止力というべきものだったが、
それが今試されているのだった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
花に例えた古い歌
 今さら聞いても、歌っても、 
 何処に置いても、飾っても
  花も歌も、枯れてゆく....
  人生、絵模様、万華鏡...


ハンジナ・ガラスの部屋


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる

 

 


P R
きれいなお風呂・宣言