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流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

漢の韓信-78

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 

漢の韓信-78ー(愛・反間・苦肉


このころ、陽の漢軍は窮地に立たされている。
漢は陽から秦時代からの穀物倉である
敖倉につながる甬道(ようどう)を築いてこれを
補給の要としたが、楚は断続的にこの甬道を急襲し、
分断した。これにより、陽には
飢えの気配が漂い始めている。

「やはり当初の構想どおり、陽以東は
楚にくれてやるのが得策かもしれぬ。
誰が何と言おうと、和睦じゃ。それ以外どうしようもない」
劉邦はそう弱音を吐いたが、張良を始めとする諸将は
諦めがつかない。

いまに、韓信西魏を降し、趙・代を降すに違いない。
さらに燕・斉を降すことができれば
大陸の北半分は漢の勢力圏となるのである。
これに加えて、南には新たに参じた黥布を淮南に派遣し、
楚の後背を突く計画を立てている。これが成功すれば、
楚を完全に封じ込める包囲網が完成するはずであった。

さらには彭城と陽の中間に位置する梁
(かつての首都大梁などの魏の中心地域)周辺では、
彭越が神出鬼没的に兵を率いて出没し、
楚の補給路を断っている。
ここで劉邦率いる本隊が和睦を結んでしまっては、
せっかくの彼らの活躍もまったく無意味なものに
なってしまうのだった。

「誰かいないか? わしのかわりに
全軍を指揮する者は?」
その漢王劉邦の痛切なる願いに応えたのが、
新参の護軍中尉、陳平であった。
陳平は劉邦の前に進み寄り、奏上した。
「私の腹づもりでは、項王は情にもろいお方、
こちらが頭を下げ、和睦を請う形をとれば
必ずや了承します。
しかし強硬派の亜父范増などは反対いたしましょう。
そこにつけいる隙が生じるかと存じます」

項羽の性格……
あれは情にもろいというのだろうか? 
わしが思うに、やつは暴虐だ」
劉邦は疑問を呈してみせた。
「暴虐なのは、敵に対してのみです。
項王は自分に敵対する相手を無条件に
憎むことができますが、逆に味方に対しては
愛情をもって臨みます。
これは項王が愛憎のみで動く人物であることを
示しています。
これを逆手に取れば……はっきり言って、
項王に取り入るのは簡単です」

「しかしわしはかつて鴻門で項羽に頭を下げ、
それから態度を翻すかのようにして今に至っている。
それでもやつは和睦を承諾するのか」
「するでしょう。しかし、先ほども言った通り、
項王が承諾しても范増が反対します。
和睦は結局成立しません。
そこで私は策を弄し、彼らを切り離そうと思います」

劉邦は陳平に軍資金として黄金四万斤を与え、
それを自由に使わせて工作に当たらせた。
それは、反間(はんかん)(スパイの意)の
策であった。
劉邦は陳平がどのように金を使おうと文句を言わず、
出納に関しては報告の義務なし、としたという。

それをいいことに陳平は、漢の軍中から
数名を選び出して楚軍に寝返らせて、
これを反間としたのである。もちろん、
後の厚遇を約束してのことであった。
もともと陳平は楚で項羽の配下にあった男なので、
楚軍中の事情には詳しい。

彼は楚軍を内部から切り崩すために具体的な標的となる
人物を定め、彼らに不利益な流言をばらまかせた。
そのうえで陳平は項羽に和睦を申し込んだ。
項羽はこれを受けようと考えたが、
諸将が必死になってこれを止めにかかった結果、
この時点での和睦は流れた。

しかし、これは陳平の予測の範囲内であった。
陳平は和睦がならないと知ると、
ここで反間に命じ、噂が項羽その人の耳に
入るよう工作をした。

その噂は次のようなものである。
「将軍鍾離眛は功が多く、項王に
珍重されてはいるが、それでも未だ王侯とはなれず、
自らの土地も持たない。このため彼は
漢に寝返ろうとしている」
この種の噂は鍾離眛のみならず、
范増を始めとする他の楚将に対しても
同様に流された。

項羽が部下に恩賞を施すにあたって
吝嗇だとされている噂を利用したのである。
感情が多く、根が単純な項羽は、これで部下を
信用しなくなった。
鍾離眛は前線から戻され、後方に待機を命じられた。
范増はしきりに総攻撃を主張するが、
項羽は范増に裏の意図があることを疑い、
いうことを素直に聞かなかった。

ついに項羽は使者を漢に送り、
独断で和睦を前提とした交渉を行うに至る。
漢軍の陣中に至った項羽の使者たちの目にしたものは、
歓待の渦であった。
太牢(たいろう)といわれる豪勢な料理、
それを目前で調理するための巨大なまな板や
鼎(かなえ)さらには調理人までその場に待機していた。
使者たちが食いたいものをその場で調理して
提供しようということらしい。

「このような厚いおもてなしを……
項王がこれを知ったら、きっと漢王を
厚遇いたしましょう」使者の一人が
そう口にした途端、劉邦、陳平を始めとする
漢軍の誰もが白けた表情を見せた。

「項王……? 我々はみな、てっきり君たちのことを
亜父范増の使者かと思っていたのだが……
勘違いのようでしたな。なるほど、
項王の使者か……いや、失礼申した」

あっという間に豪勢な食事の類いはすべて片付けられ、
かわりに粗末なものが提供された。
使者たちが驚愕したことは言うまでもない。
これは……范増が漢に通じているということだ!
使者たちはそう確信し、
帰ってその旨をつぶさに項羽に報告した。
これによって項羽は范増の裏切りを信じたのである。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る



歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



美空ひばりすきま風



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



美空ひばり 「ひばりの佐渡情話」



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる







P R
カビの生えないお風呂

お風呂物語

furo