流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


こうして、こうすりゃ、こうなるものと、
  知りつつ、こうして、こうなった


メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!
アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Kanshin021111 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 

  
 
 
漢の韓信-(125)

蒯通は韓信を説得すが、素直に言うことを聞こうとしないので、
彼としては説得するしかないのだ。
「……人の意見を聞くことが、まず第一。
第二にはその意見をもとに計画を練ること。
これが物事を成功に導く手段でございます。
間違った意見を尊重し、適切な計画をたてることなく、
長い間安泰であった者は稀です。
大王、決断は知ることの結果であり、逡巡は
物事の妨げなのですぞ」
「わかっている」
「細かな計算を充分たてているつもりでも、
天下の大きな見通しを持たぬことは、
木を見て森を見ないことと同じです。
また、知識を得ておきながら、決断して行動に移す勇気を
持たぬ者に幸福は訪れぬ、といわれています」
「ふむ」
「猛虎の逡巡は、蜂が刺すのに劣る。
進まぬ駿馬は、鈍い駄馬の歩みに劣る。
勇者の気後れは、凡人の決断に劣るのです」
「…………」
「功業は成功しにくく失敗しやすいもの。
機会というものは、つかみにくく失いやすいものなのです。
時は来れり。おそらくは、いまこそが一生に一度の
機会なのですぞ。これを逃せば、二度と機会は訪れますまい」
蒯通は、韓信が小さな恩義にこだわり、決断しないことに
憤りを感じていた。もし自分が韓信の立場であったら……
ためらうことなく決断する。
乱世の武人であるという、自覚が足りないのだ。
蒯通は韓信の悩む姿を見るにたびに、そう思う。
およそ天下に覇を唱えようとする人物などは、
人のことを人と思ってはならない。
世界を敵に回す覚悟が必要なのだ。
しかし、残念なことに、この男にはそれがない。
能力は有り余るほどなのだが……。
だが、それを理由に韓信を責める気にはならない。
そもそも蒯通は、韓信に覇王となる意志が
もとよりないことを知っていたからだ。
本人の意志とは無関係に、勝手に話を進めているのは
自分の方であった。
私の思いは、果たされることがないだろう。
蒯通は、半ば諦めている。それでもこうして説得を
続ける自分が、不思議でたまらない。

もともと蒯通は縦横家として、君主の意を酌み、
その王業を助けるために弁を武器として諸国間を渡り歩くべく
身をたてたのであった。しかし、思い返せば、
自分が弁をふるった相手は君主たる韓信に対してばかりで、
その意味ではまったく王業を助けているとはいえない。
斉王自身が項王や漢王相手に対抗意識を燃やしてくれなければ、
私が彼らを相手に弁論する機会は、訪れない。
ということは、自分は武人ではないが、
あるいは韓信のように乱世に名を轟かしたいだけなのか。

天下の趨勢を変える弁士として活躍の場を得たい、
ということなのか。そう考えてみると、自分が韓信を相手に
くどくどと長広舌をふるう理由が、次第にわかってきた。
私は、斉王の活躍を、妬んでいる。……いや、
妬んでいるとはいっても、彼を憎んでいるわけではない。
私は、彼に憧れているのだ……そうに違いない。
はたして自分は単に王業を助けたかっただけなのか。
もしそうであれば最初から項王や漢王に仕えていれば、
その目的は果たせたはずだ。

しかしあえて自分はそれをせず、韓信を選んだ。
それはなぜか?彼が若く、可能性を秘めていたように
見えたからか……。いや、彼の年齢は項王とさほど違いがない。
だとすれば、自分が彼に惚れ込んだ理由は、
彼の若さだけではないはずだ。
項羽劉邦にあって、韓信にないもの。
それは他者を威圧するような鋭気に満ちた態度であった。
反対に韓信にあって、項羽劉邦にはないもの。
それは冷静に現実を見据える目であった。

初めて彼の姿を見たとき、既に彼は漢の大将として
数々の武勲を誇っていたが、外見の印象からは
まったくそれを感じさせない、普通の青年のように見えたものだ。
見る者によっては、韓信には覇気が足りなく、
冷めた感情で物事を判断する傾向があり、頼りなく感じたことだろう。
しかし、実際は彼のそのような性格が数々の
武勲を生じさせたのである。

例えば韓信は、勝つためには自尊心など捨て、
平気で負けるふりをした。
劉邦はまだしも、項羽などには絶対あり得ない行動である。
そして韓信は、再三にわたって自分を囮にして、敵将を討ち取った。
常に危地に身を置き、それによって勝利を得ようとする行動は、
項羽はまだしも劉邦にはない。
しかもそれらはいずれも、敵に勝利し、かつ自分が生き残るための
最も有効な手段だったのである。

このように、韓信はすこぶる冷静な判断を下す男であった。
その韓信は、狡猾な敵将を相手に、それ以上の狡猾さを発揮して
撃ち破った。また、偏った知識に凝り固まった敵将を、
それを上回る知識の高さで撃ち破り、傲岸かつ腕力自慢の敵将を、
それをあざ笑うかのような知恵で撃破した。

蒯通はそばでそれを見ていて、そのたびに痛快な思いをしたことを
思い出さずにはいられなかった。楽しかったのである。
この人物であれば、確実に王となれる。私はそれを助け、
天下に絶対的な覇王を生み出すのだ。
蒯通は無意識のうちに、それを自分に義務として
課したに違いない。

しかし、私はどこかで思い違いをしていたのかもしれぬ。
常に現実的な判断を下す韓信は、覇王となって
時流に乗った生き方をすることを拒んでいる。
思えば彼は、将来に夢を馳せるあまり、現実と夢の区別が
つかなくなるような若者ではなかった。
これは韓信より、私の方が夢見がちな性格であった、ということか?
蒯通はそれに気付いたが、それでも韓信の返答に
一縷の望みを託している。藁にもすがる思いであった。
しかし、それも将来に夢を馳せていることに変わりがない。

「学者というものは、似たような考え方をするものらしい。
かつて酈生は私に、
『漢の世になっても、それに属さず、独立を保て』と助言を残した」
韓信は蒯通を前に重い口を開き、話し始めた。
「このことは内密に頼む。酈生は漢の功臣として死んだ。
その彼が私に謀反を唆したという記録を残したくない」
「承知しております」蒯通には、もとより会話の内容を
他言する意志はない。それもそのはず、彼が韓信に訴えているのは、
他ならぬ謀反の勧めであったからだ。
説得に失敗し、ことが曹参や灌嬰などに漏れると、
自分の命が危ない。
「酈生は私に独立したほうが、孤高を保てると遺言を残したが、
思うにそれは私の個人的な性格を考慮した上での発言で、
戦略的なものではない。……彼が私に独立を勧めたのは、
私が基本的に他者との濃密な関係を嫌うことを察しての
ことだと思うのだ。つまり、無理をして人の上に立つよりは、
誰とも関わらず、世捨て人のように生きろと……」
「…………」


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.



愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
歌は世につれ、世は歌につれ、
人生、絵模様、万華鏡…



『北の蛍 』




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、言えば、……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる

P R

    カビの生えない・きれいなお風呂

    お風呂物語

入れてもらえば気持ちは良いが、
  どこか気兼ねなもらい風呂


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