流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想……

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


『飛んでイスタンブール / 庄野真代




メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

Author:紀之沢直



Kanshin021111 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。
 
 
 
 
漢の韓信-(111)

その挑戦的な物言いは、韓信の心を
大きく揺さぶった。しかし、韓信にも
反論できないことはない。
「斉を騙し討ちにする意志はなかったが、結果的に
そうなってしまったことは事実として認めよう。
しかし、私にも言いたいことはある。
斉の王室は騙されたことにより、大きな国内の
争乱を伴うことなく、滅んだ。
君たち住民にかける迷惑はなかったとは言わないが、
最小限にとどめることができたはずだ」

父老たちは互いに顔を見合わせ、
「聞いたか、これこそ詭弁よ……。
そもそも漢が攻めてこなければ、なにも起きず、
なにも変わらなかった。
斉は斉人によって治められることを望む。
漢の支配を歓迎するはずがない」と、韓信に向かって
口々に言い放った。

韓信は彼らを説き伏せねばならない。
もちろん一人残さず斬ることはできたが、
そうしてしまっては民衆に反乱の種を
植え付けるだけのことである。
「……君たち父老は、それほどまでにもとの斉王のことを
敬愛していたというのか?」

韓信はあえて言葉尻に嫌みを加えて、
父老たちに向けてこの言葉を発した。
「……無論である」
「それは嘘だ。もし本当なら、
遠巻きに石などを投げつけるのではなく、
より我々が確実に死ぬ方法で攻撃すべきだろう。
我々はそれなりの軍備を保持しているが、
君たち民衆に比べればはるかに寡勢なのだからな」
「……かつてこの地に暮らした学者たちは、
そのような行為を非文明的だと批判したものだ。
我々も同意見だ」

「そうかな? 私の見る限り
、臨淄の街道には命知らずを気取った連中が
何人もいたようだったが? 
君たち自身ができないというのであれば、
彼らに命じるなり、褒美をとらせるなりして
やらせればいいだろう。
どうしても斉の王室の復権を望むのであればな」

「…………」「むろん、そんな状況になって
私が黙っているはずがない。
君たち民衆に比べれば、我々が寡勢であることは
先に述べた通りだが、
それでも精一杯抵抗を試みるとしよう。
しかし君たちが優勢であることは動かしがたい事実だ。
よって、早く行って町のならず者どもに命じるがいい。
漢を称する逆賊どもを皆殺しにせよ、と。
檄を飛ばして我々の非を打ち鳴らせ。……
聞くところによると、田横はまだ存命であるとのこと。
彼を担ぎだせば斉を再興する大義名分も立つ」

「…………」父老たちは、なにも言わなかった。
「どうした。……できないか? 
そうであろう。できないに違いないのだ。
理由を説明してやる。一言でいえば、
君たちが斉の王室のためにそこまでする
義理はないからだ。つまり、
君たちにとっては我々も斉の王室もたいして変わらない。
どちらとも存在しなければ自分たちが自由気ままに
生活できる、その程度の存在だからだ。
したがって君たちが我が兵に石を投げるなどの行為は、
単なる日ごろの憂さ晴らしであり、
それに大義名分はない。

我々が斉の王室を騙して敗走させたことなど
、後からとってつけた理由に他ならないのだ」
「…………」
「君たちは青二才の私を手玉に取ろうとし
、どうせ支配される身であればより良い条件で、
と望んだ。斉の民衆は戦乱に馴れ
、自分たちの安全のためには嘘偽りを申す者が多く、
なおかつ腹黒い者が多い、と聞いていたが、
なるほどその通りであった。

私を強請(ゆす)り、脅迫すれば賦役が
免除されるとでも思ったか。
思い上がるな!」
韓信は議論で相手を威圧することには
馴れていなかったが、ここは精一杯の努力をし、
父老たちを恫喝した。
自分は、やはりしょせん武の道にしか生きられない
男なのだろうか。
戦場に出ることもせずに権謀を弄する輩が、
これほど気に入らぬとは……。

言葉を失った父老たちを前にして、
韓信はそう思わずにはいられない。
自分が完全に正しいとは信じられないが、
目の前の父老たちが正しいとは、どうしても
思えないのであった。
いったい正しいこととは何なのだろうか?

