流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

妄想劇場・番外編

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、


慈善療法 
ガニマータ君は、どうかしたはずみに、
意味もなく「オタンチン」という言葉を発する
妙なクセがあった。
家庭の中で発するぶんには、
べつにどうということもないが、
公衆の、それもお歴々の面前などで発すると、
とんでもないことになる。
ある日、とうとう権威ある舞踏会の席で、
それがでてしまい、いっしょに踊っていた
貴婦人のご機嫌をそんじ、大恥をかいた。
ガニマータ君は、すっかりくさってしまい、
細君にすすめられて、医者のところへ相談にいった。

「どうも、この病気は、薬ではなおりませんな。
精神療法というやつでやりましょう。
つまり、だんだんになおしていくというやりかたです。
まず、あなたが、その妙な言葉を口にしたら、
すぐポケットから百フランだして、
手近かにいる誰かに、にめぐんでやりなさい」
「うむ。そりゃいい、慈善療法というやつですね」
ガニマータ君は、さっそく、
この療法をやることに決心した。 
その日は、友だちのひとりが、
結婚をすることになっていたので、
教会へいった。が、驚いたことには、
中は、からっぽで、
若くて美しい掃除婦のほかには、だれもいなかった。

ガニマータ君は、
床をみがいている娘に近づいて聞いた。
「ドン君の結婚式が、今日、ここであるはずなんだが、
きみはしらないかね」
「あら、ドンさんの結婚式なら、昨日おすみでございますよ」
「なんだって?昨日、すんだ。チェッ!
このオタンチンめ!」
そこで、はっと気づいて、あわてて百フラン取りだすと、
その娘の手に握らせた。

百フランを握らされた娘は、
少なからずあわてた様子だったが、
ポッと頬をそめて、
むこうの懺悔室の方を流し眼にみながら、
「あそこでよろしいでしょうか?」

西洋風流小咄集 より



同じ仲間
女中のマリーが妊娠しました。
もう、かくすにもかくせない恰好です。
やかまし屋の奥さん、たまりかねて、
「これ、マリーや、いわないことじゃない、
誘惑に負けちゃいけないよ、と、
あたしが、あれほど注意したのに、
いうことをきかないから、天罰てきめん、
それ、そのとおり、
お腹が大きくなってしまったでしょう。
いいかい、ふしだらな子は、もうこれ以上、
ウチにいてもらうわけにはいかない。
さあ、荷物をまとめ、
一週間分のお給金は、あげるから、
出て行っておくれ」

「でも、奥さま」と女中は泣き出し、
「妊娠って、そんなに
大それたことでございましょうか?
奥さまだって妊娠なさいます」
「それは、わけがちがうのよ。
あたしのは、うちの旦那さまだよ」
「だって、奥さま。あたくしのも・・・・」

西洋風流小咄集 より




ご注文品
肉屋の主人のヘンリいィ氏、
ゆっくりとお風呂につかって
一日の疲れを落していると、
かたわらの電話器が鳴った。
「もし、もし、ヘンリィ?わたし、
ベネットよ。
今晩逢いたいの。ぜひいらしてね。
え、今?
そうよ、もう裸でベッドに入ってるの。
じゃ、すぐいらしてね」

楽しい期待に胸をワクワクさせながら、
風呂からあがろうとしているところへ、
彼の妻が入ってきて、ヘンリィ氏を見ると、
嬉しそうに叫んだ。
「まあ、あなた! 今晩が楽しみだわ」
ヘンリィ氏、うっかり、
「ばか、これはご注文品だ。
すぐ届けに行かなくてはいけないんだよ」……

西洋風流小咄集 より




氏神様
えー、夏の夜なンぞは、
寝られないままに公園など散歩いたしますと、
あっちこっちの木かげなンぞで、
よく若い男女が抱き合ったりなンぞしてましてナ、
そんなのを見せつけられて、
かえって寝つかれなくなったりするもので・・・。

こんなのは、昔からあった風景で、昔はと言うと、
村の鎮守のお社、氏神さまの境内なんぞが、
よく利用されたんですナ。
今とちがって、めったに会えない。
人目忍んで、やっとの思いで会うんですから、
会ったとなったら、さアたいへん。

一度すませまして、用意の桜紙かなんかで、
始末しまして、始末したそばから二回戦、
こいつをまた始末しまして、
また、次回がはじまるってエわけで・・・。
そこへ折悪しく、その神社の神主さんが
回って参りましてナ、

「これこれ、おまえたちは、
ここをどこだと思っている。
えッ、神聖な境内で、何をしておるかッ!!」
ハッと驚いたが、苦しまぎれに、
言い訳けのチエも出るもので、

「ハ、ハイ、私どもは、
この神社のためにご奉仕を
させていただいております・・・」
「なに、奉仕じゃと?」
「ハイ、その、氏子をふやす
作業をいたしております・・・
ウーム・・・と神主さん、ツマりましたが、
ふと、この累々たる戦いのあとを見まして、
「ウム、氏子をふやすとは奇特だが、
神社の境内にて、なンたることだ!」
「へ、へッ、と、申しますと?」
「見ろ、このように、神(紙)を
粗末にしておるではないか・・・」 

艶笑落語 より


浮世舞台の花道は  表もあれば裏もある
花と咲く身に男がいれば、咲かぬ花には、
女あり ...



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語