流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

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幸せがつづいても、不幸になるとは言えない
 不幸がつづいても、幸せが来るとは限らない


昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー



白髪の車掌さん
『ほんならな。』その老車掌は最後にそう言葉を残し、
車椅子の彼の列車を後にした。
オレが通学に利用している、県すらまたがない程度の
小さな小さな私鉄、『山陽電鉄』。
利用者こそそれなりにはいるものの、車両もボロく駅も小さい。
すぐ側を通るJRに敵うはずもなく、
ほそぼそと地元の人の交通手段のひとつになるに過ぎなかった。

通学の足にその電車を利用しているオレは、
今日のように夕方頃にその電車で帰っていると、
普段から見知ったひとりの青年を見かける。
年齢は20を過ぎたあたりだろうか。
彼には重度の障害があった。
脳の障害を初め全身の末梢神経が麻痺し、
歩くことも手をスムーズに動かすことも、
喋ることさえできないようだ。

それでもいつも、電動車椅子にのって
終点の駅から終点の駅へと、
どこかへ通うためにこの電車を利用していた。
通う理由が何なのかはオレは知らない。
でもひとつ言えるのは、車椅子で通うには
多くの苦労と人の手がかかってるであろうというくらいか。
そしていつもその彼を助ける、ひとりの車掌の姿があった。

60前後の、背の小さな白髪の車掌さん。
オレが見る限り、彼が勤務している時は
ほとんど彼に会いに行っているんじゃないだろうか。
オレが今まで見た限り、彼の世話をしてあげるのは
たいていはその白髪の車掌さんだった。
車掌の仕事は、段差のあるホームから車両へと、
板を架けて乗車できるようにするというもの。
恐らく利用者へのボランティアだろう。
しかしその車掌さんは、他の無愛想な車掌と違い
いつも彼に親しく話しかけ、
乗り換え駅のホームに早くからその板を持って
彼が乗る列車を待っていた。

今日もいつもの通り。オレは彼と同じ車両に乗り合わせ、
乗り換えに降りる彼を迎える例の車掌の姿も。
明るく話しかける老車掌と、喋れないがために
ワープロ形式の合成音声に頼る彼とのテンポの遅い会話。
指も麻痺しているため、伸ばした人差し指で
おぼつかない様子で簡単な言葉を打ち込む彼の姿も、
オレとしても変わらない光景だったろうし、
彼にとってもそうだっただろう。

しかし老車掌が雑談の後に切り出した話は、
いつもの雰囲気とは大きく違うものだった。
『わし、もうここ辞めるんやわ。多分会えるのも、
今日で最後やと思う』
あまり変化させることのできない彼の表情も、
気持ち曇ったように感じた。
定年退職だろうか。電鉄業界にどのような
規則があるのかはわからないが、
その車掌は確かに辞める旨を伝えた。

彼は文字を打つのすら忘れて、固まっていた。
発せられた言葉を、未だに信じられないとでも言うかのように。
老車掌は話し続けた。
わしがおらんで大丈夫かだの寂しいかだの、
皮肉で、『わしがおらんくなってせいせいするか、ははは。』と
笑ってみせたりもした。
なのに彼は何も言わない。下を向いて固まっていた。
しばらく話し続けると、老車掌は左腕の腕時計を一瞥した。
発車時刻が近いのだろう。

『ほんならな。元気でやれよ』そう言って、
下を向いたままの彼を車内に残し、
ドアの外へ向かおうと足を踏み出した。
すると車掌の腕に何かが触れた。
それは、ぎこちない、彼の手だった。
話せない彼の、精一杯の意思表示。

ちょっと待って、と。振り向いた車掌を確認した彼は、
その右手でおぼつかなくキーボードを叩いた。
たった五文字。『 あ り が と う 』と。
そのたった五文字に、口べたな彼の想い全てが
つぎ込まれていた気がした。
車掌は振り返り、涙が混じりつつも、
今日一番の笑顔をしてみせた。
そして出発のブザーが鳴り響く。
車掌はドアの外のホームに出る。

車掌は最後に、彼に笑顔で敬礼をしてみせた。
それに答えるように、上手く伸ばせず曲がりきった五本の指で、
彼も目一杯の敬礼をする。
老車掌は、ドアが閉まり列車が動き出してもなお、
ホームで敬礼を続けた。
そして彼もなお、瞳から大粒の涙をこぼし、
いつまでも敬礼を続けていた。…!!




