流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

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『バレンタインの一日・・・』

2月14日。 バレンタイン・デーの朝。
大島圭吾は、いつものように出社した。
「いつものように」とはいうものの、ちょっとだけ気が高揚する。
(ひょっとして、ひょっとして)誰か自分のことを
気にかけてくれる女子社員が、 チョコレートを
くれるんじゃないかと期待してしまうのだ。
もちろん、そんなことは、ただの「期待」というより
「妄想」に過ぎなかった。
中学・高校・大学・・・と、「期待」と「失望」を繰り返してきた。
自分の席に着き、パソコンの電源を入れる。
「あーあー」圭吾は、喉に手を当てた。
どうも夕べ、深夜までビデオを見ていて、
夜更かししたのがいけなかったようだ。
湯冷めしたのかもしれない。
もう一度、「あーあー」と声を出してみる。
声が少しかれている。「エヘン、エヘン・・・あーあー」
かすれる声を絞りながら、コーヒーサーバーからお茶を入れる。
一口すすると、再び、「あーあー」そんな様子を見ていた
部長が声をかけてきた。
「なんだ、大島。風邪でもひいたのか?」
「いや、そんな大ごとじゃないんですが、
喉がいがらっぽくて・・・」 「
お前、今日はバレンタインだぞ。
彼女とデートしなくちゃいかんだろ」
「課長、知ってるくせに。そんなにモテるわけないでしょ」
「ハハハハッ! 一人淋しいバレンタインか。
残業なら付き合うゾ」圭吾は、半分冗談で答えた。
「じゃあ、朝まで付き合ってください」そう言い返しつつ、
圭吾は同じ部の新人・谷口奈菜の笑顔を思い浮かべていた。

一か月ほど前のことだ。
会議の資料作りに手間取り、二時過ぎにランチに出掛けた。
ササッとサンドイッチで済まそうと思って入った会社の
すぐ近くのスタバ。席に座ると、隣のテーブルに谷口奈菜がいた。
同じ部とはいえ、課が異なることもあり、
「おはよう」の挨拶程度しかしたことがない。
でも、ちょっとカワイイので気になっていた。
圭吾は、「よかったら、一緒に食べる?」と訊いた。
そんなことを気軽に口にした自分に驚いた。
今までの人生で、この一言がいつも言えたなら、
違う人生があったろうにとつくづく思うのだった。
すると、いとも簡単に、「はい」と言い、
バッグとカーデガンを持って、圭吾のテーブルに
移動してきたではないか。
またまた圭吾は驚いた。(ひょっとして・・・俺に気があるとか)
いやいや、そんなはずはない。そんなことを期待しちゃ、
後でガッカリするだけだ。
圭吾はそう言い聞かせた。しかし、思うよりも会話は弾んだ。
今、聞いている韓流ポップのこと。
大学時代のサークルのこと。
最近見つけたおいしいレストラン。コンビニの新商品。
相手は5つ年下だが、以外にも話が合った。
急いで食事をしようと思っていたのに、
1時間もゆっくりしてしまった。「いかん、この後、会議なんだ」
「あ、ホント、私も今日中にやらなきゃいけない仕事があるの」と言い、
慌てて店を出た。
普通の男なら、この後、デートにでも誘うのだろう。
「今日、お茶しない?」圭吾は、その一言が言えないまま、
一日、二日が過ぎ、 やがて何事もなかったかのように
風化してしまった。

朝礼が始まる直前、圭吾のいる販促部の女子社員が
揃って部屋に入ってきた。
ぞろぞろと、7人全員揃って。先頭にいるのは、
お局様・・・と言うと叱られるが、 一番年齢の上の村瀬法子。
一番後ろには、谷口奈菜がいた。

販促部では、バレンタインの恒例になっている。
「皆さん、日頃はたいへんお世話になっています。  
今年も、私たち女子から感謝の気持ちをこめて、  
男子諸君にチョコレートをプレゼントさせていただきます」
そう村瀬が言うと、「おおっ」という声が上がる。
女子社員が男性たちにチョコを配り始めた。
しかし、ちょっと様子がおかしい。
そのチョコはあまりにも小さかった。
キャンディ一粒の小袋の大きさだ。

