流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

kensin 韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。 

 

韓信-39
韓信に退出を命じて、ものの数刻も経たないうちに
項羽のもとへ次なる面会人が現れた。
項羽の叔父にあたる項伯(こうは)という男である。
項羽の叔父ということは項燕の息子にあたり、
これは同時に項梁の兄弟であることを意味するが、
この二人が本当の意味での兄弟のように
生活をともにした事実はない。
彼らはともに数多い項燕の妾の腹から生まれた子供であり、
彼ら自身も自分に兄弟が何人いるのかを
正確には知らなかった。

確かなことと言えば、項伯は項燕の息子たちの中では
末弟であったということだけである。
その項伯が項羽に面会していちばんに
なにを述べたかと言えば、
「先ほど、沛公にお会いしてきた」と、いうことであった。
項羽はこれには驚き、
劉邦と叔父上は個人的な関係がおありでしたか」と、
問いたださずにはいられなかった。
「直接にはない。いや、なかった。
実を言うとわしは沛公に仕えている
張良と以前より交流があってな。
今日はそのつながりで沛公にお目どおりかなった次第だ」

項羽は不信感を抱かざるを得ない。
明日叩き潰す相手に会いにいくとはどういう魂胆であろう。
相手が叔父とはいえ、話の内容次第では
許すべきことではなかった。
「叔父上と張良はどんな関係ですか」
項伯は真剣なまなざしで答えた。
「ひと言で申せば、義の関係だ」
「……詳しくお聞かせ願いたい」

項伯は以前、人を殺めたことがある。
それがもとで秦の官憲に追われ、
逃亡生活を余儀なくされたが、そのとき彼を匿ったのが
張良その人であった、という。
張良は、そのとき下邳(かひ)(地名)に潜伏していた」
「潜伏とは……? 張良はなにかしでかしたのですか」
始皇帝が巡幸で博狼沙(はくろうさ)にさしかかった際に、
襲撃を加えたのだ。

力士を雇い、二人で巨大な鉄槌を
轀輬車めがけて放ったそうだ。
しかし、狙いが外れて鉄槌は隣の車両に当たった。
それ以来逃亡を続け、下邳に潜伏していたとのことだ」
張良は韓の遺臣であり、その家は
代々宰相を務める名門であった。
彼は弟が病死しても「費えを惜しむ」として
葬式も出さず、始皇帝を狙う刺客探しのための
資金を蓄えたという。
その資金を投じて力士を雇ったが、
計画は失敗に終わったのだった。

張良のことは、一度見たことがあります。
楚に懐王を擁立した際に、
韓も復興するべきだと主張して、
それがかなえられたのでしたな。
あの時の張良の印象は、線が細く色白で、
まるで婦女子のような感じでした」項伯は頷いた。
「外見は確かにそうだ。
しかし彼の情熱は誰よりも激しい。
……わしを保護してくれたのも男伊達の精神からだ。
侠の精神だ」侠とは、こんにちでいう単に
「やくざ」という意味合いとは違い、
義のために命を惜しまない精神のことで、
一度受けた恩義に対しては、
たとえ死んでも義理を返す、という行動原理のことである。
彼らにとっては恩義に報いることが自らの命よりも
重要なことであったので、
当然法律などよりも優先されることであった。

また、恩義を施す側は礼などを
求めたりしてはいけない。
なにも言わずに助けることで、
自分が困窮したときには相手が助けてくれるのである。
いわば侠とは殺伐とした古代社会に生きる
個人同士の相互扶助の契約のようなものだった。
「わしは張良から恩義を受けた。
受けた恩義は返さねばならぬ。
そこでわしは張良のもとへ行って、
一緒に逃げようと誘ったのだ」
項羽にも義や侠の精神はわかる。
したがって項伯の行為を咎めたりはしなかった。
項伯はさらに続ける。

「しかし張良は、沛公を見捨てる気にはならない、と
それを断った。そこでわしは沛公と会い、
張良の媒酌で義兄弟の契りを……」
項羽はびっくりした。
「なんと申した、叔父上?」
「義兄弟の契りだ。わしも最初は戸惑ったが、
張良を救うにはこれしかない。
羽よ、明日の朝早く沛公と会見の場を設けるのだ。
沛公は釈明したいと望んでいる」
項羽は迷い、部屋中を歩いて回ったが、
やがて意を決したように立ち止まると
項伯に対して宣言するかのように、声を張り上げた。
「いいでしょう。しかし、会うだけです。
許すとは限りません。
劉邦の態度次第では斬り捨てることも
叔父上は覚悟してください。
それでいいでしょう」項伯は静かに語った。

「もとより沛公が関中を破らなければ、
羽よ、おまえは関内に入ることが
できなかったかもしれない。
沛公は関中入りして以来、
少しも財物を私にしたことはなく、
吏民を帳簿に載せ、庫を封鎖しておられる。
また、子嬰を宰相にしたというのは虚言であり、
沛公は子嬰を捕らえ、おまえの沙汰を
待っているというのが事実だ。
これは大功と言っていい。
大功をたてた者を討つのは不義だ。
厚遇したほうがいい」

「考えておきましょう」
退出した項伯は疲れを感じ、自嘲気味に考えた。
侠とはいっても、わしにできることはここまでのようだ。
しかし、もういい。言うだけのことは言った。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、 花に例えた古い歌
今さら聞いても、歌っても、何処に置いても、飾っても
花も歌も、枯れてゆく....人生、絵模様、万華鏡...



夢追い酒- 美空ひばり



人の為(ため)と書いて
いつわり(偽)と読むんだねぇ


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる









furo
P R

きれいなお風呂・宣言 

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