流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。


漢の韓信-55

項羽が斉を相手にしている途中にも、
断片的に情報は入ってくる。その中のひとつに、
「函谷関を出て東進をはかる漢軍によって、
鄭昌率いる韓が敗れた」というものがあった。
劉邦が……まさかな。あの弱い軍が
これ以上進んでくるとは思わぬ。
漢軍がそれ以上進撃を続けるには、
いずれ自分と対峙しなければならない。
自分の前で情けなく頭を地に付けた、
あの劉邦にそれだけの度胸があるとは思わなかった。

韓が敗れたというのは意外であったが、
もし事態が憂慮すべき段階になったら、
自分が行って徹底的に叩けばいい。
そのくらいにしか考えなかった。
しかし、漢軍の行動は項羽の想像より早い。
劉邦は韓を撃ち破る漢軍の実力を示すと、
天下に檄をとばした。
その結果、いち早く魏が賛同の意を表し、
魏王豹(ぎおうひょう)が劉邦のもとへ馳せ参じた。
魏豹はかつて章邯に降伏し、
焼身自殺した魏咎の従弟である。
またこのとき漢は、張耳を追い払った陳余に対しても
協力を要請している。

陳余はこのとき、趙王に歇を戻し、
自らは代王を称している。
しかし国情を考えて領国の代へは行かず、
そのまま趙の地に留まっていた。
漢より協力を要請されたその陳余の返答は、
以下の様であった。
「そちらに逃げ込んだ張耳を、
漢が殺しましたら従いましょう」
この陳余の言を受けて、漢の意見は割れた。
いやな男だ、陳余という奴は。……
それとも人というものは権勢に目が眩むと、
過去の恩や友誼をすべて忘れることができる
生き物なのだろうか?韓信は思い、
無理に趙に協力を要請する必要はない、と主張した。
こういう人物とはともに戦えない、と
考えたのである。

しかし盧綰や周勃など漢の旧来からの将軍は、
反対の意見を主張した。
「兵は多いほどよい。なにしろ
項王を相手にするのだからな。
いくら項王が彭城に不在だからといっても
用心するに越したことはない。
また、天下を望むのであれば、
いずれ趙も味方に引き入れなければならないのだ
実質的に章邯を破り、韓を破った韓信ではあるが、
いまだその将としての実力は
未知数であることからの主張である。

漢将の多くは、韓信は勝利を得たが、
それは敵国の王が民衆から支持されていなかったからで、
韓信はそれに乗じることができたに過ぎない、と
考えていたのである。
しかしそのときの韓信にとってそのような評価はどうでもよく、
目の前の問題だけが大事であった。
彼が考えるに、取引によって生じた連合組織ほど
信用できないものはない。
数だけを揃えてみても烏合の衆では話にならず、
かえって軍全体の把握が難しくなるだけである。
「陳余のような人物は、
いざ状況が劣勢になると真っ先に自分の安泰をはかり、
踏みとどまって戦おうとはしないでしょう。
それともあなた方は、疑わしい者を味方につけるかわりに
張耳どのを殺そうと主張なさるのか」

一座は言葉を失い、しんとなった。
「せぬ」そう言ったのは漢王である。
漢王は形式張った演説など苦手な男だったが、
このときは滔々(とうとう)と自己の主張を話し始めた。
「張耳が国を追われたのは、
決して張耳自身の責によるものではない。
また、追われた張耳はあまたある国の中でわが漢を選び、
身を寄せたもうた。
罪を犯して逃亡してきたのならいざ知らず、
非のない者が災難を逃れて身を寄せてきたのである。
これを一時の連合のために殺すというのは、
義に背く行為だと言わねばならない。
ましてわしと張耳は旧知の間柄である。……
わしは若い頃、食い詰めて張耳の客として
世話になったことがあるのだ。
恩を仇で返すわけにはいかぬ」

将軍たちの間で、ではどうするのか、と論議になった。
一座の中のひとりが、「それでは大王は、
趙は当てにしない、とのお気持ちですか」と聞いた。
漢王はしかし首を横に振り、
「いいや。陳余などは、善か悪かと問われれば
悪かもしれぬ。
しかしわしはそれでも味方に引き入れるくらいの
度量は持ちたいと思っている。
この中の誰かが言ったが、
今のところ、兵は多いに越したことはない。
大将軍にも悪人を使いこなすくらいの度量を期待したい」
再び一座は、どうする、どうするの議論でざわついたが、
張良のひと言で、議は決した。

「では、こうしましょう。罪人のなかで
張耳どのによく似た者を探し、
これを斬る。陳余などは、
先ほど韓信大将軍が言った通り、
状況が悪くなればすぐ裏切るでしょう。
であれば先にこちらが騙しておいても
差し支えなかろうと存じます」
こうして漢は韓・魏・趙を味方に引き入れた。
その結果、漢の軍勢はおよそ五十六万に
ふくれあがったのである。
大軍は確かに敵を圧倒するもの……。
しかし、ひとたび乱れれば統御のしようがない。
乱れる前に決着をつけられればよいが……。
大軍誕生に浮かれる漢の上層部のなかで、
ひとり韓信は前途の多難さを予測し、
ため息をついた。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、 花に例えた旧い歌
今さら聞いても、歌っても、
何処に置いても、飾っても
歌も花も、枯れてゆく....
人生、絵模様、万華鏡...



赤坂で別れて ・ 石原裕次郎&八代亜紀





人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる








furo
P R

きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語