流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

歴史・履歴への許可証

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歴史・履歴への許可証


昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー
 
 
日本民話 

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 きっちょむさん(漢字では吉四六)は、
大分県大野郡野津町に実在した人物で、
酒造業をいとなんでいた
初代広田吉右衛門であるとされています。

ある年のお正月の事です。
吉四六さんは村人たちと一緒に、
山ヘたきぎを取りに行きました。
その山には、しいの木(→ブナ科の常緑高木)が
たくさん生えています。

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 村人たちは、
せっせと木の枝を落とし、
それを束ねて
たきぎを作っていきました。
 
ところが吉四六さんは
大きな木の根っこに腰をかけて、
のんびりとタバコをふかしています。

また、何かとんちを考えているのでしょうか?
そのうちに、村人たちはたくさんたきぎを取ったので、
「さあ、そろそろ帰ろうか?」
「そうだな。これくらいあればいいだろう」と、
取ったたきぎを背中に背負って、帰ろうとしました。
それを見ていた吉四六さんが、村人たちに声をかけました。
「おいおい、お前さんたち。
そんな木を、かついで帰る気かい?」
すると村人たちは、おどろいて尋ねました。
「えっ? そんな木って、どういう事だ?」

「だって、そのたきぎは、しいの木ばかりじゃないか」
「そうだよ。それがいけないのか?」
村人は、不思議そうに尋ねました。
すると吉四六さんは、こう言いました。
「いけないのなんのって、しいの木は
『かなしい』と言って、とても縁起の悪い木だ。
おまけに今は、お正月じゃないか。
こんなめでたい時に、何だって
『かなしい』木をたくさん家へ持って帰るんだろうね」
それを聞いた村人たちは、顔を見合わせると、
「へえ、それは知らなかった。
なるほど、確かにめでたいお正月に
『かなしい』木なんぞ持って帰ったら、
女房や子どもが可愛そうだな」と、
せっかく集めたたきぎをそこらへ放り出して、
また別の木を切り始めました。

「へっへっへ。しめしめ」吉四六さんは、
みんなが放り出したたきぎを集めて
山ほど背中に背負うと、
「それじゃ、みなさん。お先に帰らしてもらいますよ」と、
一人でさっさと帰ろうとしました。
村人たちは、びっくりして、
「おいおい、吉四六さん。お前、
そのしいの木のたきぎは『かなしい』と言って、
とても縁起が悪いって言ったじゃないか」
「そうだよ。そんな物をかついで、どうするつもりだ?」と、
口々に言いました。

すると吉四六さんは、すました顔で言いました。
「いやいや、このしいの木は、
『うれしい』と言ってな、
とても縁起が良い物なんだ。
まして今は、お正月じゃないか。
こんな縁起の良い事があるもんか」
それを聞いた村人たちは、
「しまった。またしても、吉四六さんにやられたわ」と、
くやしがったそうです。


おしまい


「頭の池」(Pond Head)
 
 

きっちょむさんの村には話しを聞くのが何よりも好きな
お金持ちのおじいさんがいて、以前、きっちょむさんにたのんで
話しをしてもらったのですが、
「まさか、そんな事はありゃんすめえ」と言わない約束に失敗して、
きっちょむさんにお米を一俵(いっぴょう)取られた事があります。

→ 『まさかの話し』

 そのおじいさんが、またきっちょむさんに言いました。
「きっちょむさん、たいくつでたいくつで仕方ないんじゃ。
何か話をしてくれんかな」
「まあ、しても良いですが、今度もまた話しの途中で
『まさか、そんな事はありゃんすめえ』と、

言わない約束をしてくれますか?」
「いいとも、いいとも。もしも言ったら、今度も

米を一俵(いっぴょう)やろう」
「また、米ですか。前にもらった米にも手をつけていないので、
今度は米ではなく、お金の方が」
「よし、それなら、こうしよう。ここに千両箱を置いて、
もしもわしがその言葉を言ったら、その千両箱を

  持って帰ってもいいから」
おじいさんが本当に千両箱を用意したので、
きっちょむさんは話を始めました。
 
 
自分の頭を食べたヘビ」 
むかし、あるところにクチナワという
ヘビがいました。
そのヘビは冬ごもりの準備に、
どこからか手に入れた餅(もち)を
巣穴に持ち込みました」
 


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「ふむ、なるほど」
「そして冬になって雪がつもり始めた頃、
ヘビは巣穴の中でその餅を食べようとしたんだが、
何と餅と思っていた物は、実は餅に似た白い石でした」
「ふーむ、なるほど」
「外はすでに大雪なので、今さら食べ物を
 探しに行くことも出来ない。
 こまったヘビは仕方なく、くるりと首を回して
 自分の尻尾を一口かじった」
「なるほど、なるほど」
「それからもヘビはお腹が空くと自分の尻尾をかじっていって、
冬が終わる頃には、残っているのは頭だけでした」
「うーむ。まさか・・・」
おじいさんは言いかけて、危なく思い止まりました。
「体がなくなっては、春になっても動く事が出来ない。
そこでヘビは仕方なく、
『おらの命も、いよいよこれまでか』と、言って、
最後に残った自分の頭を、大きな口を開けて
パクリと食べてしまったんじゃ。
こうしてヘビは、この世から消えてしまった」
これを聞いたおじいさんはすっかりあきれかえって、
思わず言ってしまいました。

「まさか、そんな事はありゃんすめえ!」
するときっちょむさんは、ニヤリと笑って、
「はい、千両箱をありがとうございます」と、
千両箱をかついで帰って行きました。

おしまい 


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから。


人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ 
 
 
時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語