流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

幸せな家庭生活が妻の病死により一転、
悲しみの毎日へと変わった。
幼子を抱えて生きてゆくには
多くの人々の支えがあった。
精一杯生きる中での様々な出会いと
悲しい別れを繰り返し、
不思議な出来事にも遭遇する。
そして、そこには新たな愛が存在していた。……

Author: 壇次郎

どんぐりからの手紙 (27話)
お彼岸 1


とうとう、隆の高校受験の日が来てしまいました。
隆はどうしても英語に自信がありません。
前の晩まで一生懸命に単語を暗記していましたが、
今さら覚えられる訳もありません。
おかげで、少々寝過ぎてしまった様です。
そんな慌しい中、香絵ちゃんが来ました。
香絵 「たかし、隆、何やってんのよ! 早くしないと遅刻だよ」
隆 「駅まで走れば大丈夫だよ」
香絵 「そんなこと言ってないで、私の自転車に乗りな!」
なんと、香絵ちゃんは隆を自転車の後ろに乗せて、駅まで行くとのことです。
隆 「だめだよ、自転車の二人乗りは禁止だよ」
香絵 「バカだね! そんなこと言ってたら、遅刻するよ。
いいから早く乗りな! 立ち乗りだよ!」
香絵ちゃんは隆を自転車の後ろに乗せて数十メートル走ったでしょうか、
おぼつかない香絵ちゃんのハンドル裁きに耐えかね、
今度は隆が香絵ちゃんを自転車の後ろに乗せ、
駅まで向かうこととなりました。駅に向かう途中の商店街では、
香絵 「どいて、どいて! 急いでるんだから・・・」
八百屋 「おっ、今日はお受験だな、隆、がんばれよ!」
パン屋 「あれじゃあ、隆、テスト前に疲れきっちまうぞ!」
花屋 「意外と、いいカップルね!」
真理子 「・・・?」
岡田 「・・・?」
二人はどうにか無事に駅に着きました。

香絵 「あぁ・・・よかった、間に合った。ほら、弁当とお守りだよ」
香絵ちゃんは自ら作った弁当と、お守りを隆に渡しましたが、
なんと、そのお守りは巣鴨地蔵のお守りでした。
早朝の軽い運動が良かったのでしょうか、
隆は試験問題に集中することができ、自分の力を発揮できた様です。
そして、合格発表の日がやって来ました。
隆は発表会場の掲示板の前に立っていました。
何故か、そこには香絵ちゃんも一緒でした。
隆 「あまり、くっつかないでよ・・・」
香絵 「なに、照れてんのよ! 誰も恋人同士って見てないわよ」
隆 「事務所、忙しいのに、わざわざ来るんだから・・・」
香絵 「ほら、あったよ! 隆の名前、あったよ!」
隆 「そんなに大声出さなくたっていいよ・・・」
香絵 「すぐに、おじさんに電話、しなきゃね」

香絵ちゃんからの電話に、私は、とりあえずほっとした気持ちでしたが、
受験の日とは言え、合格発表の日とは言え、
心の底から香絵ちゃんには感謝していました。
まさに香絵ちゃんは、隆の母親代わりになっていました。
それも、兄弟でもあり、友達でもあり、
母親でもある様な関係に私たちは感謝と幸せな気持ちで
満ち溢れていました。

三月も中旬を過ぎると、確定申告も終わり、
香絵ちゃんも忙しさから開放されていました。
私は、また、香絵ちゃんを長野の実家に招待することにしました。
咲子は実家近くの墓地に私の先祖と共に眠っています。
お彼岸の墓参りをして、隆の高校合格の報告をしなければなりません。
今回、真理子さんは一緒ではありませんでしたが、
車の中は、絶えず笑い声で満ち溢れていました。

実家に着くと、いつもの様に私の父と母が出迎えてくれました。
なんだか、二人とも、また歳をとった様に感じてしまいました。
父 「隆、高校、決まったんだってなぁ、よかった、よかった・・・」
母 「香絵さん、なんだか、随分と隆が世話になっているそうで、
 本当に有難うございます」
香絵 「いいえ、私は全然、お世話してるなんて思っていませんから・・・、
 自分独りで楽しんでいるだけで、かえって迷惑かけているんですよ」
母 「まあぁ、そう言ってくれると嬉しいですよ・・・。
 どうぞ、また、ゆっくりとしていって下さいね。
 自分の家だと思って、全然遠慮しないで下さいね」

周りの山々には、まだ残雪が春の光に霞んで見えていましたが、
里の畑では、すっかり雪も消え、
農作業の準備が着々と進められていました。
私たちを出迎えてくれた両親も、農作業の途中に手を休め、
昼食を共にしたら再び作業に入るつもりでいました。
剛 「父ちゃん、俺、昼食べたら手伝うけど、今、何してるんだい?」
父 「ああ、今日は天気もいいし、土お越しをしてるよ」
剛 「じゃあ、俺、その続きでもするか・・・。
 隆と香絵ちゃんは、釣でも行くのか?」
香絵 「私、今日、おじさんの手伝いしたい! だめ?」
剛 「別にいいけど、鍬で畑を耕すんだぞ、
 でも、せっかくだから、トラクターの操縦でも教えてあげるよ」
香絵 「わー、やったー・・・。 隆、一人で行っといで!」
隆 「じゃあ、僕は化石探しに行くよ。
 うるさいのがそばにいない方が、集中出来て、収穫が多いかもね!」
香絵 「なに? 隆、うるさいのって、私のこと?」

私の両親にとっては、久しぶりの賑やかで楽しい昼食となりました。
その後、隆は化石採集に近くの川に向かい、
私と香絵ちゃんは、両親を家に残し、農作業に出かけました。
母の作業着に着替えた香絵ちゃんは、すっかり農家のお嫁さんの様です。
長靴にゴム手袋、それに、ひさしの長い帽子をかぶっている姿は、
似合い過ぎる程、似合っていて、
自然と笑いが込み上げてきてしまいます。


続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



歌は心の走馬灯、
花に例えた古い歌
 今さら聞いても仕方がないが
 何処に置いても飾っても
  歌も花も、枯れてゆく……
  人生、絵模様、万華鏡…


小林旭 / 流浪




時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる





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きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語