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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-(100)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 


漢の韓信-(100)

「いま私は趙の国境の南の端までたどり着き、
この修武に駐屯しております。
確かにここから滎陽までは、黄河を挟むのみの
ごくわずかの距離に過ぎません。
よって趙の内政状況など捨て置き、
大王のもとへ馳せようと思えば、そうできたでしょう。
しかしあえてそれをしなかったのは、
私が趙を離れるのをいいことに、
楚が介入することを心配したからです」

これも事実であった。しかし
事実のすべて、ではない。
韓信が積極的な軍事行動に出なかったのは、
確かに彼自身の鋭気の喪失によるものが大きい。

それはカムジンを失ったことから始まる
軍事に対する倦怠感、目的意識の喪失、
さらには以前より存在した漢王劉邦との
信頼関係への疑惑……
などが重なり合った結果によるものだろう。

韓信は趙国内の鎮撫の必要性にかこつけて、
滎陽の危急をやり過ごしたのである。
劉邦は、そのすべてを見通したわけではないが、
そこを見事に突いた。
「お前のいうことはいちいち正しいが、
楚の主力はわしを狙っているわけだし、
趙の国難に介入する楚軍の勢力など
たかが知れたものだろう。
それに趙国内の鎮撫活動についても、
なにもお前が直々に行う必要はないのだ。
すべて張耳に任せておけばよい。
そのための趙王であろう」

「はぁ……しかし……」
「それとも趙の民衆を手なずけて、
国力を蓄えて自分の勢力とし、
わしが楚に敗れて敗走すると、
それを大義名分として楚を討つ……。
そして項羽を屠ったのち、返す刀で
漢も討つつもりか。
お前ならそれもできないことはあるまい」

「……お戯れを……!」
韓信は比較的感情を表に現さない男であったが、
この時は額に脂汗が浮かんだ。
劉邦はそんな韓信の顔をまじまじと観察し、
韓信が真剣に受け止めていることを確認すると、
自分が発した言葉に自分で戦慄した。
いざ韓信劉邦のいう通りに行動すれば、
劉邦にはそれを防ぎようがなかったのである。

「冗談はほどほどにしておこう」
決定的な破局は避けねばならなかった。
韓信は味方にしておくのに限る。
不満を抱かせて楚に寝返りでもされれば、
漢の滅亡は免れない。
劉邦は、不用意な言動は慎まねばならなかった。

「趙でのお前の逡巡は過ぎたことで、
それを責めても仕方のないことだ。
……あらためて言うが、いつまでも
趙に留まっておらず、とっとと斉に行くのだ。
そして斉を討ち滅ぼし、北の大地を
残さず漢の領土とせよ」

「……仰せの通りに……しかし、
印綬がなくては兵を指揮することができません。
どうかそれを……お返しください」
「うむ。印綬はわしの手にある。
しかしわしはこれをお前に返す前に、
権利をひとつ行使するつもりだ。

すなわち、いまお前の手元にある兵を三つにわけ、
ひとつを趙の防衛に回し、
ひとつはお前の手に残そう。
もうひとつはわしが統率し、連れて帰る」

これにより韓信の兵は三分の一となったのである。
それでも韓信劉邦に威圧を感じ、
従うしかなかった。
「お許しを得て、差し出口を挟みたく存じますが……
よろしいでしょうか」

このとき末席から発言したのが、蘭であった。
劉邦は興味深くそれを眺め、発言を許した。
「魏豹の娘、魏蘭であったな。
信のもとで重用されていると聞いている。
よろしい、意見を申せ」
「ありがとうございます。
いま、大王は将軍に三分の一の兵をもって
斉を討てと仰せになりましたが、
斉は趙より強大にして、
七十余城を保有する大国。
知勇を謳われた将軍といえども、
とてもそのような寡兵では攻略できません。
そこでご提案がございますのですが……」
「申せ」
「大王が将軍の兵をお取りあげになられますのは、
ここにおらせます韓信将軍が
私兵集団をもつことを憂慮しているからだと、
私は考えます。
本来将軍にはそのような意志はないのですが、
大王に対してそれを証明する術をもたず、
こちらも苦慮しておられます。
これを解決するには大王の信任厚い方を
こちらに副将として派遣していただき、
もって将軍の行動を監視していただくのが
最上かと存じます」
「ほ! 当事者二人を前にして、ぬけぬけという女だ。

しかし、その意見には聞くべき価値がある。
いいだろう、曹参と灌嬰の二人を副将として送る。
信よ、この二名の将軍が到着次第、
斉へ向けての征旅を開始せよ」
「は……」
「不満か。それとも副将は盧綰や周勃の方が良いか」
盧綰や周勃はより劉邦の側に近い人物で、
彼らを迎え入れることは監視の度合いを
強めることとなる。
自分に後ろめたいことが一切ない、と
言い切れればそれでも構わないのだが……。
「いえ、そのようなことは……。
勅命、謹んで承ります」


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る




歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『人生劇場』美空ひばり




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……




『大坂しぐれ』美空ひばり




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる




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