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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-(104)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

 

Kanshin021111


韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 
 
漢の韓信-(104)


「生が……? それでは兵を引かねばなるまい」
知らせを受けた韓信は、当然攻撃は中止すべきだと思い、
実際に一時進軍を止めようとした。
しかし、それに不満を募らせた幕僚がひとりいる。
「お待ちください」と、言ってそれを押しとどめたのは、
通であった。
「先生、喜べ。ひとつ私の仕事が減った。
兵を死地に送らなくてすむことを生に感謝しなければな」
韓信は本心からそう言った。
戦わずにすますことができれば、そうしたい。
ここのところ戦って勝つたびに、
自分の立場がどんどん悪くなっていくことを
実感しているからだった。

しかし通は韓信が珍しく喜色をあらわしていることを
無視して言った。
「軍を止めてはなりません。勅令がございましたか」
勅令……? いや、それはない……。
しかし、私は印綬を持ち、軍の指揮権を一任されている。
漢王から斉を討伐せよとの勅令を受けて
ここまで進軍してきたことは確かだが、
その必要がなくなった以上、
軍を止める権限は私にある。当然ではないか」

通はさらにそれを無視し、自分の意見を述べ始めた。
「斉の王族の田氏は、常に己の自立心のために
背信を繰り返す油断ならぬ一族でございます。
田栄はすでに死しておりますが、
弟で宰相の田横はまだ健在です。
田の息子の斉王田広もその血を引継いでいる以上、
似たような性格でしょう。
斉は武力で討ち、田氏一族はすべて滅ぼすべきです」

韓信は反論しようとしたが、いい文句が思いつかない。
斉はかねてより滅ぼすべきだとは韓信自身が
思っていたことであり、
田一族は確かに味方としては信用できない存在であった。
「……しかし、まさか生が勝手にやったことではあるまい。
使者として斉に赴いた以上、生も漢王より
勅命を受けてやったことに違いないのだ。
私が勝手にその功績を奪うことがあってはならないだろう」

「先ほども申しましたが、
将軍に行軍中止の勅令は出されておりません。
と、いうことは斉の武力討伐の勅令は、
いま現在も有効なのです。
斉を討つのであれば今が絶好の機会でありましょう」
「今が絶好の機会……
生に口説かれて油断しているうちに討てというのか……。
しかし、それでは生の身が危ない。
彼はまだ斉に滞在中だというではないか。
私にはあの老人を見殺しにすることはできない。
君は知らないかもしれないが、
彼は私にとって……大事な友人の一人なのだ」

「さもありましょう。が、その前に
生は一介の弁士でございます。
そのたかが弁士に過ぎない男が車の横木に
身をもたれかけながら舌先三寸で
斉の七十余城を降したのですぞ。
これをどう思われますか」

お前だって弁士ではないか、と言いかけて
韓信はやめた。
いかにも武人が弁士より格上だと言っているように
聞こえるかもしれない、と思ったからである。
「私に彼の成功を妬(ねた)めというのか。
妬んで田氏もろとも殺せと……。やめてくれ! 
私はそんな度量の狭い、安っぽい男ではない」

「将軍は長い年月をかけて諸国を征伐してきましたが、
この将軍の功績と生の舌は同じ働きをした、
ということですぞ。ここで生の功を認めるということは、
将軍のために死んだ数多くの部下の命が
生の舌と同じ価値しかない、と認めることになります。
それでもいいのですか」

「いや、しかし弁士というものはそのためにいるのだろう。
弁士たる者の最大の武器は、
数万の兵士と同じ働きをする舌ではないか。
私は、時と場合によっては武力より
弁士の舌の方が有効であることを知っているし、
その意味では、なんら自分に恥じることはない。
死んだ者の話を持ち出したりしても、私の心は動かないぞ」

「悲しいかな、将軍は、弁士が
一体どのような存在であるか、理解していらっしゃらない」
通は嘆息するように言った。

韓信は侮辱されたような気がして、面白くない。
ぶっきらぼうな態度で通に言い放った。
「そうか。では、弁士たる者がなんであるか、
どうか私にわかるように説明していただきたいものだ」

「弁で世の中の趨勢を変えることには、
限界があります。
変えられたとしてもほんの一時のこと。
それはなぜか。人の心はうつろいやすいく、
その時々によって状況は推移するからです。
弁士はそれに合わせて論じているに過ぎず、
本質的に世界を変えることはできません」

「お前だって、弁士ではないか!」
韓信は結局我慢できず、その言葉を発した。
「然り。弁士は皆、自分の口や舌では
世界を変えることができないことを自覚して、
行動しているのです。生も例外ではありません」
「なぜ、そう断言できる?」
「私も弁士のはしくれだからです。
それを自覚していない者は、弁士ではありません……。

生は自分の口では世界を変えることはできないと
知りつつ、斉へ乗り込んだ……。
彼は、言うなれば死士です! 
彼は斉で死ぬつもりです」「…………」
「将軍が生の意志を尊重するなら、この機に軍を進め、
斉を討つべきでしょう。
そうしなければ、生は生き伸び、
このたびの成功で褒美をもらえましょうが、
いずれ斉は裏切ります。
そのかどで、彼は処罰されましょう。
本人がそんなことを望んでいるかどうか」
「…………」韓信は決心がつかず、
いらいらとするばかりだった。

つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


「ひばりの佐渡情話」美空ひばり





人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……
 


 
時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる 

 

P R
カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語
                           

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