流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

妄想劇場・番外編

妄想劇場・番外編

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、

 
 
フラメンコ・ギター パコ・デ・ルシア
Moliendo Cafe' (コーヒールンバ)




銀座の猛者(「銀座三四郎」改題短縮版)
1950年、新東宝富田常雄原作、八田尚之脚本、
市川崑監督作品。

荒井は、大陸で約束したね。内地に帰ったら、
カナリヤを飼ってマリエを待っているよって…と告げるが、
マリエは笑いながらありがとうと繰り返し、
でもダメなんですと悲し気に答える。
そんなことはない。例えそんなことがあったにせよ、
君のせいではない。式を挙げよう。
これからが本当の生き甲斐だよと説得するが、
マリエは、私、あなたとは結婚できない。
あの男と一緒なの。ごめんなさいと詫びる。
それを聞いた荒井は、今夜、限りきれいに
約束は取り消そうと呟くのだった。
マリエは、今の私は、バーのマダムで
贅沢な暮らしですと答える。
そんなマリエに、酒を注いでやった荒井は
一杯やろうと勧め、2人はグラスの酒を飲む。
帰り際、マリエはこのカナリヤを私に下さらない?と
頼んで来たので、荒井は鳥籠ごと渡してやる、
送ろうと言うが、マリエは1人で帰りたいのと言い残して
去って行く。

翌日、生死不明の女にバッタリ出会ったと話しながら、
「鳥銀」へやって来た荒井と松原を出迎えた銀平は、
松原さんに1本つけて来いと種子に命じる。
ただ、その女とは結婚できないんだ。
人の奥さんになっていた。改めてお願いがある。
絹江さんをお嫁にくれないかと荒井が申し込むと、
喜んだ銀平は、俺にも1本持って来い!と
種子に声をかける。
もういつ ころっと往っても良いんだと
銀平は相好を崩しっぱなし。
その日から、女学校の生徒たちも、
今日は絹江先生がとても張り切っている。
昨日の午後も1人で走っていたわと噂し合う。
荒井の診療所には、今日から松原大三さんが
手伝ってくれますという貼紙が貼られていた。
そんな中、電話が鳴ったので、
荒井が受話器を取ると、何!倒れた?と声をあげる。
カナリヤのマリエが倒れたという知らせだった。
早速往診に出向いた荒井は、
カナリアの鳥籠が置いてある寝室で寝ているマリエを診て、
神経衰弱なので静養が必要だと診断すると、
ひどく悩んでいるね。正直に言って欲しいと頼む。

マリエは、私は浅ましい奴隷なんです。
獣のような男の暴力に犯されたのです。
今はその男の情夫の1人です。
その男は刑務所に行くことを誇りにしているような
相手ですと苦しそうに打ち明ける。
それを聞いた荒井は、バカバカしい話だ。
僕は君を徹底的に回復させると約束する。
しかし、診療所に戻って来て、
マリエのためにヤクザと戦うつもりだと打ち明けた
荒井の言葉に松原は反対する。
我々は警察ではないと言いかけるが、
相手が言い出したら聞かない性分であることを
知っているので、
まあ、やれる所までやるんだなと逆に励ます。
早速警視庁に出向き、川本次席に会った荒井は、
君の管轄には暴力団がいる。その被害者の中には、
恐怖のため自殺したものもいるんだと訴える。
それを聞いていた川本は、協力してくれるかね?と
問いかけ、荒井はやろうと賛同する。
「鳥銀」に帰って来た荒井に、
松原から電話がかかって来て、
マリエさんは世田谷の吉田病院に入院させたと
連絡して来た。翌日、荒井の診療所には、
患者ではなくヤクザが次々とやって来て、
マリエを出せと脅しながら居座る。
女の行方を言うまでは商売をさせないというのだった。
派手なマフラーをした若いヤクザは、
サツが怖くて渡世が渡れるか!と凄んでみせる。
その日の深夜2時、一旦引揚げたヤクザたちだったが、
マスクで顔を隠して怪し気な女がやって来て、
喀血して倒れたので往診して欲しい。
車は外で待たせてあると依頼する。
用心しながら車に女と乗り込んだ荒井だったが、
動き始めてしばらく行くと、故障だと運転手が言い出し、
車が人気のない場所で停まる。
外に出ると、案の定、ヤクザたちが荒井の廻りを取り囲み、
カナリヤのマダムはどこだ?
マリエはどこだ?このまま無事に帰れると思うか?と
脅して来たので、近くの公衆電話に近づいた荒井は、
マフラーをした若いヤクザがサツに電話をかけるのか?と
怯えたように近づいて来たので、
サツなんか怖くないと行ってたな?と逆に脅す。
荒井が電話をした相手は「鳥銀」の銀平だった。
よんどころない事情で、例の約束
破らざるを得なくなったと伝えると、
銀平は馬鹿野郎!と怒鳴りつけ電話を切る。
熊田は約束を破ると言って来た。
クマは会わせる顔がねえと言ってたぞと種子と絹江に伝えると、
それを聞いた絹江は笑い出し自室に戻るが、
すぐに真顔に戻ってしまう。
荒井は、ヤクザたちと戦い始める。
川の側に場所を移動した荒井は、
次々とヤクザたちを川に放り込む。
翌日の夕刊に、銀座三四郎の登場!と、
この出来事を報ずる記事が踊る。
それを読んだ銀平は大喜びで種子に、
その方の約束破るんだったら問題ないんだと種子に話し、
2階の絹代にも、夕べの話を勘違いするなと伝えに行くが、
何故か絹江の表情は悲し気だった。
絹江が持っていた新聞には、
荒井が数十名のヤクザをやっつけた活躍は
「愛人のため」と書かれてあったからだった。
その後、当の荒井が「鳥銀」にやって来ると、
約束を破ってすまなかったと詫びるが、
銀平の方も、あしも片目ばかりに見損なった。
男らしくきっぱり別れようと答える。
荒井は覚悟していたように、
絹江さんによろしく…と言い残して店を後にする。

