流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想……

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、



クロマチックハーモニカ南里沙
愛のままで




アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

幸せな家庭生活が妻の病死により一転、
悲しみの毎日へと変わった。
幼子を抱えて生きてゆくには
多くの人々の支えがあった。
精一杯生きる中での様々な出会いと
悲しい別れを繰り返し、
不思議な出来事にも遭遇する。
そして、そこには新たな愛が存在していた。……


Author: 壇次郎


どんぐりからの手紙 (第18話)

お盆も過ぎ、残暑の厳しい年のことでした。
私は福島県の山村まで、
古い家具の仕入れに出かけました。
その時は台風が近づいていて、
訪問先の福島県では大雨が予想されていました。
しかし相手の都合上、日程の変更は出来ず、
私は気が進まぬまま車を走らることとなりました。
私は行く途中、道に迷ったこともあり、
その日の帰りの山道はすっかり暗くなっていました。
道は狭い上、土砂降りの雨が降り出しました。
そして更には風も強くなってきました。
東北道が通行止めにでもなったら、
帰れないなあ」と思いながら、
私は車のスピードを上げて狭い山道を下って行きました。
その時、軽トラックの荷台に被せてあった
ルーシートがパタパタと音を立て始めました。
シートを覆う荷台のロープが外れた様です。
「参ったなぁ、こんなところで・・・」
私は道路脇に車を止め、強風と土砂降りの雨の中、
カッパを着て、荷崩れを起こさない様に、
しっかりとロープを縛り直しました。
周りを見渡すと、近くには人家らしき明かりは全く見えません。
暗闇と激しい風雨の中、
車のヘッドライトから乱反射する明かりだけが頼りです。
私が立っている足元の横、
ガードレールの下も、真っ暗で何も見えません。
降った雨水は、大きな泥水となって
真っ暗な道路下へと小石と共に流れ落ちています。
「ここ、やばいかな?」と、思った瞬間です。
足元が崩れ、私は車と共に暗闇へと
吸い込まれて行ってしまいました。
その後は、いったい何が起こったのか
私には分かりませんでした。
どのくらいの時間が経ったのでしょうか。
気が付くと私は大きな木の根元に横たわっていました。
身体には何か、重いものが乗っかっています。
私の身体は全く身動きが出来ません。
また、痛いとか、苦しいとかの感覚もありません。
風雨が強いにもかかわらず、
私には全く外の音が聞こえていませんでした。
そんな時、どこからか、私の指先を照らす様に、
一筋の光が差し込んできました。
それは、かつて咲子と散歩した、
あの白樺林に居た時の様な陽の光です。
まさに春の木漏れ日の様な眩しい光です。
私は、どうにかして身体を起こそうと試みました。
そして、横の大木に手を掛けようとした時です。
何気なく、ふと、その木の根元を見ると
「ビ」という文字が彫られているのに気付きました。
それは、あの時、隆が彫ったビスケットの「ビ」です。
はっきりと、彫ったばかりの「ビ」という文字を
一筋の陽の光がスポットライトの様に照らしていました。

その後も、どのくらいの時間が経ったのでしょうか。
私は気が着くと、病院のベッドの上にいました。
私は不思議にも、大きな怪我をしていませんでした。
怪我は打撲、擦り傷程度でした。
警察の人の話ですと、路肩が崩れ、
私は車と共に、転落したそうです。
偶然にも倒れた車が大木に支えられ、
私の身体は下敷きにならずに済んだそうです。
転落した時にでも、頭を打ったのでしよう。
幸、私は気を失っただけだったそうです。
パトロール中の土木現業所の車が、
私を発見したとの事でした。
私が目を覚ましたのは、その翌朝であり、
それまでぐっすり寝ていたそうです。
昼になり、姉が着替えを持って来てくれました。
私の名詞を見た警察から、
夜、店に電話があったそうです。

由美 「剛、大丈夫かい? 
 警察から電話があった時は、
 心臓が止まりそうだったよ。
 本人は、気を失っているだけで、
 命には別状無いなんて言ってたけど、心配したよ」
剛 「あぁ、参ったよ、姉ちゃん。隆、どうしてる?」
由美 「ああ、心配ないよ。香絵ちゃんが面倒見てるよ。
 あんたにもしもの事があったらと思って、
 今日は学校を休ませたよ。
 今、香絵ちゃんと店の方にいるよ。
 そうそう、電話しておかなきゃね。
 もう、学校行っていいよって・・・」
剛 「それじゃぁ、今日は香絵ちゃんが
 店を開けているのかい? 
 なんだか、香絵ちゃんには、すまないなぁ。
 会計事務所の仕事はいいのかなぁ」
由美 「今の時期は、税理士さんも暇だそうだよ。
 税理士の先生も電話では、心配無いって言ってたよ。
 だから、帰りにでも美味しいお土産、買って帰るよ」
検査の結果、脳波にも異常が見られず、
私は数日後に退院が出来ました。
しかし、仕入れた商品や車は、
使い物になりませんでした。
私の命を救ってくれた大木は、
本当に存在したのでしょうか。
警察の話ですと、その大木のおかげで
私は助かったそうですので、
実在するのは間違いないのでしょう。
しかし、私が「ビ」という文字を見たのは
夢だったのかもしれません。
それにしても、偶然とも思えない不思議な夢でした。
私はその出来事が夢だったのか、
現実だったのか、無理に確かめようと思いませんでした。
心の中で感謝していれば、
それで良いのではとも思っています。

続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる





P R
きれいなお風呂・宣言 
お風呂物語