流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想


メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin
韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。




漢の韓信-48 章邯を討て!

軍の首脳部に激震が走った。
韓信が逃亡したから、ではない。
急を告げる使者の口上に、漢王劉邦
卒倒しそうになった。
「蕭何が逃げた、だと!」
劉邦は深く嘆き悲しんだかと思うと、
次の瞬間には怒気を発し、
そうかと思えば自嘲的に笑ったりした。
事の重大さに、情緒不安定になってしまったのである。

それを周囲の者がたしなめようとすると、
劉邦はその者たちを激しく、口汚く罵る。
「お前らのような役立たずが何人いなくなっても
いっこうに構わん。
この中に蕭何の替わりになるような奴が居るはずもない。
まったく、どいつもこいつも能無しばかりだ……
くず共め!」ついにはおいおいと泣き出した。

このようなとき頼りになる張良は間が悪く韓に戻っており、
この場には居ない。
周囲の者はおろおろするばかりで、
劉邦を落ち着かせることができず、
仕方なく彼らなりの結論を出した。
「どうしようもない……しばらく、放っておけ。
それしかなかろう」
劉邦はひとり残され、しばらく泣いたり、
喚いたりしていた。
周囲の者はそれを遠巻きに眺め、
いよいよ狂ったのではないか。と、
人ごとのように思ったのだった。
しかし、漢軍に差しせまった緊張感は、あまり見られない。

劉邦を見る士卒たちの目は、
さながら世にも奇妙な珍獣を見るかのようで、
その反応を楽しんでいるかのようでもあった。
本当に心配しているのは劉邦ただひとりで、
実は士卒たちは誰も蕭何が本当に逃げ出すなどとは
思っていなかったのである。

翌朝になると、それを象徴するかのように、
蕭何は何喰わぬ顔で戻ってきた。
「大王、お顔の色がよくありませぬな。
ゆうべはよく眠れましたか?」
漢王は憔悴しきっていて、
それが誰の声か瞬時に判別できなかった。
「あ? いや、あまり眠れんかったわい。
……誰だ? 蕭何ではないか! 
戻ってきたのか! いや、よく戻った」

劉邦は蕭何の肩を抱き、喜び叫んだが、
そのいっぽう、「お前、わしを置いて逃げようとしたな! 
よくもおめおめと戻ってきたものよ。
断罪する! 死刑だ!」と怒ったりした。
劉邦の情緒不安定は、
蕭何が戻ってきても完全に治ったようではなかった。
蕭何はそれを他の士卒のように
放っておくわけにもいかず、
適当になだめながら真相を語り始めた。

「大王、私は逃げたわけではありません。
逃げた者を追った、それだけのことです」
劉邦は、そうか、と言うと、
ようやく気分が落ち着いてきたようであった。
「では、誰を追ったのか?」
韓信です」劉邦はそれを聞き、いよいよ怪しんだ。
「蕭何、お前、わしに嘘をついているな。
今まで諸将が何人も逃亡しているのに、
お前は追わなかった。それなのに、
その韓信とかいう、わしが覚えてもいないような者を
追うはずがない。

お前はなにかわしに隠し事があって、
そんなでたらめを言っておるのだ」
蕭何は劉邦の態度にあきれた。
何度か名前を出して推挙しているのに、
劉邦韓信のことを覚えてさえもいない。
気力が薄れ、心ここにあらず、ということだったのだろう。

それはそれで理解できることではあった。
「大王……。諸将など何人逃亡しても、
替わりの者はいくらでも養成することができます。
しかし韓信などは……
国士無双(こくしむそう)
(天下に二人といない国士)の存在です。
替わりはいません。

王がこのまま漢中の王たるに留まるのであれば、
韓信のごとき士は必要ないでしょう。
ですが王が天下を望まれるなら、彼は絶対必要です。
韓信という男の必要性は、
王が天下を望むか、望まざるか、
それにかかっているのです」
劉邦はまだ迷っていた。ろくに名前も覚えてもいない男に
大事を任せてよいものかどうか、
日頃無責任に部下に任せきりのこの男でも
心配したのである。

「用いれば韓信は留まります。
しかし用いなければ、彼はまた逃げ出して、
楚や斉のものになってしまうに違いありません。
大王には、それでもよろしいか」
畳み掛けるように言葉を継ぐ蕭何に、
ついに劉邦は折れた。
「……お前がそこまで見込んだ人物であれば、
お前に免じて韓信を将軍にしてやろう」

ところが蕭何は首を縦に振らなかった。
「不十分です。それでは韓信は留まりますまい」
驚いた漢王は、やけくそになって言った。
「では、大将にしよう。大将軍だ!」
蕭何はこれに満足し、言った。
「結構です」「そうと決まれば、
さっそく任命しよう。

韓信をこれに召せ。印綬を用意せよ。それと……」
漢王は久しぶりに王らしい振る舞いを見せたが、
蕭何はこれを遮った。
「大王。それではいけません。
大王はもともと傲慢で礼もわきまえませぬ……。
私どもにはそれでも構いませんが、
韓信は頭の良い男でありますゆえ、
自尊心も高いのです。
王がそのように子供に物をくれてやるような
態度で臨まれるのであれば、
韓信は失望してやはり去ってしまいましょう」

「なにを言うか。名より実であろう。
儀礼などくそくらえ。
どのみち大将を任じることには変わりないのだ」
「さもありましょうが、韓信は野蛮を嫌う傾向があります。
どうか文化的に、吉日を選んで
王ご自身が斎戒なさって、壇上を設け、
礼儀を尽くしたものとしてください。
そうした方がのちのち漢軍の
評判のためにもよろしいでしょう」

「くだらん……しかし、そういうものか」
劉邦は蕭何の評の通り、
傲慢で礼もわきまえない男であるが、頑固ではない。
このときも蕭何の意見をあっさりと受け入れ、
斎戒し、充分に儀礼を尽くして任命の日を選んだ。

やがて南鄭に着いた漢軍の最初の儀礼が、
大将の任命式だった。
諸将はみなそれぞれ自分が任命されるものと期待し、
うきうきとした空気が全軍に流れている。
しかし実際に任命式が執り行われると、
拝命したのは韓信という名も知られていない、
顎髭もたくわえていないような若者であったので、
軍中の誰もが驚愕したのだった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、 花に例えた旧い歌
今さら聞いても、歌っても、
何処に置いても、飾っても
歌も花も、枯れてゆく....
人生、絵模様、万華鏡...




おまえに惚れた- 美空ひばり




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる









furo
P R

きれいなお風呂・宣言 


お風呂物語