流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

歴史・履歴への許可証

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歴史・履歴への許可証


昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

 
日本民話

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むかしむかし、ある寒い年の事、
小さな村に旅のお坊さんがやって来て、
ひと晩泊めてくれる家を探していました。
けれど、どの家に行っても、
「悪いが、他を探してください」と、断られます。

 
断られ続けたお坊さんは、最後に村で一番貧しい
一人暮らしのおばあさんに頼みました。 
すると、おばあさんは、
「食べ物どころか、うちにはいろりの火もありません。
それでもよければ、どうぞお泊まりください」と、
お坊さんを家に入れてくれました。
家に入ったお坊さんは、火の消えたいろりのそばに座ると、
念仏を唱え始めました。その姿を見たおばあさんは、
(ああ、せっかくお坊さまが来てくださったのに。
 何のおもてなしも出来ぬとは)と、
目に涙を浮かべると、そっと戸を開けて外に出ました。


「せめて、菜っ葉の一枚でも残っていれば」
おばあさんは寒さに震えながら自分の
小さな畑へ行きましたが、やはり菜っ葉一枚、
残っていません。

そこでおばあさんは、地主の畑へ行くと、
「すみません。いつか必ずお返しをしますので、
どうぞ今日だけは許してくだされ」と、手を合わせると、
干してある稲をほんの少し抜き取りました。
それから、隣の大根畑へ行き、
「今日だけは、許してくだされ」と、手を合わせると、
小さな大根を一本抜き取りました。

こうして稲と大根を手に入れたおばあさんが             
家に戻ると、お坊さんはまだ念仏を唱えています。
おばあさんは稲と大根を置くと、
今度は山へ枯れ枝を探しに行きました。
寒い冬山をさんざん歩き回って、
ようやく枯れ枝を見つけて家に帰ると、
おばあさんは稲を臼(うす)でひいて団子を作りました。
そして大根は小さくきざんで、なべに入れました。
それからいろりに枯れ枝をくべて火をつけると、
大根と団子を煮て団子汁を作りました。


こうしておばあさんは、出来上がった団子汁を
全ておわんに入れると、
「お坊さま。わたしはお腹が空いていないので、
どうぞ全部召しあがってください」と、
団子汁の入ったおわんをお坊さんに差し出したのです。

おばあさんが、ふと戸のすき間から外を見ると、
地主の畑から隣の畑、そしておばあさんの
家まで続く足跡が、雪の上にはっきりと残っていました。
明日になれば、稲や大根を盗んだ事が見つかるでしょう。
きっと、ひどくしかられるに違いありません。
もしかすると、村を追い出されるかもしれません。


しかしおばあさんは、おいしそうに
団子汁を食べるお坊さんを見て、
(ああ、よかった。よかった)と、心の底から思いました。

次の日の朝、目を覚ましたおばあさんが外に出てみると、
あたり一面に新しい雪が積もっていて、
おばあさんの足跡はすっかり無くなっていたのです。
そして今までの事を全て知っていたのか、
お坊さんはおばあさんに微笑むと、やさしく言いました。

「あなたは、とても良い行いをしました。
仏さまは、あなたのした事をお許しになるばかりか、
これからは幸運を授けて下さるでしょう。
では、どうぞ長生きをしてください」

そしてお坊さんは、再び旅へと出かけました。
このお坊さんが言った通り、
それからおばあさんには良い事ばかりが続き、
とても幸せに暮らす事が出来ました。
おばあさんは後から知ったのですが、
おばあさんの家に来たお坊さんは、
あの有名な弘法大師だったという事です。


おしまい
 
 
ゾウの鼻はなぜ長い



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから。



時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
きれいなお風呂・宣言 

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お風呂物語