お兄ちゃん有難う




赤い交換ノート
私が中学2年生の時の話。
思春期に入り、親と喧嘩することが多くなった。
家が大嫌いで煙草を吸ったり万引きをしたり
毎日夜遅くまで遊んで家に帰らなかったりした。

そんな不良になった私を両親はいつも真剣に叱ってくれた
なのに私は「うるさい。私の事は放っといてよ?
もう見捨ててくれていいし。」なんて
両親を傷付けるような事ばっかり言っていた。
ある日、久々に家に帰り自分の部屋に行くと、
見たことのない真っ赤なノートが机の上に置いてあった。

中を見てみると、1ページぎっしりに文章が書いてあった。
それは母の字で「 これはゆな(私)とお母さんの
秘密のノートです! 
あなたが産まれた時、私は本当に嬉しかった。
やっと会えたねって泣きながら喜びました。
産まれたばかりのあなたは小さくて、本当に可愛いかった。
そんなあなたも中学2年生!
本当に成長しました。今、
あなたは多感な時期できっといろんな事に敏感だと思う。
しんどい事もきっとあるはず。
でもあなたは1人じゃない。お母さんや、お父さんがついてます!

何があってもお母さんはあなたを見捨てたりしません。
死ぬまでずっとあなたの味方です。
あなたが大事だからお母さんは叱ります。
あなたにとってお母さんはうざったい存在かもしれないけど、
愛があるのであなたに向き合います。
最後に、こんなお母さんだけど
時には喧嘩しても仲良くしてね。
産まれて来てくれて、ありがとう。お母さんより。」

涙が止まらなかった。今までの自分を恨んだ。
私、お母さんを傷付けたのに迷惑かけたのに、
それでもお母さんは真剣に向き合ってくれた。
そして最後に、「これは交換ノートだから
暇な時に回してね!」と書いてあった。
お母さん、中学2年にもなって交換ノートなんて恥ずかしいよ。
でも、恥ずかしさなんて忘れるぐらい嬉しいよ。
お母さん、ありがとう。…!!




甲子園にかけた思い




相合い傘
高校生の時、嫌な事があった
クラス全員から冷たい目で見られてるような気がした。
学校帰りの夕方、運悪く朝は晴れていたのに
どしゃ降りの雨が降ってきた
バス停で濡れ、バスを降りる時、濡れた床に足を取られ、
豪快にぶっ倒れた。
バスの運転手が面倒くさそうに、「大丈夫か?」の一言
その顔がひどく冷淡に見え、
返事もせず、慌ててバスを降りる俺
まだ強く雨が降っている
傘など持ってない俺
転んでドロドロだしどうでもいいわと歩き出すと、
背後から声をかけられた

「あの~○○寺に行きたいんですが」
眼鏡をかけた初老のおじさんと、妻らしき人
うっとおしく思いながらも丁寧に道を教える俺
足早に帰ろうとしたら、
「行き先途中まで一緒に行きませんか」とおじさん
俺が不機嫌な顔で断っても
「まぁいいじゃないですか」とニコニコしながら
傘に入れてくれたおじさん

体の大きい俺。おじさんの傘は小さく、
肩がはみ出て濡れてしまう
俺が濡れたら悪いので走って帰りますと言っても、
「濡れついで。道もわからないしつきあってくださいな」
寺は一本道なんだけどな。
そうこうしてるうちに俺の家の前まで来た
「ありがとうございました。寺はすぐそこです」と礼を言うと、
おじさんは「ありがとう助かったよ。
風邪ひくからすぐ体ふきなよ。じゃあね」と、
寺に向かい歩き始めた。

なぜか小さくなっていくおじさんの背中を
眺めていた俺。
おじさんの奥さんの声が聞こえたんだよね
「お父さん、寺なんか行ってどうするんですか(笑)
もう閉まってるだろうし」
おじさん傘に俺を入れるため
行きたくもない寺まで歩いてくれたのかな
雨で冷たくなったはずなのに
なぜか俺の体があったかくなるような感じがしました……



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから。

人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる








P R
 
きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語