流れ雲

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昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、


二人目を妊娠したとある夫婦の日記。
「お腹の子は、無脳児でした。」 
~葛藤と感動に包まれた5日間の記録~


「無脳児って言うんだけどね。こういう事、
稀にあるんだよね。
お母さんのお腹の中では生きられるんだけど、
脳がないから、産まれても生きられない。
今の段階での治療法っていうのは、何もないんだよね。
お腹の中では生きられる。でも、
脳がないから、産まれても生きられない。
全然わからない。全然整理できない。

「え。どうしたらいいんですか?」
「今妊娠14週だよね。そうすると、
妊娠12週以降の場合は、普通のお産と同じ形で、
赤ちゃんを出すしかないんだよね。
中絶という事になっちゃうんだけど。」
「中絶?!」「うーーーん。
無脳児ってね、脳がないだけで、
体はほんと普通に育つんだよね。
目もちゃんとあるしね。心臓もちゃんと動いてるから、
どうしても中絶という言い方になってしまうんだよね。
母体のリスクを考えて、母体保護法
中期の中絶をしてもらうことになってしまうんだよね。」
先生はすごく申し訳なさそうに言った。

のちのち、ネットで調べた記事には、
一般的に、医者から中絶を勧めることはほとんどない。
ただ、無脳症の場合だけ、
唯一医者が中絶を勧める病気である。
それ程、無脳症というのは、絶望的な病気である。 と
書いてあった。
頭の中で整理を全く出来ていないし、
現実に心が追い付いてないし、
そもそも全く現状を理解できていない。 
「じゃあ、奥で入院する日を決めてね。」と別の部屋に。
一人でボーッと考える。でも、
何を考えたらいいのかわからなさすぎて、
結局何も考えずに座っていた。受付に戻ると誰もいない。
ボーッと待って、お金払って、車に戻って、
すぐ夫のはんちゃんに電話をした。
声を聞いた瞬間に、号泣。
話さなきゃと思っても、とりあえず、
溜まってた涙が全部流れた。

夫の7月7日
理由なんて、ない。「大事な話があるから、
電話に出られるようにしておいてね。」と、
妻のはなちゃんからLINEが入った。
昼休み。丁度、
店内でチキンクリスプの包み紙を開けるところだった。
数分すると、電話が掛かってきた。
もちろん、はなちゃんは号泣していた。
一通り話を聞いた。余計なことは言わず、言えず、
「うん、うん」と相槌だけ打っていた。
あとは「わかったよ。早く帰るね。」と
低い声で言っただけだと思う。
さすがに食欲は無くなった。
帰社後、会社に事情を説明して、早退させてもらった。
自宅まで車で45分ほど。とにかく色んな事を考えた。
なんでこうなったんだろうとか、
もしあれがこうだったらとか、
とりとめのないことばかりを考えていた。そして、
人から聞いた話を思い出した。

お寺の禅の話。
最初に叩かれた時は、体が動いたのかと考える。
しかし、その後も叩かれ続けていると、
「過去の自分の行いが悪いのかも知れない」と
思い始めてしまうそうだ。
つまり、人間は理由の分からない、
納得のいかない出来事に直面すると、
心のバランスを守るため、
無理やりにでも理由を作ってしまう生き物なんだ、と
まさしく今の自分もその状況だと思った。
きっと、理由なんてない。誰も悪くない。
ただ、現実に起こってしまったこと。
ただそれだけだけのことなんだ。と受け止めた。
俺は今から、はなちゃんを支えなければいけない。
落ち込んでなんていられない。

帰宅すると、すぐにそうたろうを保育園に
お迎えに行く時間だった。
はなちゃんは私一人で「お迎えに行ってくれ」と
頼んできた。
「なんだかそうたろうに会わせる顔がない」と。
でもそれは断った。そうたろうが心配する。
そこは逃げちゃ駄目だと。素直に納得してくれて、
一緒にお迎えに行った。初めて二人で行ったお迎えに、
そうたろうは満面の笑みだった。
やっぱり、子どもの無垢な笑顔には癒される。
私たちには、そうたろうがいる。
それだけで、恵まれていることだと思った。
もし、彼がいなくて二人きりだったら、
沈むところまで沈んでしまうのだろう。

 夜、少しだけ無脳症について調べてみた。
ネットでは数万人に一人はおろか、
千人に一人の確率とも書かれている。
そんな多いはずがないと心から思う。
こんな思いが「珍しいことでもなんでもない」では、
安く片付けられているようで、納得ができなかった。
はなちゃんはとりつかれたように、携帯で
無脳症について調べ続けている。
少しでも、ほんの少しでも、
この苦しい思いや不安を解消させてほしいと
「薬」を探しているようだった。


つづく

引用元:「お腹の子は、無脳児でした。」
ご夫婦の日記



先生に言われた言葉

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから。


時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
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