流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-(101)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 

漢の韓信-(101)

韓信、信頼を裏切るような行動はとるな。
君をいちばん最初に見出したのは、この俺だぞ。
その俺の顔に泥を塗るな」別れ際の
夏侯嬰の言であった。

「私がいつそのような行動をとったというのだ。
このたび私は確かに趙で逡巡して活躍できなかったが、
それは私自身の抱える問題に原因があったからで、
ことさら大王の破滅を願ったからではない。
これによって私が裏切ると考えるのは
大王の思い込みであり、妄想だ」
韓信はそう言い、身の潔白を主張した。

「ならいいが……大王は、君を信頼している。
いや、信頼せざるを得ないのだ。
強国斉を討伐する任務を与えられる者など、
漢には事実上君しかいないのだからな。
単独行動を許され、
大王の目の届かないところにいるのをいいことに、
変な気をおこしてくれるなよ」

夏侯嬰は返事を待たず、劉邦を車に乗せ、
修武の地をあとにした。
劉邦韓信に対する思いは微妙としか言いようがない。
当初の構想どおり魏、代、趙、燕、斉は
攻略してもらわないと困る。

しかしそれに成功しすぎて韓信の勢力が
劉邦のそれを上回ることがあってはならなかった。
このため劉邦韓信が武功をあげるつど、
理由をつけて兵を取りあげて勢力を削ぎ、
魏蘭の言うような韓信首領とする
私兵集団が形成されることを阻害した。

しかしそれが何回も続けば、韓信にも不満が生じる。
不満は叛逆の種となり、劉邦としては
韓信に叛逆されれば太刀打ちする手段も能力もない。
そのため懐柔することも必要であった。
すなわち劉邦印綬を返さず、
韓信を趙の相国に任命したのである。

つまり、印綬は新たに作り直されたのだった。
相国とは総理大臣に相当する内政の長のことをいう。
丞相とどう違うかは諸説あるが、
臨時的に丞相の上に置かれる地位であると
解釈すれば問題ないであろう。

しかしいずれにせよ、韓信がこの措置に
満足したどうかはさしたる問題ではない。
ただ、地位を与えられた以上はそれに相当する
職務を遂行しなければならない、という
義務が生じたのは事実であった。

これにより、韓信は気持ちを改めざるを得ず、
斉への征旅を開始した。
「私は、そんなに危険人物だろうか。
印綬を取りあげられるほどにらまれる覚えなど
私にはないというのに」
そう愚痴りたくなるのも無理はない。

たしかに半年もの間ぐずぐずと行動をせずに
いた自分も悪いが、彼が行動するということは、
ひたすら人を殺す、ということなのである。
地位と名誉を引き換えに、とは
よく使われる台詞であるが、
彼自身はその両方とも人並みでさえあれば
構わなかった。

そのような状況にあって、逡巡するのは
むしろ人としての証ではないか。
印綬が新しくなって戻ってきたのは
喜ぶべきことでしょう。
結局待遇は以前より良くなったことも、
やはり喜ぶべきです。
曹参さまは以前にも行動を共にしたこともございましたし、
灌嬰さまはまだお若く、
監視としては警戒すべきようなお方ではありません」
蘭はそう言いつつも、不安を禁じ得ない。

韓信の将来が見えてこないのである。
天下が乱れているうちは、
韓信劉邦にとって必要な存在であるが、
いずれ項羽を討ち、世が泰平になった際、
韓信はその能力のゆえに存在を
許されなくなるのではないか、と思うのである。

しかしその思いはこの時点では漠然としていて、
解決方法も見えてこない。また、
劉邦項羽を討つと決まったわけではなく、
その逆の可能性の方が現状では高いのであった。
印綬がなくなって、私はこのうえもなく不安を感じた。
これは私が漢王の臣であるということを
如実に示していると思う」

韓信は今朝の出来事を振り返るかのように話し始めた。
その表情は、苦い薬を無理に呑んだようなものである。
自分にとって良いことなのか悪いことなのか
よくわかっていない様子であった。

「どういうことですか?」
「わからぬか? もし私に叛意があれば、
印綬などなくても行動は可能だ。
大沢郷で挙兵した陳勝呉広印綬があったか? 
会稽の県令を殺して自立した項梁に印綬があったか? 
沛で挙兵した漢王は印綬をもっていたか? 
答えはいずれも否である。

人が人に叛くときには印綬など必要ないのだ。
しかし私は印綬なしに行動することを、
どうやら本能的に嫌っているようだ。
こんな私が漢王に叛くなど……」
「あり得ない、と? では、将軍は心から
漢王に忠誠を誓っておられるのですね」
蘭はこのとき韓信が即座に肯定するものと
思っていたのだが、その答えは意外なものだった。

つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る




歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『池袋の夜』青江三奈



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……



『恋は不思議なもの 』美空ひばり




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる





P R
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