流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想……

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
国士無双」「背水の陣」
「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。 
 

漢の韓信-61ー京・索の会戦

韓信と鍾離眛は幼少時からの付き合いであり、
お互いにその存在を意識し合う間柄であった。
しかしより強くそれを意識していたのは、
鍾離眛の側であろう。
鍾離眛は何ごとにも自分より優れた才能を発揮する
韓信を超克したいと望んでいた。
一方の韓信は、鍾離眛と戦うことを望んでいなかった。
鍾離眛は二人が好敵手のように競い合うことを
欲していたのに対し、
韓信はできるだけその機会を避けようとした。
なぜなら二人が互いに戦うことで訪れる結末が、
眛の死であることが信にはわかっていたからである。
つまり、一言でいうと鍾離眛は夢想家であり、
韓信は現実主義者なのであった。

「危ないところでしたな。韓信は無事でしょうか?」
手綱を操りながら、夏侯嬰は劉邦を気遣い、
話しかけた。「わからん……。
それにしても情けないのは我が軍の脆さよ。
五十万以上もいた兵卒たちがわずか一日で
四散してしまうとは……。
一体この先どうなるのか」劉邦は悪寒を覚えた

。味方の不甲斐なさは言うに及ばず、
とにもかくにも項羽の武勇の凄まじさ……。
あの男とこの先一生涯をかけて敵対し
戦い続けなければ、ならないと思うと、
想像するだけで足が震えるのだった。
わずか三万の兵に蹴散らされたことを考えると、
とても自分などには太刀打ちできないと思える。

わしは、進むべき道を誤った。
あの項羽と争って天下を狙うなど、
我ながら高望みも甚だしい。
昔に戻って……また沛の街で酒でも飲んで
暮らしたいものだ。
そう思うと、目に涙が滲んできた。
我知らず鼻水も垂れてくる。

夏侯嬰はそれを見て、言葉を励まし、
劉邦をさとすのだった。
「この先どうするかは、張良韓信が考えてくれます。
彼らが無事だったらの話ですが。
大王は自らの身を案じ、家族の身を
案じておられればそれでよろしいでしょう。
とにかく大王の身になにかあっては、
漢は成り立たないのですから……。
そのお手伝いは不肖ながら嬰がいたします」

言いながら夏侯嬰は馬の進行方向を変え、
来た道を戻り始めた。
「どこへ行く?」驚いた劉邦は聞いたが、
夏侯嬰は当然のように、
「沛へ向かいます」とだけ答えた。
「……嬰、お前には人の心を読む能力があるのか。
わしが沛で酒を飲みたいと思ったから……」

「違います。大王はこんなときに
そのようなことをお思いだったのですか」
劉邦はしどろもどろになった。
「いや、それは……まあ、いいではないか。
それよりなんのために沛に寄るのか、
それを聞きたいのだ」夏侯嬰は馬に鞭を入れた。
劉邦の勘の鈍さに少しいらついた様子だった。

「沛にはご家族がおられましょう。
救いにいくのです!」
こうして劉邦は数騎の護衛を従え、
沛に向かうこととなった。
沛と彭城は目と鼻の先と言えるほど近い位置にあり、
この時点で沛に向かうことは
当然のことながら危険を伴う。
それでも楚軍に家族をさらわれ、
人質にとられることで、
後の行動を制約される素因をつくることは
避けなければならなかった。

しかし沛にはすでに楚の兵士があふれ、
家族を捜すどころではなかった。
時すでに遅かったのである。
劉邦らは楚兵に囲まれ、それぞれ一目散に逃げたが、
みな散り散りになってしまった。
劉邦と夏侯嬰はたった一輛の車両で逃げ続けたが、
その途中で運良く息子の劉盈(りゅうえい)
(後の恵帝)と娘の魯元(ろげん)を見つけたので
これを車に乗せた。

ところが追手がせまる中、幼く、
なにもわからない子供たちはあどけない仕草で
手遊びなどをしている。
劉邦はそれが癪に障り、
やおら子供たちの襟首をつかんで車の外に放り出した。
「な、何をなさるのです!」
夏侯嬰はあわてて車を止め、
道ばたに転がった兄妹を拾い上げて車に戻し、
再び走り出した。

しかし劉邦はその後三度に渡って兄妹を
車の外へ放り投げた。
夏侯嬰はそのつど車を停めては、
拾い上げて走り出す。
「いい加減にしろ! 停めるな、嬰。
今度停めたら斬るぞ!」
劉邦は凄んでみせたが、夏侯嬰は
意に介した様子もない。

「私を斬れば、誰が馬を走らせるのですか。
大王こそ、わけの分からないことをするのは
おやめください。
楚軍に追いつかれてしまいます」
「わけが分からんとはなんだ! 
こいつらが乗っているから、重くて馬が疲れるのだ。
そんなこともわからんのか」

「いくらなんでも幼な子を見殺しにすることは
できません。
ただの幼児ではない、公子と公女ですぞ。
大王は平気なのですか」
「おまえはこいつらとわしとどっちが
大事だと考えているのだ。
公子だろうとなんだろうと、子など失っても構わん。
わしさえ存命ならば、
また子を作ることはできるのだ! 
お前はわしの命を第一に考えろ」

「……従えません! 私の命にかえても
このまま逃げおおせてみせます。
それなら文句ないでしょう」
「お前の命など、どれほどのものかよ!」
劉邦は吐き捨てたが、
夏侯嬰を斬るわけには、いかなかった。

かくして夏侯嬰は自分が斬られない立場で
あることをいいことに、我を押し通して
兄妹をのせたまま車を走らせ、
なんとか危地を脱することに成功した。
しかし一方で沛に取り残された劉邦の父と妻の
呂氏(りょし)は楚軍に捕らえられ、
項羽の捕虜となってしまったのである。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、
狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…


『新宿情話』キム ヨンジャ&角川博

 
 
人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる








P R
カビの生えない・きれいなお風呂

furo



お風呂物語