流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。 
 
 
 
韓信-27

北上する章邯のもとへ、ひとりの武将が
兵を引き連れて合流を果たした。
趙の将軍の李良という男である。
李良はもともと秦の将官であったが、
このときは趙王武臣の命により、隣国の
燕や代(だい)の地を制圧するべく奮闘していた。
周囲の者の中には彼の前身から、
その忠誠を疑う者も多くいたが、
李良自身には秦へ帰順する気などは微塵もない。

このときも秦軍から、戻ってくれば優遇する旨の
書状を受け取っていたが、彼はそれを意にも介さなかった。
李良は秦の勧誘の書状を突っぱね、
兵の増強を求めようと趙の首都
邯鄲(かんたん)へ向かおうとしたが、
その途上で豪勢な車馬を連ねた行列に遭遇した。
彼はこれをてっきり趙王武臣の車列だと思い込み、
道ばたにひれ伏して挨拶した。

しかし……それは武臣ではなく、武臣の姉が
物見遊山に出かける車列であった。
酒に酔った武臣の姉は李良に対して、
挨拶が不十分だと罵り始めた。
自分が戦地で死ぬ思いをしているときに
物見遊山などしていることだけでも腹が立つのに、
愚弄されるとは、李良にとって思いもしないことだったろう。
やりきれない思いを我慢しきれなくなった李良は、
意を決して武臣の姉を殺し、
その足で邯鄲に突入して武臣を殺害した。

秦に帰順することに決めたのである。
しかし趙側もやられてばかりではない。
大臣の張耳はすばやく旧王族につながる
趙歇(ちょうけつ)という人物を探し出し、
武臣のあとに据えて王とした。
さらに弟分の陳余に命じて李良を討伐させ、
これを敗走させた。
そして敗れた李良がたどり着いたのが、章邯の軍である。
章邯は李良を援助する形で邯鄲を襲撃し、
城壁を破壊しつくし、住民はよそへ強制的に移住させた。
趙王歇と張耳は北方の鉅鹿(きょろ)城に逃げたが、
そこも秦軍に包囲され、攻撃され続けた。

鉅鹿の城内は食料が底をつき、
餓死者で埋め尽くされていった。
いっぽう楚では、項梁の死に事態の緊迫を感じた懐王が、
都を盱眙から彭城(ほうじょう)に移し、
そこに全将兵を集めた。御前会議の開催である。
「我が軍が武信君(項梁)を失ったことは
痛恨の極みであるが、もともと楚は
彼ひとりのものではあらず、
余(わたし。王の一人称)が存命な限り、楚は安泰である」
懐王の精一杯の自己主張だ。

修羅場の定陶から逃れて会議の末席に座を置いた韓信
そう感じたのは、特に皮肉からではない。
懐王が傀儡(かいらい)であることは楚兵の共通の認識であり、
その認識の外にあるのは懐王本人だけであった。
懐王の言葉は続く。「いま秦軍は趙国の鉅鹿城を包囲し、
わが楚にも趙から救援の依頼が来ている。
趙は秦を打倒するという目的をともにする同志であり、
余としては無視することもできない。
よって趙を救うべく、我が軍隊の主力をもって
あたろうと考えている」

一座がざわめいた。ついに章邯と雌雄を決するときがきた。
それを千載一遇の機会と考えるか、
無謀な暴挙と考えるかは個人の考え方次第である。
「静まれ。余の話はまだ終わりではない。……
窮乏している趙には気の毒だが、
趙を救援する我が国の部隊は、実は囮である。
主力を囮とするあたりがこの作戦の妙だ」
会議の座はいっそう騒がしくなった。
将官たちがけげんそうな表情を見せるのが
悦にいったらしく、懐王はさも嬉しそうな顔をした。
「趙へ向かう主力軍とは別に一隊を編成し、
西進して函谷関を抜く。
秦の主力が趙に向いている今であれば、
必ずや成功する作戦であろう」さらに懐王は語を継いだ。

「真っ先に函谷関を抜き、関中の地を平定した者を
関中王とする」これは、別働隊の将を
王とするということだろうか。
ならば誰しも趙へ遠征などしたがらないだろう。
韓信はそう思ったが、別働隊は主力ではないのだから
兵力も劣ることを考えると、函谷関にたどり着く前に
殲滅する可能性もないとはいえない。
そこまでいかずとも、別働隊が苦戦する間に
兵力の充実した主力軍が趙を平定し、
西進すれば先に関中にたどり着くことも可能である。
そう考えれば、懐王は傀儡と言われながら、
絶妙な作戦を思いついたものだ、と思われた。
問題は誰が主力を率い、誰が別働隊を率いるかである。
将官連中が等しく固唾を飲みながら、
任命のときを待った。

懐王はまず主力軍の大将を任じた。
「宋義!」あんな太鼓腹の男に
軍の指揮などまかせて大丈夫なのか。
そんな韓信の思いとはよそに、懐王は任命を続ける。
「副将は、項羽。末将は范増」
将官たちのため息をよそに、任命は続けられた。
「別働隊の将には、劉邦を任ずる」
なるほど。たしかに主力ではない。
韓信は合点がいった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
花に例えた古い歌
 今さら聞いても、歌っても、 
 何処に置いても、飾っても
  花も歌も、枯れてゆく....
  人生、絵模様、万華鏡...


作詞:ちあき哲也/作曲:杉本眞人
忍冬 すぎもとまさと


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……


人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
お風呂物語