流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

韓信
紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。


 

韓信-21・無聊
陳勝の死を韓信は知っていたわけではなかった。
そもそも韓信は、きわめて局地的ながらも、
陳勝軍の一派を撃破してしまっているので、
陳勝のもとに馳せ参じるわけにはいかなかった。
また胡散(うさん)臭い自称王たちがはびこる魏や趙、
あるいは斉などのために戦う義理もなく、
自然、選ばざるを得なかったのが、項梁の軍である。

このとき項梁軍は兵数七、八万の勢力となり、
陣容からいっても陳勝なき後、
楚の名を継ぐにふさわしいものであった。
決して本意ではなかったが、容儀を正し、
それでいて卑屈になり過ぎないよう、
威風堂々とした態度で項梁のもとへ
馳せ参じた韓信であったが、
彼のために用意されたのは、
一兵卒の位でしかなかった。
兵も引き連れていないのでは、仕方のないことか。
納得はしても、残念な気持ちは抑えられない。

兵とは、戦乱のために存在するものだ。
私は、戦乱を終わらせるために身を投じたのだが……
兵卒では戦乱に決着をつけることはできない。
誰か、早く私の本質を見抜け。
自分の考え方が途方もなく常識を外れていることはわかっている。
誰が自分をひと目見ただけでその才能を
見出すことができよう。
韓信にできることは、せいぜい戦場でできるだけ
多くの敵兵を撃ち殺すことしかないように思われた。
しかし、それさえも叶わなかった。

韓信が項梁軍に身を投じて最初に課せられた任務は、
秦嘉(しんか)という将軍に擁立され、
陳勝の跡をついで張楚王となった景駒
(けいく)を討つことだった。
秦を討つのではないのか。相手は楚人同士、
友軍ではないか。韓信は思ったものの、
彼にできることは、何もなかった。
結局韓信は一兵卒として戦場へ赴き、
一概に敵兵とはいえない敵を何人か撃ち殺した。

この時の韓信の働きぶりは、良いとも悪いともいえない。
執拗に抵抗する敵をその長剣で
斬り殺したと思えば、形勢不利と見て逃げ出した者は
追いかけもしなかった。
懸命にやっていると見せかけ、手を抜けるところは抜いた、
というところだろう。しかし、
戦場という死地のなかで、自然にそんな
芸当ができるということこそが、
韓信という男の凄みであっただろう。
凡人であれば、自分が生き残るために
必死にならざるを得ない。

結局韓信が本気を出すこともなく、戦いは終結した。
結果は圧倒的な項梁軍の勝利である。
「陳王(陳勝のこと)は敗戦し、
生死のほどもわからないが、
これをいいことに秦嘉などが景駒を
王としてたてるなどは大逆無道というしかない」
張楚を討つにあたって項梁が残した言葉である。
詭弁だ。と韓信は思った。
もし陳勝の死が明らかであったとしても、
項梁は景駒が王を称するのを許さなかっただろう。

景駒の兵をあわせ、自分が楚の頭領となる
都合の良い理由付けに他ならない。
韓信は着任早々、上官に不信感を抱いた。
韓信が次に命じられたのは、薛(せつ)へ向けての
遠征軍に加わることであった。
その目的は、敗軍の将の誅罰であった。
また、味方を討つのか。いったい何なんだ?
この時の敗軍の将は、名を朱雞石(しゅけいせき)といい、
章邯が栗(りつ)に現れたことで、
項梁の命にしたがってこれと戦ったが、敗れたのだという。
同僚の将、余樊君(よはんくん)は戦死していた。
敗れただけでも罪なのに、
同僚が戦死したなかで逃げ延びて生き残ったことは充分に
誅罰の対象となるのだった。

章邯の噂は韓信の耳にも入ってきている。
章邯は当代随一の将軍だと聞く。
私の見る限り、とても項梁などが敵う相手ではない。
まして部下の朱雞石に敵うはずがあろうか。
そもそもそんな相手には全軍で当たるべきなのに、
兵力を細切れにして当たらせたのは、
項梁の指揮のまずさだろう。
このとき韓信は罪を得て死ぬべきなのは
項梁だ、とまで思った。
しかし、思いと行動は一致せず、
実際に行ったのは味方の兵を殺して回ることであった。
韓信は自分が何をしているのか、よくわからなくなった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


歌は心の走馬灯、
花に例えた古い歌
 今さら聞いても、歌っても、 
 何処に置いても、飾っても
  花も歌も、枯れてゆく....
  人生、絵模様、万華鏡...



雪子のとまり木あなたです 小林旭



誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
今、微笑む花も、明日には枯れる









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お風呂物語