その後、世田谷の吉田病院にいた
松原とマリエに会いに行った荒井は、
俺はマリエさんと結婚すると言い出す。
よく考えたのか?と聞く松原に、
絹江さんは俺じゃなくても相手はいる。
だが、マリエさんは今度の事件で暗い影を背負う。
俺が結婚するしかないと言うのだ。
廊下で2人きりで話を聞いていた松原は、
とにかく女2人に会え。
どっちの女性が君を必要としているかと助言する。
診療所に来て荒井に会った絹江は嫌よと答える。
私に、あなた以外の誰がいると言うの?
私は誰にもあなたが好きだって言えなかった。
でも私…と言いかけて泣き出してしまう。
それを聞いていた荒井は、そうか、
俺がバカだったな〜…と、
自らの不明を恥じるのだった。

絹江は花嫁衣装を着ていた。
その横で嬉しそうに眺めていた種子は、
お前はわがままだから言っとくけど、
何でもはいはいと言っとくんだよと言葉をかけるが、
絹江は笑い出してしまう。
何だね、この家ともお別れなんだよと種子は注意するが、
でも私たちの所、近すぎるわとぼやく。
新居がすぐ近くということだった。
外は雪が降り始めていた。
待機していた荒井の背後に、
休業日を知らずに来たらしき客が休みかい?と
声をかけて来たので、タバコを吸っていた荒井は、
婚礼だよ。ここの娘さんが結婚するんだと
振り向かずに答える。
すると客は驚いたように、
どんな奴が花婿になるんだろう?と
言いながら帰りかけるが、
どんな奴が花婿かか…と荒井が笑うと、
一旦去りかけていた客は驚いたように戻って来て
中を覗き込む。
そこに大きなふろしき包みを背負ってやって来たのは
看護婦の美子だった。
ふろしき包みの中から取り出したのは、
荒井のお馴染みさんからの祝儀の贈り物の山だった。
診療所に届いたのだという。
みんな、先生を尊敬しているんですよと言う美子は、
結婚って良いですわ…と憧れるように呟く。
そこに、川本次席と銀平、種子がやって来て、
式を始めるのでと荒井を奥の部屋に連れて行く。

その直後、店に駆けつけて来たのが松原で、
マリエさんのことだ、心配いらんよ。
あの人は1人でやっていける人だ。回復したら、
俺の助手をやってもらうつもりだと荒井に声をかける。
ウエディングマーチが聞こえる中、
結婚式の贈答品が置かれた部屋の窓の外から
中を覗き込んだのはマリエだった。
お幸せに…そうマリエは呟く。
一人今に戻って来た銀平は、
嬉しそうに踏み台に登って棚の上に置いてあった
だるまの片方の眼に墨を入れようとしていたが、
足を踏み外して転げ落ちてしまう。
畳に落ちただるまは、ちゃんと両目が入り、
しっかり起き上がるのだった。


おわり


浮世舞台の花道は  表もあれば裏もある
花と咲く身に男がいれば、咲かぬ花には、
女あり ...



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語