流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!

信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント

明日という日はミステリー、

アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.


Author:紀之沢直

紀元前二〇〇年代の中国大陸。
衰退した秦の末期という動乱の時代に
生を受けた韓信は、成長し、
やがて漢の大将軍となる。
そこから始まる彼の活躍…
国士無双」「背水の陣」「四面楚歌」。
そんな彼を描いた小説。 


 
楚の滅亡ー5
しかし、秦の国王の嬰政(えいせい)は
他国を征服すると、その国の富裕な者を
首都咸陽かんように根こそぎ連れて行ったので、
これを受けて地方は貧しい者ばかりになった。
韓信の父が小作する畑の地主は相応の金持ちだったので、
やはり咸陽に連行された。
地主は連行される前に畑を手放さざるを得なかったのだが、
当然ながら彼は韓信の父には土地を譲らず、
自分の親戚にこれを与えた。
したがって韓信の父はまたその親戚に雇われ、
小作を続けるしかなかった。

そんな折り、隣人の楊という男が人夫として
国から徴発された。いわゆる徭役である。
秦王政はひとつの国を滅ぼすたびに、
その国の宮殿と同じ宮殿を咸陽に作ったため
(六国宮殿と呼ばれる)、おびただしい数の人夫が
咸陽に駆り出された。
秦王政が大陸の統一を果たした後、
六国宮殿の数は145を超え、
そのひとつひとつに美女がおさめられた。
その総数は一万人以上だといわれている。

楊が咸陽に呼ばれたのも、この六国宮殿の
建設のためだったが、あろうことか
彼はこの話を断ってしまった。
老母の世話をしたいというのが表向きの理由であったが、
実情は父親が秦との戦いで戦死していることを
恨んでいたところに原因があるらしい。
しかし、たとえそのような理由があろうとも
通じるはずもなく、
秦の役人は有無を言わさず楊を獄に入れてしまった。
噂を聞いた韓信の父は、役所へ出かけ、
楊の弁護をした。
弁護といっても現代のように裁判の場があるわけではなく、
役所の建物にむかい大声で「楊を助けてやってください」と
喚くだけである。
最初のうち、役人たちは聞こえない振りをしていたが、
四日も五日もそれが続いて、
さすがにうるさく感じたのだろう、
喚く韓信の父のことを建物の中に引き入れた。
韓信の父はようやく話を聞いてもらえると思い、
喜々として役所の中に入ったが、
二度と戻ることはできなかった。

牢獄で再会した彼と楊は、囚人として咸陽に連行され、
そこからさらに北方の名も知れぬ土地で
匈奴(きょうど)の侵入を防ぐための
長城を建設する作業に徴発された。
韓信の父は、隣人の楊とともに、そこで死んだ。

韓信の母はもともと寡黙な女性であったが、
たまに誰に言うでもなく、不満をこぼした。
「烈士を気取って、寿命を縮めるようなことをしても、
 なにもならない」
韓信はその言葉を何度か耳にしたことがあったが、
その当時幼かったこともあり、
誰のことを言っているのかよくわからなかった。
しかし、思い返してみると、それが
自分の父のことを言っていたことがわかる。
韓信は、父のことを義の人だと思っていたし、
母親も彼に父のことを話して聞かせるたびに、そう説明した。
自らの命よりも友誼を重んじ、
家族を顧みることなく死んだ人だったと話して聞かされたが、
やはり思い返してみると、
「家族を顧みることがなかった」という部分に
多少恨みがましい言い回しがあったようにも思えた。
事実、残された妻は韓信を養うために働きに出ねばならず、
夫の仕事をそのまま引継いで畑仕事をしたりした。
彼女は決して体力がある方ではなかったが、
母親らしく息子を守ろうと懸命に働いたものだった。

そんな状態が五年も続いたころ、
栽荘先生は韓信を相手に彼の母を評して言ったことがあった。
「信よ、おまえの母親はよく働いているが、
わしは心配でならない。
生前おまえの父は妻を人前に出さないよう、気をつけていた。
大事にしていたと言った方がいいかな……。
しかし、夫に先立たれては、外に出て働きに出るのも
仕方のないことだろうて」これを聞いた韓信は、
例によって幼かったのでよく意味がわからなかった。
栽荘先生が自分に対して話しているのかさえもよくわからず、
きっと独り言を言っているのだろうと思い、
そのうちに忘れてしまった。


つづく

Author :紀之沢直
http://kinozawanaosi.com.

愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る

誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



歌は心の走馬灯、
花に例えた古い歌
 今さら聞いても、歌っても、 
 何処に置いても、飾っても 、
  花も歌も、枯れてゆく....
  人生、絵模様、万華鏡...



あなたのブルース 八代亜紀



時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる





P R
きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語