流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。 

 

 
韓信-41
態度を和らげた項羽の命により、
酒宴が催され、各人はおのおの与えられた席に座った。
上座は項羽と、項伯である。
次座は范増、三座に劉邦、末座に張良が座り、
酒や料理が供された。
項羽は物も言わず、喰い始める。
いっぽう劉邦は食事が喉に通るはずもなく、
儀礼上箸を取り上げてはみたものの、
もしや毒でも混入しているのではないかと思い、
気が気ではない。
張良に至っては末座で畏まっているばかりで、
食べようともしなかった。
自然、話題のない酒宴は盛り上がらず、
項羽がただただ酒を飲み、
肉を喰らう音ばかりが場に響く。

おろかな男よ。狡猾な劉邦項羽の性格を知って、
弱点を突いたのだ。
項羽は無関心な風を気取り、
喰ってばかりいるが……情にもろい男よ。
敵対する相手には容赦ないが、
自分にすがる相手には手を出せない。
まったく始末に負えん。

范増は無駄だとは思いつつ、
腰に下げてある玉の飾りを振って音を出し、
項羽の注意を誘った。
今がそのときだ、殺せ、というのである。
しかしもはやその気のない項羽は、
案の定聞こえぬ振りをして喰ってばかりいる。
仕方なく范増は座を立って、
幕の外で待機していた項羽の従弟の
項荘を呼びつけた。

「項荘、そこに居たか……耳を貸せ」
幕の外に現れた范増と項荘の姿を認め、
韓信はわけもなく緊張を感じた。
む……范増老人。なにか企んでいるな……。
この老人のことを失念しているとは、
私もうっかりしていたものだ。
しかし、二人が話している内容は、
韓信には聞こえない。
韓信にできることは、なにもなかった。

「できません。……とても、そんな……」
項荘は消え入りそうな声で范増に訴えた。
しかし范増は目を怒らせ、「やるのだ! 
やらないというのならお前の一族をみな虜にしてやる。
簡単なことだ。座を盛り上げましょうとかなんとか言って、
剣を持ってひらひらと舞えばいい。
その隙に劉邦を刺すのはわけもないことだろう」と
項荘を恐喝した。

「よしんばそれが成功したとして、
将軍はそれを了承しているのですか。
将軍が沛公を許すと言っているのに、
私が刺し殺すなど……不義ではありませんか」
「確かに将軍は知らん。だが心配するな。
従弟のお前がやることなら将軍はとやかく言わない。
もし万が一のことがあれば、わしが弁解してやる」

項荘はまだふんぎりがつかない。
「しかし、なぜそこまでして……」
「将軍は情に流されやすいお方だ。
劉邦は今後のために除かねばならぬことがわかっていても、
その場の感情で決断を鈍らせておられる。
楚の天下のためには将軍が誤った判断をしたら
臣下がそれを正さねばならぬ。
そして今がまさにそのときなのだ。
決断しろ、荘!」項荘が頷くのを認めると、
范増は幕中に戻っていった。

やがて幕中に入った項荘は、
ひとしきり項羽と劉邦の長寿を祝う言葉を述べ終わると、
「陣中のこととてなんの座興もないのは寂しいこと。
ここは私がひとさし剣舞をご覧にいれて
宴の余興といたしましょう」と言って、
腰から剣を抜いた。

まずい!末座の張良の目が光った。
劉邦もそう感じ、酒器を持った手が震え、
酒がこぼれた。
剣はゆっくりと宙を舞い、空を斬っていく。
しなやかな項荘の手がそれを追い、
次いで足が流れるように運ばれていく。
優雅な身のこなし。緩やかな律動で舞う項荘の姿は、
時の流れを忘れさせるかのようであった。

ひゅぅ! 突如剣が風を切る音が劉邦の耳元に届いた。
驚いた劉邦が顔を上げると、
項荘の目が鋭く自分を見据えている。
殺される! そう感じた劉邦は恐怖のあまり
尻の穴が緩み、座った状態であるにもかかわらず、
よろめいた。
手をつきながら体を支えるのがやっとである。

「相手もなくひとりで舞う剣舞などつまらぬもの。
私が相手をしよう」そのとき、そう言いつつ
剣を抜いて立ち上がったのが項伯だった。
項伯は項荘の調子に合わせて舞い始め、
項荘がつつ、と劉邦に近寄る仕草を見せると、
項伯が舞いながら身を呈して劉邦をおおいかばった。
それが幾度となく、繰り返される。
この調子では沛公が死ぬまで剣舞が続く。
張良はそう思い、幕の外に出て軍門まで走った。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、 花に例えた古い歌
今さら聞いても、歌っても、何処に置いても、飾っても
花も歌も、枯れてゆく....人生、絵模様、万華鏡...



岡千秋 . 露地あかり



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる









furo
P R

きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語