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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

妄想劇場・特別編

妄想劇場・特別編

信じれば真実、疑えば妄想……

 

Mituo 
昨日という日は
歴史、
今日という日は
プレゼント
明日という日は
ミステリー

 
 

『緑のシャワー』

佐久間元也は、両腕を大きく振って木立の中を散歩していた。
家の近くにある公園を一周すると約15分。
それを何周かする。
朝でも夜でも、時間のあるときには買ったばかりの
白いスニーカーを 履いて飛び出して行く。
途中で、何度か立ち止まり、深呼吸する。
ハァ~。公園全体が深い緑に覆われている。
元也は、木々が吐き出す「見えないもの」を
大きく吸い込んだ。
元也は、1年前からタクシーの運転手を始めた。
前に勤めていた会社が倒産。
とにかく、家族を養わなくてはならない。
友人の紹介で、地元のタクシー会社に勤めることになった。
幸い、若い頃にもタクシーに乗っていたことがあり、
すぐに乗務することができた。
ちょうど、深夜の仕事にも慣れてきた頃だった。
健康には自信があったのだが、
会社の人間ドッグで指摘をされ、
病院で再検査することになった。糖尿病だった。

医者は薬をくれたが、食事と運動による
治療を義務付けられた。
「これができないようなら、入院させます」と言う。
家に帰り、妻と高校生の娘に話す。
「だからいつも言ってるじゃない!」と
二人から責められた。

タクシードライバーは、 どうしても運動不足になる。
この半年で10キロも太った。
娘が言う。「お父さん、今度こそウォーキングしなさいよ。  
近くの公園でいいじゃないの」
「公園を歩いてもなぁ~」
「あそこはね、緑がいっぱいだからね、
森林浴っていうでしょ。  
緑のシャワーを浴びると元気になれるのよ」
娘が心配して言ってくれているのはわかる。
でも、「緑のシャワー」と言われても、
そんな「目に見えないもの」を理由にされても困る。
元也は、「ああ、わかったよ」と気のない返事をした。

そんなある日のことだった。来週から
ゴールデンウイークが始まる。
桜の枝には若々しい葉っぱが生い茂り、
通りの景色は一変していた。
国道の銀杏並木、大学通りのポプラ並木、
そして市役所近くの大ケヤキも、
さまざまな緑色を競い合っている。
朝、11時に乗車。5組のお客さんを乗せると
午後2時半になっていた。お腹がグーとなる。
有難いことに、節約も兼ねて妻が
お弁当を作ってくれる。
これも、糖尿病の食事療法の一環だ。
公園沿いの街路樹の木陰に車を停める。
水筒からお茶を注いだ。 まず一口。
まだ熱い。フーフーと覚まして飲む。
ホッと息がつける瞬間だ。
お弁当を食べ終えると、ちょっと眠たくなった。
本当は、規則ではいけないことになっているが、
少しだけ仮眠することにした。

シートを傾け、腕組みをして目を閉じた。
この半年のことが、次々と思い浮かんできた。
(娘が嫁ぐ日までは頑張ろう)
辛い日もあったが、そう思うと元気が出てくる。
「おっ、いかん」時計を見ると、もう40分も経っていた。
「ほんの10分」のつもりが、眠り過ぎてしまった。
慌てて、エンジンをかけて走り出した。

「む・・・?」500メートルくらい走ったところで、
元也は首をひねった。
「なんだ、これ?」フロントガラスがうっすらと濡れている。
「え? 寝てる間に雨でも降ったのかな」
今日は快晴だった。「狐の嫁入りかな?」
運転をしながら辺りの道路を見回したが、
どこも濡れている様子はない。
ワイパーを動かす。3回、4回、5回・・・。
しかし、雨粒の小さな点々は取れなかった。
「なんだよ、これ?」道路の脇に車を停めて、前に回った。
指でフロントガラスに触れた。
(んんん?)それは雨ではなかった。なにやら、油っぽい。
粘るほどではないが、ネチッとした感覚。
ちょっと昼寝をしている間に、誰かがイタズラしたのか。
そうだ、きっと街路樹に撒かれた害虫退治の薬に違いない。
そう思いつつ、一日の仕事を終えた。

会社に戻ると、車庫に入れる前にフロントガラスを
ワックスで掃除した。
次の勤務のドライバーに車を渡さなければならない。
やはり、キレイにしておきたい。
スポンジを持ってゴシゴシとやっていると、
先輩ドライバーの山さんがやってきた。

「おっ、佐久間さん、お疲れ!」
「山さんこそ、お疲れさまでした」
「あんたも、やられたみたいだね」
「え?なんですか」
「何って、それだよ、それ」
「・・・」山さんは、ニヤニヤし出した。
「何、知らずに拭いてるのか。あんたが拭いてるやつだよ」
「ええ、今日ね、ちょっと公園の横で昼飯食ってる隙にね、  
農薬か何か撒かれたみたいで・・・」

「違うよ、あんた」 「え?」 「それはね、樹液だよ」
「樹液ですって?!」山さんは、得意げに話し出した。
「あのね、この時期になるとさ、
一斉に街路樹が葉っぱから樹液を出すんだ。  
それこそ、ピューピューッてね。
すごい時なんて、まるで、小雨が降るようにね。  
それがさ、俺たちタクシー泣かせでね。
雨のようには取れないんだ。ワイパーなんて全然ムリ。
俺なんか、一日に何回も車を停めて濡れタオルで拭くものね」

「これ、樹液なんですか」
「そうさ、スゴイだろ。木も生きているって証拠だよな」
元也はハッとした。(木も生きている)
娘の言ったことが思い浮かんだ。
「緑のシャワーを浴びると元気になれるのよ」
「緑のシャワー」なんて言っても、
それはただのイメージの世界だと思っていた。
そんな「見えないもの」を信じられないとも思っていた。
ところが・・・。「見えるじゃないか、木の命が」

翌朝から、元也は、近くの公園を散歩するようになった。
緑のシャワーを浴びながら……
Author:志賀内泰弘




『地球上の奇妙な自然現象』



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる



P R
カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語
                           

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