「おいおい、毎年嬉しいけどさ、なんだか
今年のは小さ過ぎないか?」
部長が声を上げた。「あ、わかりましたか、部長」
「もらっておいて悪いが、幼稚園児じゃあるまいし」
「はい」 「ホワイトデーにはさ、豪勢なお返しをしてるじゃないか。
倍返しどころか、5倍返しで」村瀬法子がこれに答えた。
「あのですね、部長。今年はですね、ちょっと考えたんです。  
僅かばかりですけど、チョコをケチって、
その分を震災の被災者に寄付しようって」
「ほほう、そういうことか」
「それでですね。ホワイトデーに、けっこう高いお菓子を  
皆さんでプレゼントして下さるでしょ。  
それも止めてしまって、ホワイトデー募金にしたらどうでしょうか。  
今回の余ったお金と一緒に、私がまとめさせていただきます」
「いいアイデアだね。義理チョコ、義理ホワイトデーだ。  
そんな義理でも、世の中のために立つんなら・・・」
男性社員で異論を唱える者は一人もいなかった。
村瀬が言う。「これ、新人の奈菜のアイデアなんです。
彼女、友達が仙台にいるらしくて・・・。」
いいことだと思ったが、ちょっとだけガッカリしていた圭吾も、
そう聞いて何だか嬉しくなった。

圭吾は、朝礼が終わってカバンに書類を詰め込んだ。
これから、取引先との打ち合わせがある。
「エヘン、エヘン」さっきよりも、喉の調子が悪い。
冷めたコーヒーの残りで、行儀悪くガラガラッとうがいをした。
そこへ、隣の課から回覧を届けに来た谷口奈菜が、
「大島さん、これ舐めてください」と言い、差し出す。
圭吾は、無意識に手を差し出した。
それは、紙包みのキャンディーだった。
最近はあまり見かけない。コンビニでアメを買うと、
大袋の中には一つずつビニールに個別包装されたアメが入っている。
奈菜か差し出したのは、駄菓子屋さんで一粒ずつ
買ってきたようなアメだった。 イ
チゴ色の水玉模様一枚の紙の真ん中にアメを置き、
クルクルッと両端がよじってある。
「ありがとう」この前のことがあったので、圭吾は少し緊張して
受け取った。「行ってきます」
「行ってらっしゃい」アメをポケットに入れてトイレに行く。
そこには2年後輩の優太がいた。 さかんに咳をしている。
「どうした、風邪かよ」 「うがいしに来たんですけど、
喉をやられちゃって・・・」
「なんだよ。ガラガラじゃないか」
「これからプレゼンなんです。参りました」
圭吾は、無意識にポケットのアメを取り出していた。
「おい、これ舐めとけ」 「え?! あ、ありがとうございます」
圭吾は少しだけ後悔した。たった一粒のアメとはいえ、
ほのかに想いを寄せている奈菜がくれたものだ。
でも、優太は自分よりも喉の調子が悪い様子。 こ
のアメも役に立てば、奈菜も喜んでくれるに違いない。
もっとも、そんなことは、奈菜の知らぬところではあるが・・・。
その日は、忙しかった。
圭吾は取引先3か所を回り、クタクタになって戻ってきた。
だんだんと喉の具合が悪くなってきた。
途中のコンビニで、ハーブの入った喉アメを買った。
それに、ミネラルウォーターも買い、常に喉を湿らせていた。
よろよろっ、と会社に戻って席に着く。一つ、溜息。
「ああ、疲れた」そこへ、優太がやってきた。
「先輩」 「おお、プレゼンはどうだった?」
「どうだったじゃないですよ」
「どうしたんだ?上手くいかなかったのか」
優太は、何だか怒っている。「プレゼンはバッチシです。
喉はガラガラですけどね」
「なら、いいじゃないか」
「そうじゃないです、コレ!」そう言って優太が差し出したのは、
出掛ける前に圭吾がやったキャンディーだった。
「なんだよ、オレがせっかくやったのに、舐めなかったのかよ」
「こんなの舐められませよ」
「何言ってんだよ、せっかくお前のためにと思って」
そこまで言ったとき、優太はキャンディーを
圭吾の手に押し付けて行ってしまった。
「・・・変なヤツ」手のひらのキャンディーを、
圭吾は両手でルクルクッとむく。 ピンクのアメが出てきた。
それを口に中に放り込もうとして、気づいた。
何やら、細かい文字の書いた紙切れが入っていた。
「え?!」イチゴ色の包装の内側に、もう一枚の紙切れ。
それを取り出す。……もしよかったら、
仕事がおわった後、スタバで待ってますね……奈菜
慌てて、机の下に隠した。
振り返ると、優太が、口にチャックをする仕草をして
笑っていた。……

