流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。




韓信-36-咸陽落城

しかしそうとばかり言ってはいられない。
ここで劉邦自ら宮廷を荒し回る行為に出ると、
士卒がそれをまねて咸陽全体が大略奪の場になってしまう。
そうなってはこれまで築き上げた民衆の信用はがた落ちで、
支持基盤を失うことは明らかだった。
沛公は項羽が恐ろしくなって、
一時的に現実逃避をしているのだ。
そう思うと、張良劉邦を哀れに思った。
あの恐ろしい項羽と近い将来対決しなければならないと思うと、
誰だって逃げ出したくなるだろう。
ここは優しく、説得するべきであった。

「どうか樊噲の言うことをお聞きください。
良薬は口に苦し、と申しますが、
同じように忠言は耳に入れ難いものです。
今、天下のために害賊を除こうとするならば、
逸楽に安んじることなく、質素を旨とするよう、
沛公自ら示さねばなりません」

これを聞き、劉邦はようやく抱いていた宮女を離した。
「害賊……害賊とは秦のことを言っているのか。
それならもう滅んだ。
子房、お前は、まだこのうえ害賊がいると言うのか」
「おります」劉邦はやっと居ずまいをただした。
「聞こう」張良は、特に強調するでもなく、
さも当然のことを述べるように言った。

「沛公にとって、今後害賊とみなすべき人物は、
項羽以外におりません」
劉邦はそれを聞いて気分を良くしたらしく、高らかに笑い、
そのせいで息ができなくなり、何度も咳き込んだ。
項羽! げほっ! ……あの項羽が、害賊だというのか! 
本気か、子房?」
張良には特に変わったことを言った意識はない。
涼しい顔をして答えた。
「本気です。沛公が天下を統べる人物たらんと思うならば、
項羽は敵というしかありません。
敵は、つまり害賊です」

劉邦は、それを聞いてしばし考え込み、
やがて立ち上がって宣言し始めた。
「ええと、おほん。……今後宮廷の庫をあばいて重宝、
財物などの物を持ち去ろうとした者は死罪に処す。
すべて封印せよ。あぁと、
それから……宮廷の婦女に対しても同様である。
いたずらに淫らな行為を犯した者は、
三族すべて皆殺しとする……この言葉を士卒に伝えよ」
最後の言葉は、いかにも名残惜しそうであったが、
張良劉邦のそんな様子に不満はなかった。
ちなみに劉邦のこの言葉が伝えられる前に、
庫をあばいた者が少なからずいた。
多くの者は金銀財宝を山分けしたのだが、
ひとり、劉邦のそばにあって内務を担当している
蕭何だけは、
秦の法令や政治文書をいちはやく持ち出し、
これを将来のために保存した、という。

元来がけちな盗賊上がりの劉邦は、
自らに確固とした信念や政略があったわけではない。
劉邦にあったのは、人の能力を直感的に見極め、
それを適所に配置する能力だった。
貴族とは違い、市井にもまれて暮らしてきた者にしかない
能力だと言える。
そして任せたからには、徹底的に任せた。
そうすれば、彼らが勝手に政略などを決めてくれる。
しかし、劉邦は関中の父老連中を集めた際に、

珍しく自らの方針を自分で決めて発表したことがある。
「秦の法は厳しく、父老には過酷だったこと
この上なかっただろう。わしもつらかった。
よって以後、法は三章だけとする。
人を殺した者は死刑、人を傷つけた者、
また人の者を盗んだ者はそれ相応の罪に処す。
その他の秦の法は撤廃じゃ」
この布告が広まり、秦人たちはおおいに喜び、
劉邦を歓待しようと肉や酒をこぞって持ち寄った。
しかし劉邦はこれを断り、
「いやいや、軍糧が余っているわけではないが、
みなさんに負担を強いるわけにはいかない」と述べたという。

単に人気取りをしているようにも見えるが、
この時代の豪傑たちの中には、
この程度の人気取りをする者もいなかったのである。
かくて秦人たちは劉邦の人柄に惚れ込み、
関中王の座が劉邦以外の者の手に渡ることを心配し始めた。
劉邦自身にもそれがわかる。
子房は、関中は一時項羽に明け渡さなければならない、
と言ったが、それでは民衆は浮かばれん。
あの男なら、この地を民衆もろとも
穴埋めにしてしまいかねない。……
わしは項羽と戦ってでもここを堅守するべきではないのか。
柄にもない使命感を感じて、
考え込む劉邦に幕僚でもない男がひとつの提言をした。
「函谷関を閉ざして、項羽の軍が通れないように
守備を固めればよいではありませんか」
そうか! なぜ今まで気付かなかったのか?
民衆の行く末を思うあまり、
項羽と戦っては勝てないことを失念してしまった劉邦は、
この提言をもっともだと思い込み、函谷関を閉ざしてしまった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、 花に例えた古い歌
今さら聞いても、歌っても、何処に置いても、飾っても
花も歌も、枯れてゆく....人生、絵模様、万華鏡...



とまどいルージュ:すぎもとまさ



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる










P R 
きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語