流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。


漢の韓信-56

しかし、韓信は何もしなかったわけではない。
前途に不安を感じるのであれば、
今できる最大限の努力をしておこうと考えた彼は、
軍の中から精鋭を選び出し、
自分の直属とした。
精鋭といっても単に武芸に達している者に限らず、
職務に忠実な者、理解力に長けている者、
また足が速いことだけが自慢の者もいれば、
腕力だけが自慢の者もいた。

韓信が重視したのは、武勇に長けた、
百戦錬磨の者を選ぶことではなく、
いざという時に自分の指示を疑うことなく
実行できる者を選ぶことであった。
固定観念が少なく、
柔軟に物事を考えられる人物が最適で、
この結果選ばれた者たちは
必然的に若者が多かった。

韓信はさらに人材を得ようと
軍中を見回っていたときに、
とびきり馬の扱いに慣れた若者を目にした。
さらに馬上からの騎射がうまく、
韓信が立ち会った演習の場では、
どの位置から射ても寸分違わず
同じ的に命中させてみせた。

「実に巧みな射術だな。すばらしい。
我が配下に彼を誘いたいものだ」
韓信は思うだけでなく、
実際にその若者に誘いの言葉をかけた。
しかし、その若者はまともな返事をせず、
会話が成り立たない。
この者は唖(おし)か……?
韓信がそう思った矢先、
若者はやっと声を発した。

「私、……楼煩(ろうはん)です」
楼煩とは万里の長城の外に居住する
遊牧騎馬民族のことをさし、
いわゆる「胡」と呼ばれていた
異民族のひとつである。

もともと楼煩は中央アジアの北部を拠点として
遊牧生活を営んでいたが、
匈奴に圧迫されて次第に
東に移住するようになり、
やがて中原諸国に流入するに至った。
この時代には趙の北部に
楼煩県という行政区分もあり、
定住、漢化の始まった時期であった。

その楼煩出身の若者は、
左手に騎射に適した独特の短弓を持ち、
常に右手一本で馬を制御していた。
馬上で矢を射るときには軽く右手に
手綱を絡ませながら足だけで馬を御し、
巧みに矢をつがえて放つ。
その際に馬の足が止まることはまったくなく、
それでいて命中の精度は比類がなかった。

「楼煩の若者。名をなんという?」
その若者は軽い所作で馬から飛び降り、
韓信の前に跪いて言った。
「カムジン、です」
しかしその若者には姓がない上に、
自分の名を記す文字も知らなかった。
それでは諸事都合が悪かろうと考えた韓信は、
その若者に中国風の
「咖模津」という名を与えた。

韓信は命名するにあたって
特別な思いを込めたわけではなく、
彼を配下に置く以上は
名を記さねばならないこともあるだろうと思い、
当て字をしただけである。

読み方は「かむじん」のままであった。
ところが当のカムジンはこれに感動し、
韓信の手を取って喜びを表現したという。
その後韓信はカムジンと話を続けたが、
カムジンが必死に韓信の言葉を
理解しようと努力する姿に感じ入り、
あらためて配下に招くことを決意した。

カムジンは趙から逃れてきた
張耳の指揮下にあったが、
韓信は要請して彼を引き抜き、
以後弟のように可愛がったという。

ことが起こる前にそれを見抜く見識のことを、
先見の明という。
この時代に生きた者の中で、
韓信は間違いなく、その能力を持つ者の
ひとりであった。
しかし、彼は自身のその能力を
やや持て余していたようである。
つまり、彼には自分を取巻く状況が
悪い方向へ向かっていることが、
手にとるようにわかるのであった。
このとき彼は、いっときの勝利の
向こうにあるのが敗北であることや、
形だけの連合の行く末が新たな対立であることを
正確に予期していた。
それでいながら、彼にはそれを阻止することが
できないのであった。
いま私の前に広がる彼の思念は、
そのもどかしさを訴え続けている。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
 歌は世につれ、世は歌につれ、
  人生、絵模様、万華鏡…



【別れの夜明け】石原裕次郎八代亜紀




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる









furo
P R

きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語