Author:志賀内泰弘


『大の仲良し 』

愛里(あいり)には、大の仲良しの友達がいる。
波照間(はてるま)京子だ。名前から想像するとおり、
両親が沖縄の出身。
父親の仕事の関係で小学生のときに転校してきた。
そして愛里と同じクラスになった。
二人は高校まで同じ学校に通っていたが、
卒業後は別々の道にすすんだ。
愛里は私立大学の経済学部を卒業し、中堅の商社に就職した。
京子は看護学校に入り、 今は看護師として
都内の病院で働いている。
お互いに生活のペースは違うが、今でもときどき会って話をする。
いや、正確に言うと、愛里がいつも話を聞いてもらっているのだ。
京子にはなんだか不思議なパワーがある。
いつもいつもニコニコしていて、そばにいるだけで癒される。
そして、口癖が「てーげー」と「なんくるないさー」。
「てーげー」とは、沖縄の方言で、
「大概」とか「だいたい」という意味である。
なんくるないさー」は、「なんとかなるさ」の意。
愛里が仕事で悩みがあると、すぐその晩に電話をする。
すると、京子は、「大丈夫さあ、なんくるないさー」と
励ましてくれる。
さらに、「愛里は真剣にものごとを考えすぎさあ。
てーげーにしたらいいよ」と言う。
それは、この何年かの間に、 何度も何度も
繰り返されてきた会話だった。
いや、愛里は、その言葉が聞きたくて電話をしているのだった。
京子の声を聞くだけで癒される。心がほっと温かくなる。
まだ行ったことはないが、 それは沖縄の
美しい海のような感じがしていた。
今日も愛里は、上司に怒られた。
昼ごろ、お得意先からの電話が入った。
課長宛だった。席を見ると姿がない。
たぶん、早めのランチに出掛けているのだろうと思った。
先方には、「折り返し電話をさせます」と言って切った。
普段なら、ちゃんと机の上に、「丸菱商会の遠藤様から電話あり。
下記の番号まで急ぎかけてください」とメモを残す。
ところが、その電話の直後に「社長を出せ!」と 怒
鳴るクレームのお客様が訪ねてきて、大騒ぎになった。
そのため、すっかり忘れて自分も食事に出掛けてしまったのだった。
オフィスに戻ると、課長はおかんむり。
先方から再度、電話が入ったのだった。
みんなの前で大声で怒られた。それだけならいい。
過去のミスまで、一つずつほじくり返された。
「すみません」としか言いようがない。
悪いのは自分だ。悲しくて悲しくて、涙があふれてきた。
そして、その晩、話を聞いてもらおうと思い、
京子に電話をした。

それはたぶん、100回目、いや200回目だったかもしれない。
「はい」 「あっ、キョーコ」 「う、うん」
愛里は、いつもと違う雰囲気に、 誤って違う人に
かけてしまったのではないかと思い、 ケータイの画面を見た。
たしかに、京子の電話番号だった。
いつもなら、「はい、京子です!愛ちゃん元気だった~」という
弾んだ声が響いてくる。
「どうしたの、キョーコ」 「うん」
いつもなら、それは京子が愛里にかける言葉だった。
「なんだか元気がないわねぇ」
「・・・」 「ねえ、キョーコったら」
電話の向こうで、かすかに鼻をすする音が聞こえた。
「え? キョーコ、泣いてるの」
「う、うん・・・」
「どうしたのよ」
「あのね、あのね・・・。健ちゃんがね・・・」
そう言われても、愛里にはパッと何のことだかわからなかった。
しかし、ふと京子の言う「健ちゃん」のことを思い出した。
京子が担当している病室の、小学3年生の
男の子の名前だということを。
「健ちゃんがね、健ちゃんがね・・・今日・・・亡くなった・・・」

そう言われて、京子はだんだんと記憶が甦ってきた。
たしか健ちゃんは不治の病で、
京子がずっと励ましてあげていた患者であることを。
京子は、どう答えていいのかわからなかった。
(何か言わなくちゃ)そう思えば思うほど、言葉が出てこない。
「キョーコ、辛いねぇ、辛いねぇ」ケータイに向かって、
そう発した次の瞬間だった。
「あ、あ、あ~ん」今まで、一度も聞いたことのない大きな声で、
京子が泣きじゃくるのが聞こえた。

「キョーコ、キョーコ、いい、いい、 今からアパートへ行くからね。
しっかりしてよ。いいわね」そう言うと愛里は、
財布だけ手にして通りへと飛び出していた。
空からは白いものが舞っていたが、
薄いセーター一枚であることにも 気が付かず、
タクシーに手を上げた。
「待っててよ、キョーコ!」愛里は、課長に叱られて
辛かったことなど忘れていた。
「運転手さん、早く~」確かにではない。しっかりとではない。
しかし、愛里はタクシーの座席で前のめりになって前を見ながら、
ぼんやり、そう、ぼんやりと思った。
人に甘える人間よりも、甘えられる人間になろうと。……

Author:志賀内泰弘




 『涙のしずく』




時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる


添うて苦労は覚悟だけれど、添わぬ先から、この苦労

 
P R
    カビの生えない・きれいなお風呂
   
お風呂物語

入れてもらえば気持ちは良いが、
どこか気兼ねなもらい風呂

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