流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

妄想劇場・一樂編

妄想劇場・一樂編

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



Mituo
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ 
 

 
 
『新商品開発指令・・・』(2/2)
 この前、その元気のブログを見ていて、
「へえ~、やるなぁ」と感心したコンビニがあった。
元気は、車椅子ながら自動車の運転をしている。
折り畳みの車椅子を後部座席に乗せ、
乗り降り際に、その車椅子に乗り換えるのだ。
何度見ても、そのスムーズなことには驚かされる。

ただ、コンビニやスーパーに買い物に行く時には
苦労するという。
身障者用の駐車スペースが、空いていないところが
多いらしい。
健常者が停めてしまう。 空いていても、
赤い三角コーンが置いてあると、
かえって邪魔になるというのだ。
一般の車が停めないようにと注意を
促すための三角コーン。
それが反対に仇になるらしい。

人は、その身になってみないとわからぬものだ。
ところが・・・。そのコンビニでは、
元気の車が駐車場に入ってくるのを見るなり、
店員が走って来て三角コーンを
どかしてくれるのだという。 それだけではない。
車の誘導をしたり、車椅子を車から出すのも
手伝ってくれる。

その日のブログには、
「プレミアム・コンビニエンスストア!」という
タイトルが付いていた。
以来、週に5回は通っているという。
従弟が世話になっているということもある。
でも、いったい、どんな店員がいるのか。
オーナーはどんな人なのか。
営業マンとして視点からも興味があった。

「暑いなぁ~何か冷たいもんでも飲もう。
アイスでもいいな」ハンカチで、拭いても拭いても
流れる汗を拭った。
「おお、ここだな」健太は、駐車スペースへと
車を滑らせようとしてブレーキを踏んだ。
国道沿いということもあり、駐車場は広い。
トラックなどの大型専用スペースが3台。
普通車用が7台。ところが、いずれも満車。
入れない・・・。

(せっかく来たのに)と思っていたら、
ミニバンが出て行った。
すかさず切り替えしてバックで入れる。
入口の身障者用スペースには、
車椅子のステッカーを リアウインドウに貼った
ワンボックスカーが停まっていた。

「なんだ、こりゃ」まだ、11時半だった。
それなのに、2つのレジには、
それぞれ5、6人のお客が並んでいる。
健太の知る範囲では、コンビニの空いている時間帯だ。
11時50分を過ぎると、徐々に人がやってくる。
ピークは、12時10分から20分。
11時半にしてはお客が多すぎる。

レジを打っていたオバサンが、大きな声で言った。
「いらっしゃい、そこのおしぼり使ってね!」
「え?おしぼり?」そばにいた強面の男性が
健太に話しかけてきた。
「おお、お前さんは初めてか?」
「え?・・・初めてって・・・」
角刈りの頭にハチマキをして、真っ黒な顔をしている。
黒いTシャツには、「男魂」と墨文字が躍っていた。
誰が見ても、トラックの運ちゃんだった。
「これこれ、これよ」ハチマキの運ちゃんは、
コピー機の横の小さな冷蔵庫を開けた。
(え?なんで、こんなところに冷蔵庫が?)
その冷蔵庫から、一本のおしぼりを取り出し、
健太に渡した。「ほいよ、これ使いな!」
「え?いいんですか」
「ほら、ここに書いてあるだろ」
冷蔵庫の扉に、貼り紙がしてあった。
冷た~い おしぼりをどうぞ 無料です =店主
その下には、使い終わったおしぼりを入れる
籐のカゴが置いてあった。
レジに並んでいるお客さんを見てハッとした。
健太と同じような営業マン、
そしてトラックの運転手ばかりなのだ。
ハチマキの兄ちゃんが、またまた話しかけてきた。
「ここはよお、このおしぼりが嬉しくって通ってるのよ。  
みんなな。12時過ぎちゃうとな、
もう駐車場がいっぱいなんでな、こうして早く来るのよ」

健太は、自分の常識が覆されてしまい、
言葉も出なかった。
「おしぼり」といえば、喫茶店かレストランだ。
最近では、使い捨ての紙おしぼりが
主流になってきている。
まさか、コンビニで「おしぼり」だなんて。
(いったい、採算は取れてるんだろうか)
営業マンとして、いらぬ心配も頭よぎる。

「え?」どう見てもおかしい。
駐車場に、大型専用スペースは3台しかない。
なのに、店内には、あきらかに
「トラック野郎」と思しき格好のお客が10人はいる。

健太は、慌てて店を飛び出した。
国道を見渡せるところまで出て、
ゴクリと唾をのみ込んだ。
左右にズラリと、何台ものトラックが
ウインカーをチカチカさせて駐車していた。
健太の後を追うようにして、
中から一人のトラック野郎が出てきた。
手には、レジ袋に入ったお弁当が2つ。
そして、「おしぼり」が一本。
目の前のトラックの窓から、
50代の厳めしそうな男が顔を出した。
「おいよっ」と、「おしぼり」を投げる。
中の男がキャッチした。
「助かるなぁ~」 「ホント、生き返るぜ」

その時だった。 健太の頭に何かが、
降ってきた。電気が走った。
「これだ!」健太は、この常識はずれの
コンビニのおかげで、 新商品のアイデア
ひらめいたのだった。
企画書のタイトルが思い浮かんだ。
【自販機で、おしぼりを売る】


……終わり


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる



『 本当の母親 』



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と言い訳になるから……




P R
カビの生えない・きれいなお風呂

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