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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-(89)

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 

漢の韓信-(89)

「お顔の色がすぐれませんね。
どうなさったのですか?」蘭の問いかけに、
韓信は応じる言葉を見つけることができなかった。
「悩み事でも?」

「……ある人が、君のことを……
人質に出せと……漢王のもとに……」
「いつになく歯切れの悪い物言いですこと。
それを言ったのは酈食其さまでしょう。
先ほど私に直接話してくださいました。
私にはそんなに悩む必要があるとは思えませんが」

「まったく、あの爺さんときたら! 
あの人は思いつくとすぐ行動に飛び移るのが悪い癖だ。
この間も漢王に叱られたばかりだというのに」
蘭はくすっと笑い、韓信をなだめるように
穏やかな口調で話し始めた。

「悪い人ではありません。あの方は将軍のことを、
ずいぶんと気にかけております。
将軍は智勇兼ね備えた名将にして、
漢の至宝たる存在だ、とまで申しておりました。
それゆえ漢王との微妙な関係が気になると……」

「酈生のことはいい。肝心の君の気持ちはどうなんだ?
私は君を行かせたいとは思っていないが、
心を鬼にして行けと命令すれば、君は断る立場にはない。
非情なようだが、公私の区別はつけなければならぬ」

「おそれながら、将軍のいまの言いようは
間違いでございます。
いったい公とはなんでございましょう。
将軍が漢王ににらまれたくないから
私を人質に出す、ということを示しているので
ございましょうか? 

にらまれたくない、というのは私的感情でございます。
公ではなくて私の領域です」
「では君の考える公とは、なんだ」
「将軍にとっての公とは、将軍自身が理性を保ち、
精神と感情の平衡を保ち、
それによって軍の士気を維持することにある、と
私は考えます。

漢王は確かに自立できるほどの勢力を
将軍に持たせることを危惧しておられるようですが、
それによって将軍が戦いに敗れることを
望んでおられるわけではありません。
つまり、将軍は軍を常に勝てる状態に保つことが
公であり、何よりも優先して務めねばならない
責務なのです」

「つまりは、私が君を手放すと、
私が気落ちして理性を失い、その結果、
私の軍は弱くなると……そう言いたいのか?」

「いやな女だと思われたくはないのですが……
その通りでございます」
「そんな風に君のことを見たりはしない。
たぶん君の言う通りだろう。
しかし……ということは君は行く気がないのだな?」

「私が行けば、それなりに効果はあるのでしょうが
……行きたくありません。
つきましては私に考えがございます。
聞いていただけますか?」
「聞こう。聞かせてくれ」

「では……先日将軍は井陘で趙を激戦のうちに破り、
趙王を虜になさいました。
これにより趙は王座が空位となったわけですが、
将軍はそれをそのままにしておいでです。
これをどうお考えになられますか」

「私も好きでそうしているわけではない。
趙の国内は現在無政府状態であり、
早く手を打たないと諸地方に反乱が起きるだろう。
しかも、それを機に楚に武力で干渉される恐れがある。
だが燕との交渉を先にしてしまったので、
後手に回ってしまったというのが正直なところだ……

しかし、趙を王国のまま保つか、
漢の直轄郡の一部にするかは私の決めることではない。
漢王の沙汰を待っているのだ」
「滎陽は窮地に陥っている、と聞いております。
漢王は実際それどころではないのかもしれません。
時間が経てば経つほど状況は悪化しかねません。

沙汰を待つのではなく、将軍から
行動を起こすのがよろしいでしょう」
「……まさか、君まで私に王を称せ、と
いうのではないだろうな」

「……違います。張耳さまを趙王に推挙するのです。
そうすれば将軍が自らの王位襲名を考えていないことを
漢王に印象づけることができましょう。
趙国内の早期安定にもつながります」
「なるほど……そうだな。
酈生が兵を連れて帰るときに伝えてもらうことにする。
しかし、漢王はそれを了承するだろうか?」

「極端な話をすれば、了承するかしないかは
問題ではありません。要は将軍に
王を称す意志がないことを伝えることができれば
それでいいのですから。
でも……了承するでしょう。
張耳さまは趙にゆかりの深い方ですし、
漢王ともご関係の深い方ですから」

「君も幕僚らしい口の聞き方をする……
どうも私はそう言うことを考えることが苦手で……
君の言う通りにしよう。今後もよろしく頼む。

軍事にしか頭の回らない私を、どうか守ってくれ」
蘭は、韓信のこの言葉を聞き、嬉しそうに微笑んだ。
軍服を着て戦場に臨んだ蘭であったが、
井陘の戦いにおいて、韓信は蘭に
戦地に立つことを禁じ、後方の非戦闘員の
護衛を命じた。

女である自分に人を殺させないという韓信
心遣いであることはわかるが、
やはり重要な局面で力になれないことを
蘭は残念に思うのである。
なんとか韓信にとって必要な人間でありたい、と
思い続けた彼女の願いが叶った瞬間であった。

かくして韓信は張耳を趙王に立てることを
酈食其を通じて上奏し、漢王はこれを認めた。
蘭は政略的な眼力を証明することとなったのである。

つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…

藤あや子・ わかって下さい 』




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……


乱れ花大月みやこ




時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる 





P R

カビの生えない・きれいなお風呂

お風呂物語

Furo1