流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

歴史・履歴への許可証

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歴史・履歴への許可証


昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー
 
 
日本民話 

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きっちょむさん(漢字では吉四六)は、
大分県大野郡野津町に実在した人物で、
酒造業をいとなんでいた
初代広田吉右衛門であるとされています。

むかしむかし、吉四六さんと言う、
とてもとんちの出来る人がいました。
ある日の事、お寺参りに来た二人の男が、
釣り鐘の下で大声で言い合いをしていました。


中ぶらりんの鐘

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「おれはこの寺の鐘を、むかしから見て知っとるが、
ぶらりと下がっとる。間違いはねえ!」
「いや違う。この鐘は、下がってぶらりとしとるんじゃ!」
「いや、ぶらりと下がっとる!」
「いや違う。下がってぶらりじゃ!」
どっちも負けずに言い合って、一歩もゆずりません。
そこで二人は一両のお金をかけて、
通りかかった人にどっちが正しいかを
判断してもらおうという事にしました。

さあ、そこへちょうどやって来たのが、吉四六さんです。
「さあ、吉四六さん。どっちが正しいか、決めてくれ」
二人の言い分を聞くと、吉四六さんは、
「まずは、一両ずつ預かりましょう」と、言って
二人からお金を受け取ると、吉四六さんはわざと難しい顔で、
「うーん。ぶらりと下がると、
下がってぶらりか。・・・はて、どっちかのう?」と、
言いながら、釣り鐘の回りを、ぐるぐると見て回りました。

吉四六さん、早く決めてくれ」
二人が詰め寄ると、吉四六さんは
まじめな顔をして言いました。
「そうだ! この鐘は、中ぶらりんじゃ。
『ぶらりと下がる』でも『下がってぶらり』でもなく、
『中ぶらりん』じゃ。
だから、どっちが勝ちでもない。
・・・しかし、お金の中ぶらりんは困るだろうから、
これはおらがもらっておこう。
 では、さいなら」「・・・・・・」
あっけにとられている二人を残して、
吉四六さんは二両のお金をふところにしまうと、
さっさと帰ってしまいました。

おしまい


天の羽衣

 
カモ汁

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ある時、庄屋(しょうや)さんが吉四六さんのところへ
使いを寄こしました。
「カモをたくさん取ったので、今夜カモ汁を
ごちそうするから来る様に」
(ほう。あのけちん坊の庄屋さんがカモ汁をごちそうするなんて、
珍しい事もあるものだ。
よほど、たくさんのカモを取ったに違いない。
それともまた、骨董(こっとう)の自慢かな?
 
吉四六さんは思いきり食べてやろうと思って、
昼ご飯も夕ご飯も食べないで庄屋さんのところへ出かけました。
「おう、よく来てくれたな」
庄屋さんは吉四六さんを部屋にあげると、
カモを取った時の自慢話(じまんばなし)をうんと長くしてから
カモ汁を出しました。
(やれやれ、やっと食べられる。・・・おや)
ところがおわんのふたを取ってみると、
中に入っているのはダイコンばかりで、
カモの肉は小さな一切れが見つかっただけです。

「どうだね、カモ汁の味は。よかったら、

どんどんおかわりしてくれ」
吉四六さんがおかわりをしても、やっぱりダイコンばっかりです。
(ふん、何がカモ汁だ。これじゃダイコン汁と同じじゃないか)
 吉四六さんは腹を立てましたが、そこは我慢して、
「とてもおいしいカモ汁でした。おかげさまで、
お腹がいっぱいになりました」と、お礼を言って帰りました。
それを見て庄屋さんは、腹をかかえて笑いました。
「さすがの吉四六さんも、とんだカモ汁をくわされたもんだ」

それから二、三日たったある日、吉四六さんがあわてて
庄屋さんの家へ駆け込んで来ました。
「庄屋さん、早く来て下さい! おらの畑に今、
カモがどっさりとまっています」
「よし、すぐ行く!」
庄屋さんは鉄砲を肩にかけ、吉四六さんのあとから

走っていきました。

でも畑には、カモなんか一羽もいません。
「カモなんか、どこにもいないじゃないか。
わしをだますと承知(しょうち)しないぞ」
庄屋さんはすっかり腹を立て、吉四六さんに鉄砲を向けました。
でも、吉四六さんはビクともしません。
「おや? あんなにたくさんいるのが、見えませんか?」
言われて吉四六さんの指差す方を見ると、
一本の木にダイコンが何本もぶらさげてあります。
「馬鹿者! あれはダイコンじゃないか!」
「とんでもない。あれはこの前、庄屋さんの家で
ごちそうになったカモですよ」
「むっ、むむ・・・」
さすがの庄屋さんも、これには

言い返す言葉がありませんでした。

おしまい


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから。




時は絶えず流れ、
 今、微笑む花も、明日には枯れる






P R
きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語