流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想……

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 


漢の韓信-(87・邯鄲に舞う雪)

「私が見る限り、士卒はみな疲れているようです。
勝ち続けているので士気は高いですが、
気持ちだけでは戦には勝てません……。
実際には使い物にはならないでしょう。

したがってこのまま将軍が燕に侵攻したとしても
弱い燕に勝てず、ましてや強国の斉に
勝てるはずがありません。
まずは士卒を休ませ、そのうえで燕に対して
使いを出すのがよろしいでしょう。
そうすれば趙を降した将軍の武威が生きてきます。

燕は靡くように降伏しましょう。
実情を隠して示威するわけですな。……
兵法に『虚声を先にして実力を後にす』とありますが、
いま将軍がとるべき作戦がそれなのです」

「なるほど。確かにそうかもしれません。
私も、わざわざ武力を用いて燕を屈服させる
必要性があるのかどうか確信が持てなかったところなのです。
いや、実に参考になりました」
韓信は微笑とともに李左車にそう言ったという。

つまり彼は李左車に奇抜な発想を期待していたわけではなく、
自分の考えを後押ししてくれさえしてもらえば、
それで満足であったのである。
決して結論のない戦略という主題を突き詰めていく中で、
自分と同じ考えに至る者が存在したことに
安心した彼は、会心の笑みを漏らした。

韓信には井陘での戦いにおける前後の経緯から、
李左車であればこう考えるだろう、ということが
あらかじめわかっていたのだった。
よって韓信が李左車を自身の幕僚に加えようとしたのは、
自然な流れであった。
しかし李左車はその要請を断ったのである。

「なにか、ご不満でも……?」
傷つけられた少年のように落胆の色をあらわにした
韓信を前に、李左車は淡々と語るのであった。
「私が思いまするに、将軍と私の軍事に関する考え方は
似ています。
志を同じくする者同士が力を合わせれば、
物事を強力に押し進めることが可能でしょう。

しかし、それでは……将軍、いざという時に
あなたを掣肘する者がいなくなってしまう」
「……どういうことでしょう」
「どうか、ご自分の考え方を疑ってみることを
常となさいますように。
それを忘れると、あなた様は
秦の始皇帝のような存在となってしまいます」

「…………」韓信は絶句した。
李左車が言っていることは、彼の中に
独裁者と化す危険が潜んでいるということであったのだ。
「同調ばかりする者を周囲に置いていては、
将軍が道をお誤りになったときに苦労します。
聞く耳を持つことと、決して独善的にならないことを
旨としてお過ごしください。
私のような身は、将軍には必要ありますまい。
むしろ、害悪となりましょう」

韓信としては、こう言われては無理に
李左車を引き留めることはできない。
我を通して彼の意思を無視すれば、それこそ
聞く耳を持たないことになるからだ。

「広武君には、趙の地に留まっていただきましょう。
我々に協力していただければ、身分は保証します。
しかし、それをあえて拒否する権利も保証しましょう」
韓信はそう言い、判断を李左車に委ねたが、
結果的に二人の交流はこれが最後となった。

李左車は敵対行為は働かないことを約束したが、
そのかわりに平民となることを希望し、
その後一切政治の表舞台に登場することを
拒否したのである。

亡国の大夫は国を語らず……
彼はその自分の言葉を実際の行動で示したのであった。
韓信は意気消沈したが、
一方で李左車の生き様に潔さを感じ、
その後の行動については彼の意見を尊重する形をとった。
はたして燕は李左車の言う通り降伏し、
韓信は戦うことなく燕を勢力圏の下においたのである。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…

『北の秋桜』キムヨンジャ



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


『かもめの街』 ちあきなおみ



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





P R
 カビの生えない・きれいなお風呂
 お風呂物語

Furo1