流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

 

韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。



韓信-32


実は章邯は司馬欣の帰還後まもなく、
何度か使者を項羽のもとに送っていたらしく、
講和が成立するのは時間の問題であった。
しかし正式にそれが成立するまでの間に、
徹底的に相手を痛めつけるというやり方は、
いかにも項羽らしい。
敵はあくまでも敵であり、味方となるまでは、
項羽にとって敵なのである。
残酷なようだが、
結果的にこの最後まで容赦しない態度が、
章邯の意思を決定させた。

章邯と項羽の会見は幔幕を張られ、
その中で行われた。こういう場合、
韓信は郎中という役目上、
幕の外で警護することが多く、
今回もその例に違わなかった。
幕の中で、章邯の声がする。
しだいにその声は涙を交えたものになっていき、
最後の方にはまともな言葉になっていなかった。

章邯は項羽に対して、
自分は秦の国運を背負って戦ってきたが、
最後には趙高という
奸臣かんしんのために追いつめられ、
進退極まった、という内容のことを話していた。
韓信には章邯の表情を見ることはできない。
しかし話の内容は充分に同情するに値した。
ここにも、不遇な男がいる。
章邯は、私と同じように、良い上官に恵まれていない。
不覚にも涙をこぼしそうになった。

このあたり韓信は滑稽な男である。
この時点の功績の面からいって、
章邯と韓信では比べ物にならない。
それをわかっていながら、
章邯を自分と同じようだ、と思っているのである。

少々自意識過剰な若者だった、と言えそうである。
幕の中からふたつのすすり泣きの声が聞こえた。
いっぽうは章邯の声であることは間違いない。
だとすればもうひとつの声は、項羽であろう。
この会見では立会人として范増も幕の中にいたが、
韓信には范増が章邯に同情して
泣く男にはどうしても思えなかった。

范増老人は、章邯を誅殺しろ、と主張するだろう。
しかし項羽がそれをするはずがない……
もはや章邯は敵ではなくなった。
項羽にとっては殺す理由がない。……
項羽とは、そういう男だ。

韓信は幕の外でそう思ったが、
その予測は的中する。
項羽は章邯を優遇し、
雍王ようおうとして楚軍の中に置き、
司馬欣を将軍として秦軍を指揮させることにした。
項羽の激情家の部分がさせた人事であり、
危険を感じた范増は、
これに反対して意見を述べたが、
項羽は聞き入れなかった。

うまくいくわけがない。
そもそも項羽は章邯しか見ていないのだ。
章邯の下には何万もの秦の兵がいて、
それが何万もの意志を持っていることを、
項羽は理解しようとしない。
やはり貴族には、
しもじもの気持ちなどわからないのだ。

韓信はそう思いながらも、
捨て置くには重大な問題に過ぎると感じ、
項羽に献言することにした。
面会を求めた韓信に向かって、項羽は、
「お前か。お前のことは士卒が噂しているぞ。
いつも気合いが足りない臆病者だと。
淮陰では市中の者の股の下をくぐったそうだな。
戦地で男を上げようとは思わないのか」と、
おもしろくもなさそうな顔で言った。
韓信はあえてそれを無視して話し始める。

「……雍王(章邯のこと)をはじめ、
秦の兵たちはすべて、武装を解除して
彭城の懐王のもとへ送り届けるべきです。
いま、項将軍においては雍王に同情なさり、
優遇されておいでですが、
事情を知らない楚の兵にとって秦兵は皆、
父母、兄弟の仇なのであります……
彼らは、秦兵とともに戦うなどとは考えないでしょう。
いずれ、衝突がおこる気がしてなりません。
どうかお考えください」

項羽は少し考え込む顔をしたが、
やがて、「君の言うことはわかるが、
すでに決めたことだ。もう言うな」と言って、
奥に引いてしまった。
会見はものの十分かそこらで終わった。

まもなく、破綻はおとずれた。

つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、 花に例えた古い歌
今さら聞いても、歌っても、何処に置いても、飾っても
花も歌も、枯れてゆく....人生、絵模様、万華鏡...



ささやきのタンゴ 石原裕次郎



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……

人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる










P R

きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語