流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。



韓信-42
軍門の外には劉邦の配下たちが待機している。
この日、劉邦の供をして配下の指揮を任されていたのは
参乗(貴人の車に陪乗して守る者)の樊噲であった。
樊噲は劉邦の旗揚げ以来の忠臣で、
両耳の下から短めに生えた顎髭が無骨な印象を与え、
外見的には熊のような男だった。

あまり複雑なことを考えるのは苦手であったが、
今日という日が劉邦はおろか、
自分の運命を決める日であることが、
この男には感覚的にわかっている。
いざという時にはあの軍神のような項羽
刺し違える覚悟をしていた。

「樊噲!」自分のいる軍門を目指して
走ってくる張良の姿が見えた。
ただごとではなさそうなその姿に、
彼は胸騒ぎを覚えた。
「張子房どの。幕中の首尾はどうだ」
樊噲の問いに張良は息を切らしながら答えた。
「どうもこうもない。殺される寸前だ……。
樊噲、今こそ……今こそ沛公危急の時だ!」

樊噲はそれを聞くなり、盾を持ち、
剣を抜いて猛然と軍門に突入した。
楚の衛士たちがそれを止めようとしたが、
樊噲は走りながら衛士たちに盾をぶち当てて
残らず地に突き倒した。
「行ったぞ! 誰か止めろ!」
幔幕の周辺の警護に当たっていた韓信の耳に
その声が届いた。

見ると猛烈な勢いでこちらへ向かってくる
ひとりの武人の姿が見える。
あれは、劉邦の忠臣に違いない。
なんという迫力!樊噲の走った道の後には
砂塵が巻き起こり、それが渦を巻いて
竜巻が起こっているかのように見えた。

たったひとりの突入がまるで百騎程度の
騎馬集団の進軍のように錯覚させる。
「来るぞ。せき止めろ」
楚軍の警護兵たちは樊噲の鬼気迫る姿に
たじろぎながらも、防御の姿勢をとり始めた。
しかし、それを見た韓信は、
「いや、この後が見たい。通させてやれ」と言って
兵たちをとどめた。

その発言に楚兵たちは、
韓信が例によって臆病風にふかれたものと思い、
反発した。「通していいわけがあるまい。
あの様子では将軍に斬りかかるぞ!」
韓信はそれでも意見を変えず、兵たちに向かって言った。

「黙って斬られる我らが将軍ではないだろう。
将軍は、武勇の人。
あの烈士にも負けることはないはずだ」
実はこのとき韓信は、項羽
樊噲を斬ることはないと予想していたのである。
確かな根拠はないが、項羽はこのような人物を好む、
そう感じていたのであった。

防御しようとした兵たちは皆、
すべて樊噲の盾で押し返されて吹っ飛んだ。
樊噲はその勢いのまま幕を斬り破り、
中へ突入を果たす。
突然の闖入者の出現を受け、
とっさに剣の柄に手をかけた項羽は、
「何者だ」と、凄んでみせた。

このとき懸命に樊噲の後を追いかけてきた
張良がようやく追いつき、
「この者は沛公の参乗、樊噲でございます」と、
息を切らしながら説明した。
項羽はこれを聞いて満面の笑みを浮かべて喜び、
「ううむ! これこそ壮士。酒を与えよ!」と言って、
杯になみなみと注いだ酒を
樊噲に与えたのであった。

項羽は敵味方を問わず、
このような勇壮な男を自分以外に
見たことがなかったのである。
樊噲は上機嫌の項羽に酒を与えられ、
豚の肩肉を供せられ、それを軽く平らげたのち、
項羽に対して意見しだした。

「将軍は功ある沛公に恩賞を与えないばかりか、
小人の中傷を真に受け、沛公を殺そうとしている。
将軍は間違っておりますぞ。……
私がこんなことを言えるのは他でもない。
……死を恐れぬからだ」

項羽はとっさに返答ができず、
「まあ座ればいいじゃないか」などと、
およそ彼らしくない発言をした。
おそらく項羽劉邦を許すと決めたのにもかかわらず、
范増が殺そうとするのを快く思っていなかったに違いない。

樊噲の乱入を潮に幕中の殺人劇を
終わらせようと思ったのだろう。
しかしそんな項羽の思いなど知る由もない劉邦は、
状況が一段落したのを見計らうと、
なにも言わず席を立った。
誰もが厠へ行くものと思ったが、
劉邦はそれきり戻らなかった。

彼は恐怖のあまり、遁走したのだった。
張良はあとを取り繕い、
項羽に白璧(はくへき)(宝石の一種)一対、
范増に玉斗(ぎょくと)(玉でできた酒器)を土産に贈り、
鴻門の陣営を辞した。

項羽はそれを受けると幕を抜けて去ったが、
ひとり残った范増は贈られた玉斗を
地に投げつけて叩き壊し、
さらに剣で打ち叩いて粉々にしながら嘆いたのだった。
「ああ! 楚は小僧どもばかりで
どいつもこいつも言うことを聞かない。

項羽をはじめ一族はみな、
劉邦の虜になるだろう! 
なぜ項羽も項荘もやつを殺せなかったか!」
韓信は范増のその姿を幕越しに見て思った。
項羽や項荘が沛公を殺せなかったのは、
無理もない。彼らは武人だからだ。
武人が謀略で人を殺すことを
潔しとするはずがない……
范増老人のような人生を
達観したような者ならいざ知らず……。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
花に例えた旧い歌
今さら聞いても、歌っても、
何処に置いても、飾っても
歌も花も、枯れてゆく....
人生、絵模様、万華鏡...



〔弾き語り〕
ノラ 徳久広司 & 再会 弦哲也 





人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる









furo
P R

きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語