流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

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メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

Author:紀之沢直

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韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。 
 
韓信ー6
母が働いてばかりなので、
韓信は栽荘先生のもとに預けられてばかりだったが、
不満はもらさなかった。口数も少なく、
幼児特有のうっとうしさがなかった。
落ち着きがあると言えるかもしれないが、
どちらかといえば子供らしくない、と言った方がいいだろう。
可愛げがないと言い換えてもよく、 
傍目からはあまりなにを考えているかわからない
子供だったので友人は少なかった。
しかしこの時代は戦乱期であり、
子供たちを奔放に外で遊ばせておけるほど
治安が良かったわけではないので、
友人が少ないのは韓信に限ったことではない。
だがそんな韓信でもまったく友人がいないわけではなかった。

栽荘先生のもとで韓信と席を並べて学んだ同年代の子供がおり、
名を眛(まつ)といった。伊盧(いろ)の出身だと
言われているが、現在では伊盧がどこにあるかは不明である。
その眛は姓を「鐘離(しょうり)と称していた。
これは当時の寿春(じゅしゅん)の北東、
淮水(わいすい)沿いにある地名に由来すると思われる。
しかし眛自身が鐘離出身だということではなく、
おそらく先祖に鐘離の豪族を持つ、ということだろう。
鐘離眛は韓信と違い、聡明さが表に出るタイプの子供だった。
美童であり、その性格は活動的だった。
少々陰気な印象の韓信が横にいると、さらにその差が際立つ。

あるとき栽荘先生が二人に問うたことがあった。
「秦が天下を統一してから大体十年が経ったな。
最後に残った斉(せい)が降伏して
戦乱の世は終わったわけだが…秦の統治は厳しく、
そのため長く泰平の世が続くとは思えん。
いずれ世はまた、乱れるであろう。乱世じゃ。
そこでおまえ達がそのような乱世をどうやって生き抜くつもりか、
将来の展望を聞いておきたいが、どうだ?」

即座に鐘離眛は答えた。
ふたりのうち先に喋るのは、常に眛の方である。
「私は、兵になります。それも屈強な兵となって、
邑を守り、家族を守り愛するすべてのもののために
戦ってみせます。
そのためには死を恐れません」少年らしい意見であった。
栽荘先生はこれを聞いて微笑したが、
さほど感銘を受けた様子はなかった。
いかにも鐘離眛らしい意見だったからである。
かえって韓信の方が何を言うか、興味深いようだった。
「信、おまえはどう思う」

韓信はしばらく考えていたが、やっと口を開いて答えた。
「決して兵にはなるな、といつも母親から言われています。
だから私は兵にはならないでしょう。
今、眛はあらゆるものを守るために
死を恐れぬ、ということを申しましたが、
私の考えは違います。どんなに意気込んでみせても、
死んでしまっては、何も守れません。……
兵となり戦って敗れ、その死体を
原野にさらす、ということを美しい行為だと思うのは、
私に言わせれば自己満足の極みです。
いくら美化してもその多くは無駄死にに過ぎず、
国のために死んでも報われることはなにもありません。
だから私は乱世になって、
どうしても戦争にかかわらなければならないとしたら、
思い切って将になりたいと思います」

栽荘先生はこれを聞いて、笑った。
韓信を馬鹿にした笑いではない。
手厳しく現実をずばりと言い抜きながら、
その後の論理が飛躍しているその二面性に、
いかにも韓信らしさをみたのである。

鐘離眛も笑いながら言った。
「おまえや私のような平民が将になるには、
兵隊から成り上がるしか道はないのだぞ」
韓信はなにがそんなにおかしいのか、とでも
言いたげな顔をして答えた。 「それは、わかっている。
しかし、兵では世を変えることはできないし、
だいいち、私は死ぬのが嫌だ。 だから実を言うと、
将来なにをすべきかよくわからないのだ」
眛には自分の考えを韓信に否定されながら、
怒った様子はない。 彼は無意識ながら
韓信のことを一段下の人物と見ているようで、
このときも物わかりの悪い弟にでも言うような口調で
諭し始めた。 「おまえは無駄死にだとか、
兵では世を変えられないとかさかんに言うが、
要するに死ぬのが怖いだけだ。死の恐怖を乗り越え、
兵士として生き残ることができた者のみが、
将となりうる。臆病な将に兵がついてくるものか」
韓信は奮然として答えた。 「私が将となった暁には、
味方の兵を死なせない。
そのくらいの気構えはあるつもりだ」

栽荘先生はふたりの議論が熱くならないうちに、
水を差した。 どのみち答えなどない議論である。
「よいかふたりとも。よい兵や将になるためには、
ただ武芸に達しているだけでは充分ではない。
よく学問してあらゆることを論理的に考えられるように
ならなければならん。
おまえ達にはまだ時間がある。
よりいっそう学問に励め」
栽荘先生はそう言ったものの、
ふたりの将来に不安を感じた。…


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
花に例えた古い歌
 今さら聞いても、歌っても、 
 何処に置いても、飾っても
  花も歌も、枯れてゆく....
  人生、絵模様、万華鏡...

 


Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
花に例えた古い歌
 今さら聞いても、歌っても、 
 何処に置いても、飾っても
  花も歌も、枯れてゆく....
  人生、絵模様、万華鏡...



サチコ  八代亜紀



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





P R
きれいなお風呂・宣言

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 お風呂物語