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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-(103)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 

 
 
漢の韓信-(103)

酈食其が見るに、出会った頃の劉邦は、
限りなく薄い灰色の布を持っていた。
悪を象徴する黒に何度も染められながら、
その色を何度も洗い直した痕跡がうかがえる。
しかしそれでいて善を象徴する明るい色にも
未だ染まっていないことも確かで、
逆にこれが可能性を期待させた。
これこそが劉邦なら自分の考え方を
受け入れるだろうと感じた所以である。

一方、韓信に初めて出会ったときは、驚きを感じた。
彼の持つ布は、表が黒で、裏が白いのである。
黒い色は限りなく沢山の色を混ぜ合わせた結果
黒くなったらしい。
白い色はただ単に何もない、ということではなく、
何物にも染まろうとしない不安定な
自意識の象徴であるように思われた。

こういう男は、生きていくのがつらかろう。
周囲の環境に翻弄され、時には順応し、
時には反発しながら、ひたすらに自分自身の
求めるものを追おうとする。
しかし布の裏が白いということは自分自身が
なにを求めているのか不明である証拠でもあった。

自分で自分を染める、ということが今の時点では
できないでいるらしい。
激しい風雨にさらされながら、……
ただ一本倒されずに咲き続ける花のようだ。
本来花は環境に適合して育つものである。
しかし韓信はまったく場違いな環境に生まれ、
種を飛ばしても子孫を残せない環境に咲き、
その存在の無意味さを知りつつも
咲き続けようとする花のようであった。

この男には種や花粉を異世界に飛ばすための、
鳥や蜂のような存在が必要だ。
そう思ったのは、風雨の中の一輪の花が、
弱々しくも健気で美しいと感じたからである。
その鳥や蜂のような存在が、わしだ。

酈食其は韓信を見るたびに、そう思うのだった。
酈食其は劉邦に次のように献策した。
「楚は滎陽を奪いましたが、敖倉を堅守することなく、
すぐさま兵を東に振り向けてしまいました。
また成皋も楚によって奪われましたが、
愚にもつかない兵どもに守備させるばかりで、
これを奪い返すのはたやすいと存じます。

敖倉の穀物の貯蔵量を考えれば、
漢がこれを捨て置くのは重大な過失ではないかと……。
成皋を奪い返し、敖倉の穀物を支えとすれば、
漢が実力で楚を制圧する状況にあるという威勢を
天下に示すことになります」
「なるほど」劉邦は同意を示した。
確かに敖倉の穀物は欲しい。
「北では燕、趙が平定され、
残すは斉のみとなっております。

斉は楚と国境を接しているので住民は戦乱に馴れ、
人を騙したり、変節することになんの抵抗もありません。
これは王族の田氏も同様なので、
たとえ数十万の兵をもって斉に攻め入ろうとも
一年やそこらで撃滅することは不可能でしょう。
ここは、私が斉に赴き、漢に味方する利を
説いて参りたいと存じます」
酈食其はそう説いたが、劉邦はこれに対しては
なかなか同意を示さなかった。

「かの地には韓信がいて、わしはその信に
斉を滅ぼせと命令を下してきたばかりだ。
お前が使者として行くのであれば、
韓信の進軍を止めねばならない。
それに……斉の田氏は、田儋、田栄、田横の三兄弟
いずれも独立心が強く、一度帰順の意を示したとしても
すぐ裏切るような気がする。
禍根を残さないためには一族もろとも
滅ぼしてしまうのが最善なように思うが」

「確かに田氏は一筋縄ではいかない血筋でございます。
私が使者として説得できたとしても、
屈従するのはほんの一時に過ぎません。
もし私が失敗したら韓信に命じて撃てばいいでしょう。
また、成功すれば田氏には油断が生じます。
やはりそこを撃てば……」

いずれにしても最終的には武力で討伐する、
ということであった。
しかしそれでは使者として赴く酈食其の身が
非常に危険である。
劉邦がそれを質すと、酈食其は涼しい顔をして答えた。
「挙動の軽さは私のいちばんの取り柄としているところです。
どうかご心配なさらずに」
劉邦はこれを受け、酈食其が使者として
斉に赴くことを許した。そして韓信には
なにもこのことについて伝えなかったのである。

身軽さが自慢の酈食其は、命を受けるや否や斉へ急行し、
韓信の軍より先に到達すると、
宰相の田横や斉王田広(田儋の子)を説き伏せて、
漢に帰属することをあっさりと約束させてしまった。
七十余城を守る斉の守備兵たちはこれを受けて
それぞれ撤退し、斉王田広は漢と懇親を深めようと
日夜酒宴を開き、酈食其を痛飲させてもてなしたのである。

つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る




歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…

 『こころの町 』 美空ひばり




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……

『雨夜酒』藤あや子




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる

P R
カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語
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