読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-83

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 
 

漢の韓信-83


「私が思うに、陳余という男は戦争を
美化して考えているな。
正義とか、男の見栄などを重視しているように思える」
韓信の言葉に、即座に張耳は反応した。
「それはそうだろう。彼は儒者だからな」
「! そうでしたか。それは初耳でした。

……しかし、だとすれば、彼は腐れ儒者だ。
戦争の本質がなんたるかをまるでわかっていない。
以前の私と同じように、彼は戦争を
競技のように考えている」

「ほう……」「戦争には少なからず、犠牲が伴う。
そうである以上、手法はともかく勝たなくては意味がない。
陳余は李左車の意見を取り入れるべきだった。
他に方法があるのに、正々堂々と正面から
戦うことなど……偽善だ。反吐が出る」

張耳は韓信が感情をあらわにするのを初めて見た。
意外に思ったが、しかし言いたいことはわかる。
「だが、それによって我々に勝機が見えてきた、違うか?」
「確かに。兵法に通じた陳余の鼻っ柱を折ってみせよう……
いや、すみません。張耳どのの旧友であることを失念して、
少し興奮してしまいました」

「構わん。すでに袂を分かった、と言っているではないか。
その様子では充分に勝算があるのだな?」
「はい」韓信の頭の中には、すでに作戦の構図が
描かれていた。
韓信は井口(せいけいこう)の手前三十里に陣を留め、
その日の深夜、カムジンを始めとする騎兵二千人を招集した。
それら騎兵一人一人に赤い旗を持たせ、
韓信はここに至り、初めて作戦を明かしたのだった。

「諸君はこの赤い旗を持ち、間道から趙の
砦に近づいたところで、待機しておれ。
くれぐれも見つからぬように林間に身を潜めているのだぞ。
私は本隊を率いて趙軍と正面から戦うつもりだが……、
その際あえて敗れたふりをするつもりだ」
「は……?」
「私が敗走する姿を見れば、砦の中の趙兵は
追撃を始めるに違いない。
つまり、そのとき砦は無人となる」「…………」
「その瞬間を逃さず諸君はいち早く砦に侵入し、
趙の旗を抜き取り、この赤い旗を立てよ」

そう言いながら、韓信は兵たちに軽食を配った。
「作戦前のことなので腹一杯食わせてやることは
できぬが……今日、趙を破ったのち、
みなで一緒に会食することにしよう」

朝飯前に戦局が決する、というのである。
兵たちは了承の返事をしたものの、
誰も本気で信じる者はいなかった。
せいぜい士気を高めるくらいの発言だと思ったのである。

しかし、韓信は本気だった。趙軍は塁壁を築いて
それに身を隠し、さすがに軽々しくは
出撃しない様子であった。
すでに地勢を得ているのだから、
じっくり時間をかけて戦うつもりだろう。
そう踏んだ韓信は、士卒に対してこう言い放った。

「趙軍は軽挙妄動を謹む構えを見せているようだが、
彼らの自制心を解放する術を私は知っている。
……それは大将たる私自身が突出し、
その結果敵陣の中に孤立することだ」
士卒たちは、それを聞いてざわつき始めた。

「それでは危険すぎます」
「それこそ、軽挙妄動ではないのですか」
韓信はそれを手振りで制し、
「私は死ぬつもりはないが、事実その危険はある。
君たちはそうならないようせいぜい踏みとどまって、
私を守れ。我々が勝つか負けるかは、
そこが分かれ目である」と言い放った。

そして敵が守備に徹して動きを見せないのをいいことに
悠々と進軍し、なんと川を背にして陣取ったのである
。趙軍はその様子を見て大笑いした。
韓信は兵法を知らない」
「自ら退路を断つとは、しろうと同然」
味方の漢兵も口にこそ出さないが、
同じようなことを思った。

「……川を前に置けば、敵の侵入はある程度防げるが、
いま敵地に侵入しようとしているのは、我々の側だ。
よって本来川を前面に陣を張らなければならないのは
趙軍の方であり、彼らに川の向こう側に陣取られると、
攻めるこちらとしてはやりにくいこと甚だしい。
……だから、私はそうさせない」

戦いを前に魏蘭や通を前に語った韓信の言である。
しかし、韓信は具体的なことはそれ以上
語らなかったという。
夜明けとともに戦鼓が高らかに鳴り、
漢軍の進撃が開始された。趙兵たちは迎撃しようと
撃って出たが、そこにあったのは彼らにとって
目を疑う光景であった。

「……大将旗だ!」「韓信が先鋒でいるぞ!」
「裏切り者の張耳もいるぞ! 取り囲め! 捕らえよ」
趙軍の兵士はみな塁壁から出て、
飢えた虎のように韓信めがけて突撃を開始した。
「来たぞ、諸君。さあ、逃げるぞ!」
韓信を始めとする先鋒部隊は、
なりふり構わず逃げ出した。
戦鼓や旗を捨て、一目散に川岸に向かって
走り続ける。

「後退せよ! 退却するのだ」韓信は大声で
命令を発する。
それに呼応するかのように趙兵は次々と塁壁から出撃し、
漢軍を追いつめて行くのだった。

それまで戦況を見続けていた陳余は、
傍らの李左車へ勝ち誇ったように語りかけた。
「見ろ。韓信は弱い。
君の言う勝ちに乗じた軍というのは、
こういうのを言うのか?」
李左車は不審に思いつつも、返す言葉もない。
「……私の誤りだったと思われます……」
「ふむ。誤りを認める潔さは認めよう。
しかし、作戦前の重要時に弱気な妄言を
吐いた罪は重い。
君の処分については、この戦いのあと、
じっくり考えさせてもらう……
さあ、者ども! 私も出るぞ。付いてこい!」

陳余はそう言いつつ馬に跨がり、自らも
出陣することを宣言した。
つまり、彼は韓信の罠にはまった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『魂の歌姫 』


舞う鳥も 私とおなじ 
この世にも 生きてこそあれ 
歌ひとすじの道…美空ひばり



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴と、言い訳になるから……

時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo