流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

歴史・履歴への許可証

歴史・履歴への許可証

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



Kobanasi_3


約束の日
むかし、江戸の本所(ほんじょ)の、
いろは長屋のおくに、山口浪之介と光川新衛門という
浪人が、いっしょにくらしていました。
このふたりは小さいときからの友だちで、
ずっとおなじ殿さまにつかえていましたが、
殿さまの家がつぶれて以来、ながい浪人ぐらしで、
いまではその日の米代にもこまるありさまです。

「のう、浪之介こんなことをしておっては、
ふたりとものたれ死にをするばかりだ。
いっそ、べつべつにくらしの道を考えてはどうだろう?」
「なるほど。それもよかろう。
では新衛門三年たったらまたあおう。
きっと、わすれずにな」

ふたりは、あう場所と時間をきめて、
「では、三年あとに」
「さらば、三年あとに、かならず」と、
かたく約束してわかれました。

月日は流れて、まもなく三年です。
ところが、山口浪之介のほうは、どうまちがったのか、
世間に名高い盗賊となって、東海道をまたにかけて、
荒らしまわっていました。
それがある日、ドジをふんで役人につかまり、
きのう、やっとのことで逃げ出して、
海へとのがれたのです。

そのとき、ハッと、約束の日のことを思いだしました。
「そうだ。このまま東へこいで、江戸へ下ろう」
浪之介は、むしょうに新衛門にあいたくなりました。が、
運のわるいことに、突風にあって、
あっというまに舟もろとも、波にのまれて
死んでしまったのです。

そのころ光川新衛門は、江戸にのこって、
南町奉行所のしらべ役になっていました。
友だちの浪之介が盗賊になって、
江戸に人相書までまわっていることを、
知っていました。
今日は約束の日の朝。
「たとえ、浪之介がどのような身になろうと、
わしにとっては、かけがえのない友だちだ。
あおう。やはりあいにいこう」

新衛門が、こう心をきめたそのとき。
なんと目の前に、浪之介が
すわっているではありませんか。
「おお、浪之介。よくきた」
そういって、新衛門はハッとしました。
(ばかな、人相書までまわっているおまえが、
なんでおれの家などにくるのだ)
「さあ、浪之介、おれがうしろをむいているいるまに、
どうかにげてくれ」

すると、浪之介はさびしくわらって、こういいました。
「なにをいうのだ。おれはおまえの手で
しばってもらおうと思ったからこそ、
わざわざここまでやってきたのではないか」

浪之介は、小伝馬町の牢に入れられました。
ところがその夜、番人が見まわりにいくと、
「新衛門どのに、くれぐれもよろしく」と、いいのこし、
ニッコリわらって、スーッと消えてしまったのです。
浪之介のすわっていた牢の床は、
ビッショリとぬれていました。
それも、塩気のある海の水だったそうです。
浪之介は死んでも、約束通り友だちの
新衛門に会いに来たのでした。


おしまい



おスマばあさん
むかしむかし、ある山おくの村に、
おスマさんという、ばあさんがおりました。
はやくに死んだじいさんのお墓をたてようと、
二十年間、ほしい物もガマンして、やっとためたお金を、
旅の男にだまされて、持っていかれてしまいました。

それ以来、村の者はおスマばあさんのことを
バカにしていました。
ある日のこと。おスマばあさんのところヘ、
役人がふたりづれでやってきました。
「この村では、酒をつくっておるじゃろう」
「どこの家とどこの家じゃ。ばあさん、知らんかね」と、
聞いてきました。

この村は貧乏なので、税金の高いお酒を
買うことができず、役人にはないしょで、
自分たちでどぶろくにごり酒)をつくっていました。
役人に聞かれたばあさんは、ゆっくり腰をのばして、
「へえ、旦那(だんな)。ささでこぜえますかい?」
役人たちは、うなずきました。

酒のことは、「さけ」の「さ」を重ねた言葉の
「ささ」ともいいます。
「それでしたら、この村じゃあ、山の炭焼小屋で、
どっさり、つくっておりますだ」
それを聞いた役人たちは、
(ウッヒヒヒ。きょうは、たっぷり飲めるわい。
ろうやに放り込むとおどかせば、金も手に入る
。・・・これだから、役人はやめられん)と、
顔を見あわせて、ニヤリとわらいました。

「わるいが、ばあさん」
「そこヘ、案内してくれんか」
「ちょっと待ってくだっせ。むすこがもどってくるまでに、
おらあ、飯をたいといてやらにゃならんで、
ちょっくらとなりまでいって、米かりてくるでな」
出かけていったばあさんは、帰ってくると、
「さあ、案内しますで」
おスマばあさんは役人をつれて、
山道をスタコラサッサとのぼっていきました。
ばあさんのあとから、役人たちは
フウフウいいながらついてきます。

「このばばあ、年はとっても」
「ばかに足は早いわい」と、ブツブツいいながらも、
いっしょうけんめいついてきます。
やっとのことで、山おくの、
ふるい炭焼小屋が見えてきました。
ばあさんは、小屋のほうを指さして、
「旦那。ささは、あそこでつくっておりますだ」
いわれると、役人たちはかけだしました。

小屋の戸をあけると、まるで、
ころがるように中ヘとびこみます。
ところが、そこはクモの巣だらけで、どこをさがしても、
酒のさの字もありません。
役人たちは、腹たてて、「ばば、ばばあ!」
「酒は、どこだっ!」
すると外から、おスマばあさんが手まねきして、
「ヘえ、こっちでさあ。旦那、はようきてくだせえ。
すぐそこにささは、どっさりございますよ」

役人たちが小屋を出て見ると、
おスマばあさんが、でっかい笹(ささ)やぶをゆびさして、
「いい笹じゃろ」と、いいました。
そのころ村では、おマスばあさんの知らせを聞いた村人が、
どぶろくの入った酒つぼをかくしたあとでした。
このことがあってから、村の者はだれも、
おスマばあさんをバカにしなくなったということです


おしまい



人の為(ため) と
書いて、
いつわり(偽) と
読むんだねぇ 





誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから。


時は絶えず流れ、
  今、微笑む花も、明日には枯れる 
 





P R

カビの生えない・きれいなお風呂

furo


お風呂物語