「相国さまのおっしゃる通りでございます……。
私どもはしょせん自らの道を自ら決めることができず、
自ら行動も起こせない弱虫でございます。
しかし私どもはそれでも市井の者どもを導き、
保護する立場にございます。
相国さまには不愉快な思いをさせたかもしれませぬが、
これもひとえに斉の民衆を思いはかっての
行動にございます」

父老の一人のこの言葉を聞いて、
韓信は一時的に人間不信に陥った。
この老人どもは、ほんの数刻前の
自分たちの発言を覆しておきながら、
そのことを恥じる様子を少しも見せなかったのである。
韓信はついに怒気を発した。

「口先ではなんとでも言える! 
貴様らのその一貫性のなさはいったい何だ? 
斉の民衆を思いはかって、だと? 
嘘をつく奴は決まってそういうことを建前にするものだ。
やれ人のために、社会のために、と言うが、
私にとって嘘をつく奴の本質は変わらない。
……自分を守ろうとしているだけだ。
民衆や社会などというものは建前に過ぎぬ!」

父老たちは互いにささやき合い、
相談している様子だったが、
やがてひとつの結論を出したようだった。
代表と思われる人物が話し始める。
「相国さまはまだお若いようで、
人の心がどう動くのかご理解して
いらっしゃらない様子……。
よいですか、相国。世の中に
嘘をついたことのない者など、皆無なのです。
仮にあなたさまがこれまで嘘をついたことがないとしても、
これから先には必ず嘘をつく必要性に迫られましょう。
……しかしながらあなたさまの心は清廉にして、
そのようなことを避けたいと願っていらっしゃいます」

「そのとおりだ。なるべくなら民衆とは
本音で語り合いたい。君たち父老ともだ。
私は常にそう願っている。
……しかし、それは私の心が清廉だからではない。
私は敵と戦うにあたって、常に相手を騙し、
裏をかくことで勝利してきた。……
私が人と真情で向き合いたいと望むのは、
その裏返しに過ぎぬ」

「しかし、政治というものは一種の戦場でございます。
あまり相手を信用すると、
それこそ裏をかかれるものです。
どうか、我々を信用なさってください。
相国さまには気に入らないことも多いとは思いますが、
そこを我慢してくだされば、
住民に嘘をついて従わせるなどの汚れ仕事は
我々が引き受けます」

韓信は思った。政治とは、やはりいやなものだと。
彼らは人を信用してはいけないと言いながら、
自分たちを信用しろと言っているのであった。
とても実行可能な話ではない。だが、
自分が制圧した土地だからといって、
必ずしも自分が統治しなければならないわけでもない。
自分がこうして指導的立場に立っているのは
当座の方便であり、その間に先頭に立ちたがる者に
立たせてやるのも、あるいは一種の
統治策といえるのではないか。

「……諸君の言動は、甚だ不遜で、
私としては虫が好かない。
手のひらを返すように前言を撤回する態度も気に入らぬ。
しかし我慢することにしよう。
思うに諸君は首を切り落とされることも覚悟で、
ここに来たのだろう。
私は諸君のその気構えには感服している。
ゆえに諸君の願いをひとつだけ、聞いてやろう。

包み隠さず、申せ」
「……斉は春秋時代、最初に天下に覇を唱えた国にして、
古くは太公望呂尚(たいこうぼうりょしょう)>
(周の建国に貢献した人物。
釣り好きであったことから現代でも釣りを趣味とする人を
太公望と呼ぶ)や桓公(かんこう)(春秋の五覇の一人。)
などの偉大な支配者、
また管仲(かんちゅう)晏子(あんし)などの名宰相を
生み出した国でございます。
国民はみなそのことを誇りとしており、
いま田氏が追われて滅びたのを機に、
その国名が失われることを嘆き、恐れております。
おそれながら相国には斉という国名を残すことを、
お願い申し上げたく存じます」

韓信は実はほんの一瞬頭の中で戸惑ったが、
父老たちにはそうと悟られぬよう、毅然とした口調で
言い渡した。
「いいだろう。……ただし、自治を
認めるということではないぞ。
それにそのことを決めるのは私ではない。
漢王がお決めになることだ」

つづく
Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.



愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『 Hey! Mr.わたしが愛した早打ちマック』 すぎもとまさと



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば、言い訳になるから……


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる


P R
    カビの生えない・きれいなお風呂
    
    お風呂物語