流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

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 紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる

そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。 
 
 
韓信-24・無聊
 
外見も、生きざまも、恐ろしい男よ。
周囲の雑兵たちから黥布にまつわる話を聞いた韓信はそう思った。
釣りをして生計を立てていた自分とは、
生きる世界が違う、と思わざるを得ない。
あれくらいの迫力がなくては、人を率いることは

無理なのであろうか。

自信を喪失しかけたとき、黥布となごやかに談笑している男が
韓信の視界に入った。
「……眛!」黥布と話しているその男が鐘離眛であったことは、
韓信に相当な衝撃を与えた。
その様子からいって黥布と対等の立場であることは明らかで、
これは鐘離眛が項梁配下の将軍になったことを意味した。

以前の美童の面影を残しつつ、風格を加えたその外見は、
どこか危うさを含んでいるようであり、近寄り難さを感じる。
眛……将になったか。皮肉なものだな。
かつて将になると言った私は兵の身分に甘んじているのに、
兵になると言った眛は将の地位に……
皮肉、皮肉! 韓信に羨望の思いがなかったかといえば、
嘘になる。

このとき確かに韓信は、自分と鐘離眛の
覇気の違いというものを意識した。
眛にはおめでとう、とでも言うべきであろうか。
しかし、あまりの二人の間の身分の違いに韓信は恥ずかしくなり、
できることなら気付かれないうちにこの場を去りたい、と思った。
が、不幸にも目が合ってしまった。

「信……?」気付いて近寄ってきた鐘離眛に向かって、
韓信は貴人に対するように、うやうやしく頭を地面に擦り付け、
ぬかずいた。
いわゆる頓首とんしゅの礼である。
鐘離眛はきまりの悪そうな顔をして言った。
「そんな真似はよせ。私と君の仲ではないか」
韓信は他者に聞こえないよう、小声で答えた。
「わかっている。が、人が見ている。
雑兵に過ぎない私が君と対等に話をして、
君の格を下げることはできない」

「そうか……ならば他の場所で話そう」
二人は他人に見られない場所に移動し、
栽荘先生が亡くなったことや、戦況の様子などを話した。
それによると黥布の能力をいち早く発見し、
彼を説得して項梁配下に連れてきたのは
鐘離眛自身だという。
黥布と鐘離眛は友軍の将の間柄であった。

「眛、出世したな。私などは及びようもない。
私には今の君が眩しく見える」
「……信、君が望むなら、黥布と同じように
君のことを推挙してやってもいい。
私の言うことなら、項梁どのは聞いてくださる。……
君は武芸にも練達しているし、頭もいい。
充分将軍としてやっていける」
「…………」なにも言わない韓信を見て、
鐘離眛はあきれたように言った。

「君がそうやってだんまりを決め込むときは、
私の意見に賛成しないときだ。推挙されるのは嫌か。
まあいい……それならもちろん私の下で
軍務を勤める気もないであろうな」韓信は頷いた。
「……人に借りを作るのは、あまり好まない。
眛、君の気持ちはありがたいが遠慮しておく。
私は私なりにこの乱世を渡り歩いていくつもりだ」

鐘離眛は、そうか、と言ってそれ以上勧めはしなかった。
「それならそれでいい。しかし、私が言うのも何だが、
天下はまだまだ安定しないだろう。
昨日まで味方だった者が、今日になってみると敵、
ということもざらにある世の中だ。
あるいは、私と君が敵対することもあるかもしれん。
その時になってからでは、私は君を助けることはできないぞ」
韓信は少し気分を害した。幼少の頃から、
常に眛は韓信を弟分のように扱う。
今も言葉の端にそれが見えたからである。
「眛、君と私が敵対したときに助ける立場にあるのは
私の方かもしれぬ。
しかも私は君を助けるとは限らない。
斬らねばならぬ時は、たとえ相手が君であろうとも……
私は君を斬る」

韓信の言葉は挑発的なものであったが、
鐘離眛に動じた気配はない。
一足早く乱世に足を踏み入れた者の余裕であった。
「当然だ。それはこの時代の武人のあるべき姿だ。……
信、君は幼少の頃から私より剣技に長じ、
兵法を学んでも君の方が常に上だった。
しかし、それでも……ふふふ、私は君に負けるとは思わない」
「なぜだ」鐘離眛は韓信の目を見据えて言った。
「信、君は私を斬れない。
技術の問題ではなく、気持ちの問題だ。
自分でもわかっているだろう」鐘離眛は、
韓信の肩を叩いて晴れやかな表情を浮かべつつ
去っていった。
二人の運命は、まだ先が見えない。
つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
花に例えた古い歌
 今さら聞いても、歌っても、 
 何処に置いても、飾っても
  花も歌も、枯れてゆく....
  人生、絵模様、万華鏡...



小林旭 / 流浪



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……


人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる









P R


お風呂物語