流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…

 


国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」
そんな彼を描いた小説。  

 
漢の韓信-45

韓信にとって夏侯嬰などは、話の相手にもならない。
頭の作りが違うようであった。
しかし内心でそう思っていても、態度には示さない韓信である。
生涯御者として馬と劉邦の世話をして過ごしてきた夏侯嬰に対し、
韓信は粘り強く、相手が理解できるまで自分の考えを聞かせてやった。

「項王が敵を破る度に敵地の住民まで巻き添えにしたり、
今回のように徹底的に宮殿を焼き尽くしたりするのには、
わけがあります……。項王は、基本的に他者を
信頼していないばかりか、
人同士はわかり合えないものと考えており、
自分の思いが他者に通じないことを嘆いている節があります。
どれだけ高尚な意識をもって敵地の住民を鎮撫しようとしても、
それが通じることはない。
なぜかと言うと、彼らにとって項王は敵だからです。

私が思うに、項王には今の行動に至る
原体験があるに違いないのです。
それがどういうものかは存じませんが、
それ以来項王は敵地を鎮撫することを無駄な努力と考え、
徹底的に弾圧するようになったと思われます。
我々は、項王と反対に民心を安んじ、
支持を得ることに重きを置かねばなりません……」

夏侯嬰には、韓信の言うことの半分も理解できなかったが、
それでも自分と頭の作りが違うことだけは理解できた。
面構えばかりではなく、なかなか頭のほうも切れる奴だ。
夏侯嬰はそう感じ、漢王劉邦
韓信を取り立ててやるよう奏上した。推挙したのである。

この結果、韓信
治粟都慰(ちぞくとい)という
軍糧や財貨を管理する官に任じられた。
ああ、先生、やはり駄目だ! 
世の中には私という者を正しく見極めてくれる者が
いないようです。この私が治粟都慰などと……。
料簡違いも甚だしいとは思いませんか。
ただでさえ惜しい命を捨てる覚悟をしてまで
乱世に身を投げ出したのに、
財物の管理をせよ、などとは……。
食料や金の管理がしたいのなら
最初から商人になっていますし、
兵の中にはその能力に長けた者もいるでしょう。
なぜ私が……。

韓信の不満は爆発寸前のところまで来ていた。
軍糧や財貨の管理の仕事は、いわゆる後方職務である。
劉邦の軍のなかで、この職の最高責任者に当たる人物は、
蕭何であった。漢軍の最重要人物のひとりである。
劉邦は平民として生まれ、若いころは家業の手伝いもせず、
沛の街をぶらついて歩く単なるごろつきであったが、
劉邦の王としての性質をいち早く見出し、
ここまでもり立ててきたのが、蕭何その人であった。

蕭何はもともと沛の県吏であり、
謹直な人柄と職務に忠実なことで、人々の信頼を得ていた。
あるときには県令から中央の役人に
推薦されたこともあるくらいである。
また、沛の街が戦乱に巻き込まれようとしたとき、
民衆の中には劉邦ではなく蕭何を首領として
戴こうと主張した者もあった。
しかし蕭何はそのいずれも固辞し、
劉邦を影で支え続けた。
咸陽が落城した際、他の者が宮中の財宝に目を奪われる中、
ひとり法典や史書を確保しに走ったという事実は、
彼の謹直さを物語ると同時に、
将来の漢の世を見据えた行動であった、といえるだろう。

しかし、蕭何は文官ではないか。
私は武官として身をたてたいのだ。
韓信の辛気くさい表情が、さらに鬱屈したものに変わっていった。
しかし、それを気に留めたものは少ない。
士気の低下した軍組織の中では、
誰もが自分自身のことしか目に入らず、
他人に気を配る余裕を持つものなどほとんどいなかった。
だが万事に気配りの利く蕭何だけは違った。
蕭何は顔色まで青ざめて見える韓信の姿を目に留めて、
ひどく気にかけるようになった。

見るからに悩める青年がいる。あれはなんという者か。
心配するのと同時に興味を覚えた蕭何は、
ある夜韓信を呼び寄せ、話し相手をさせた。
「君の顔色を見るに、ずいぶんと悩んでいる相が出ている。
その様子では、桟道の上から身を投げかねないぞ……。
思っていることがあるのなら、今のうちに話してみるがいい。
わしが君の力になれるかどうかはわからぬが、
人というものは思いを言葉にするだけでも
胸のつかえがとれるようにできているものだ。
どれ、聞いてやろう。

なにが悩みだ?」このときの韓信の言葉は、短い。
馴れない者に対しては、いつもそうである。
「自らの不遇についてです」
蕭何は笑ったりせず、話に付き合う。
「不遇とは……? もっと具体的に話したまえ」

「私は楚から漢に鞍替えした男です。
もともと楚軍では郎中に過ぎませんでした。
漢軍に身を置いてからは連敖、今に至っては治粟都尉。
どれも私にとって適職ではありません。
鞍替えした意味がない」
「君がどんな男かわからないのだから、仕方ないだろう。
人はみな経験を積んで一人前の男になっていくものだ。
その過程で自分自身を知り、
どのような職務が自分に合っているのか見つけるものだろう。
君はまだ若いわけだし、これからの働き次第では
出世も夢ではない」「それは、わかっています。
しかし悠長にそのような機会を待っているわけにはいきません。
天下の状況は刻々と変化し、
対応を誤れば、置き去りにされます。
座して機会を待つわけにはまいりません
。私は早く天下のために働きたいのです」
韓信は、言いながら、かつて栽荘先生に
叱責されたことを思い出した。
「座して機会を待つばかりでは、何も変えることはできない」
それが栽荘先生の言葉だったが、
いざ自分が待つことをやめて積極的になろうと思っても、
結局は何も変わっていない、というのが現状である。
そして蕭何が受けた韓信の印象は、
生き急いでいる若者、といったものだった。
しかし言っていることは正しい。
漢軍は天下の中心から外れ始めており、
このままいけば漢王は奥地に閉じ込められ、
兵たちは離散し、天下は項羽のもとに定まる。
その点は韓信の言う通りだった。
「治粟都尉として働くことも、
決して天下のためではないとは言えないと思うが……。
よろしい。君にひとつ機会を与えよう。
天下のために先頭にたって働くような男であれば、
治粟都尉の仕事も楽にこなせるはずだ。
その結果をもってわしが君を漢王に推挙する
判断基準とする。よいか」 
韓信は仕方ないとでも言いたそうな素振りを見せて、
渋々頷いた。
「そう面倒くさそうな顔をするな。
君がどんな男かわしは知らぬ。
知る機会を与えてくれてもよいではないか」
「……何をすれば、よいのでしょうか」
「我が軍は今、軍糧に不安がある。
というのも逃亡する兵士が多く、
その者どもがどさくさにまぎれて
軍糧を持ち去っているらしいのだ。
方法は問わぬ。
南鄭に到着するまでの間の軍糧を確保し、
守り通すのだ。
それができたら、漢王に推挙しよう」
「……はぁ、わかりました」
韓信の返事は気のないものだった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、 花に例えた旧い歌
今さら聞いても、歌っても、
何処に置いても、飾っても
歌も花も、枯れてゆく....
人生、絵模様、万華鏡...


黒あげは/秋岡秀治




人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる









furo
P R

きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語