流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。


漢の韓信-44

剣を杖がわりに地に突きたて、威風堂々、
韓信劉邦軍に身を預けた。
韓信は人に会う度に持論を展開し、
自分を売り込もうとはかったが、しかし、
応対した下級士官の中には韓信のいうことを
理解できる者はおらず、
いくら項羽の弱点や戦略的構想を話して聞かせても
まったく話が進展しなかった。
さらには韓信自身が一兵も指揮したことがないことで、
最初から軽く見られたということもあるだろう。
結局彼に用意されたのは
連敖(れんごう)という
貴人の接待係の地位に過ぎなかった。

栽荘先生、私はここでも浮かばれないかもしれません。
私は、郎中や連敖などの地位が欲しくて
乱世に身を投じたのではありません……
先生、私はどうすれば世に出ることができるのでしょうか……。
韓信の落胆は激しく、そのため気力も萎え、
次第に捨て鉢な気分になっていった。

しかし、それは韓信に限ったことではない。
この時期、劉邦軍全体が士気の低下に悩んでいた。
事実上の都落ちとして山奥の巴蜀
赴かねばならない立場の軍としては
仕方のないことだったろう。

ちなみに「巴」「蜀」はともに独立した地名である。
巴は現在の四川省重慶の周辺、
蜀は成都の周辺にあたる。
現在でこそ大都会の両都市ではあるが、
紀元前のこの時代では、開発などは進んでおらず、
おもに流刑地として使用されることが多かったのである。

咸陽から巴蜀に至る途中の漢中も
また地域名であり、
南鄭(なんてい)という城市が
その中心であった。
南鄭は周代より開発された歴史の古い都市であり、
秦の代になってれっきとした漢中郡の郡都とされた。
しかし咸陽から南鄭への道は山や川に遮られ、
人がひとり通れるような桟道しか設けられていない。
桟道は断崖に宙ぶらりんに設置され、
場所によっては人がカニのように横歩きしないと
通れないところも多い。
また、高所に築かれた桟道から下を臨めば、
生きた心地もしないものであった。

劉邦に与えられた土地は、そんな所であった。
しかし情勢を考えれば、嫌だと言って
関中に留まることなど許されず、受け入れるしかない。
劉邦は前途の多難さを覚悟しつつ、
漢中行きを決めた。

これにより、劉邦は今後漢王と称されることになる。
これが紀元前二〇六年のことであり、
この年が漢の元年とされた。
桟道には馬や車を通す余地はない。
漢王麾下の三万の兵士たちは
いずれも徒歩で荷物を背に負い、
不安定な桟道を風に煽られながら通るしかなかった。
何人もの兵士が無惨にも谷底へ落ちてく。
無駄死に、というよりほかなく、
自然、逃亡する者が相次いだ。
軍全体にやりきれない諦めの気持ちが充満し、
ささくれができ始めた感情は互いに衝突した。

こうして軍内は些細なことで揉め事が多くなったのである。
ある日、韓信と同じ連隊に所属する兵のひとりが、
普段からそりの合わなかった上官を
故意に谷底へ突き落とした。
新参者だった韓信は事情をよく知らされていなかったが、
その上官は常々部下の兵士に対する態度が傲慢で、
目に余るものだったらしい。
手を下した者はひとりであったが、
実際は連隊内の総意であった。
そこで兵士たちは犯人をかばい
、詰問されても容易に口を割ろうとはしなかった。
事態を重く見た幹部たちによって処断が下され、
韓信の所属するその連隊は全員斬首刑に
処されることが決まった。
連座制を適用されたのである。

一同は急場作りの刑場に引きずり出され、
順番に首を刎ねられていく。
処刑の立会人として、夏侯嬰がその場にいたのを
韓信は認めた。
すでに十三名の仲間の首が斬られ、
次に自分の番を迎えた韓信は、我慢できずに、
低い声ではあるが、しかし力強く訴えた。
「……主上(漢王、すなわち劉邦のこと)は、
天下を望まないのか。
大業を成就させたいと思うのであれば、
いたずらに壮士を殺すはずがなかろう。
しかし主上が天下を望まず、
この地でその生涯を終えるおつもりであれば、
斬られても仕方あるまい」

その声が夏侯嬰の耳に入った。
軍が順風満帆なときは、
気にも留めなかったかもしれない。
しかし士気が衰えているときは、
このような生意気な意見も力強く感じられた。
夏侯嬰は興味を示し、処刑人をとどめ、
韓信の前に立った。
「……お前、よく見るといい面構えをしているな」
韓信はしかしなにも答えない。
夏侯嬰はしばし考え、やがて得心したように頷くと、
周囲に向かって命令した。
「この者を釈放せよ!」


つづく

Author :紀之沢直
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愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、 花に例えた旧い歌
今さら聞いても、歌っても、
何処に置いても、飾っても
歌も花も、枯れてゆく....
人生、絵模様、万華鏡...


美空ひばり 「ひばりの佐渡情話」



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる









furo
P R 
きれいなお風呂・宣言 

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