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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

妄想劇場・一樂編

妄想劇場・一樂編

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

 
Mituo
人の為(ため)と
書いて
いつわり(偽)と
読むんだねぇ 
 

 
『新商品開発指令・・・』(1/2)

杉山健太は、飲料メーカーの営業をしている。
課長の肩書で、10人の部下がいるが、
やっていることは部下と同じ。
担当地区のスーパーを回って「売り込む」のが仕事だ。
新商品が出ると、棚を確保してもらうのが一苦労。
ライバル社との競争が激しく、
なかなか並べてさえもらえない。
仮に置いてもらえたとしても、売れ行きが悪いと
すぐに撤去される。

「千三つ」、つまり千個の新商品に対して、
定番として残るのは三個くらいの確率。
出しては消え、出しては消えの繰り返し。
「開発部はわかってんのか!」と今朝の会議では吠えた。

「そうだ、そうだ!」と全員が賛同したが、
ただの愚痴に過ぎない。
今日も、新商品のサンプルをカバンに詰めて、
「さあ、出掛けよう」としたその時だった。
「おい、杉さん。ちょっと来てくれ」と
支店長に呼ばれた。
「なんですか課長・・・あっ本部長・・・」
「たまたま、大山本部長が本社から出張で来られててな。  
さっきの、朝の会議のお前の話をしたんだよ」
「ええ!勘弁してくださいよ、課長。  
そんなチクるなんてマネやめてくださいよ~」
「チクるって何だ、人訊きの悪い」
そこへ、本部長の大山が割って入った。

「杉山クンだったよね、久しぶり」
「あ、はい、ご無沙汰しています。
横浜支店ではお世話になりました」
大山は、杉山健太がまだ主任のころ、
横浜支店で直接の上司として仕えていたことがある。
「なんか俺も同感って感じがしてな。
わかるよ、わかるよ」
「はあ~」
どうやら、愚痴を叱られるわけではないらしい。
「でもな杉山。開発だって無駄に新商品を
作ってるわけじゃないんだ。  
実は、俺もこの前、同じ文句を
言ってやったんだ、あいつらに」
「え!?」 「そうしたらな、逆襲されちまってな」

「・・・」 「
『わかりました。じゃあ、営業さんからも
ヒットする新商品の提案をしてください』って
言われちまってな・・・困ってんだよ」
「はあ・・・」
大山は、かつての部下だからか、率直に弱音を吐いた。
「そんなアイデアがポンポン出るくらいなら、
俺が開発部長になるさ。  
でも俺は営業一本でここまで来たしなぁ~。
頭も固いし、もう歳だしな」
健太は、少しホッとして答えた。
「よかった。カミナリを落とされるんだと思いましたよ」
「いやいや、それでな。お前に頼みがあるんだ」
「はあ~」 「文句を言った罰というわけじゃないが、
新商品のアイデアを出して欲しい」
「ええ~私がですか?」
「うん。期限は3日。
実はな・・・、開発の連中に約束ちまったんだよ、
1か月くらい前にな。  
その期限が3日後なんだ。ずっと考えてたんだけど、
思いつかなくて」
「そんな・・・3日だなんて」
「俺、この足で関西へ出張なんだ。
メールでも何でもいいや、待ってるぜ、じゃあな」
そう言うと、大山は大きなカバンを肩から下げて
部屋から出て行ってしまった。
支店長が、ポンッと健太の肩を叩いた。
「期待してるよ」というわけで・・・
健太は、暗い暗い、憂鬱な日々を過ごした。
そして、あっという間に3日が過ぎた。
本部長ですら提案一つできなかったというのだ。
最後は、「ごめんなさい」と言おうかと思っていた。
おそらく、開発部の連中だって、
本気で優れたアイデアが出てくるなんて
思っちゃいないはずだ。

午前中、2件のスーパーを回った。
暑い。猛烈に暑い。
スーパーの駐車場は屋根がない。
ものの10分も停めておくと、中は熱帯地方になる。
エアコンもすぐには効かない。
窓を開ける。汗が背中をつたう。
こんな日の営業はたまらない。
でも、悪い事ばかりじゃない。
テレビアニメのキャラクターとコラボした
新商品が大ヒットし、 スーパーからは
「品切れにならないように頼むよ」と言われた。
そのおかげで、時間にも余裕ができた。
(ちょっと、昼飯は寄り道していくかな)
健太は、ずっと気になっていて、
時間のあるときに行ってみたいと
思っていたところがあった。 とあるコンビニ店だ。
仕事柄、コンビニを利用すると、
ドリンクコーナーに目が行く。
直接、コンビニへ営業することはないが、
気になってしまうのだ。
うちの商品は、どの棚に並んでいるか。他社はどうか。

健太には、同い年の従弟がいた。
杉山元気という。家も近かったので、
幼い頃からよく遊んだ。
中学に入ると、一緒にテニスを始めた。
ダブルスを組んだこともある。健太は人並みだったが、
元気は違っていた。才能もあったのだろう。
別々の高校へ進んだ後、元気はテニスで
インターハイにまで出場するようになった。

ところが・・・。乗っていたタクシーが事故を起こし、
元気はケガをしてしまう。
それも、一時は重体だった。命はとりとめたが、
車椅子の生活を余儀なくさせられた。
でも、負けん気が強く、リハリビを挑む。
足は二度と動くことはなかったが、
テニスを再開させた。車椅子テニスだ。
何度か試合の応援に行ったが、とても身体に
障害がある人たちのゲームとは思えない迫力があった。
おそらく、健常者でも、
「そこそこやっている」くらいでは勝てないだろう。

……つづく


時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる



盲導犬へのクレーム 』



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と言い訳になるから……




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