流れ雲

繰り返しと積み重ねの、過ぎ去る日々に、小さな希望と少しの刺激で、今を楽しくこれからも楽しく (^o^)

信じれば真実、疑えば妄想

メジャーでは無いけど、
こんな小説あっても、良いかな !!


信じれば真実、疑えば妄想……

昨日という日は歴史、
今日という日はプレゼント
明日という日はミステリー、


アングラ小説です、不快感がある方は、
読むのを中断して下さい.

幸せな家庭生活が妻の病死により一転、
悲しみの毎日へと変わった。
幼子を抱えて生きてゆくには
多くの人々の支えがあった。
精一杯生きる中での様々な出会いと
悲しい別れを繰り返し、
不思議な出来事にも遭遇する。
そして、そこには新たな愛が存在していた。……

Author: 壇次郎

どんぐりからの手紙 (追加話)
少女2


香絵 「関川先生、お久しぶりで~す」
関川 「あれっ、なんだ、香絵じゃないか、
 また、ずいぶんと色っぽくなって、
 先生、気が付かなかったよ」
香絵 「そう言ってくれるの、先生だけだわ。
 先生、まだ、教頭になれないの?」
関川 「なれないんじゃなくて、ならないんだよ。
 教頭や校長なんて仕事は、するもんじゃないよ」
香絵 「先生、全然変わってないね。安心したよ。
 ところでね、『高橋えり』って子、いるでしょ?」
関川 「いるけど、どうかしたのか?」
香絵 「最近よく、私のダーリンの店に来るんだぁ~」
関川 「なんだ? 香絵にもダーリンが出来たのか? 
 世の中、物好きな人もいるもんだねぇ・・・、
 どこの店の人だ?」
香絵 「駅前商店街の『アンティークハウス』だよ」
関川 「な~んだ。あそこなら、
 女房がこの前、たんすを買ったところだよ。
 少し虫食ってて、それがまた、いいんだってさ。
 ところで、えりがどうかしたのか?」
香絵 「なんだか、見ていて可愛そうでね。
 あまり食事していないみたいだし・・・、
 服も洗ってもらってないみたいだしね。
 どうにかしてあげられないの? ねぇ、先生・・・」
関川 「あぁ・・・。それは先生も知っているんだ。
 家庭訪問の時、母親にもお願いしてるんだけどね・・・。
 母子家庭なんだよ。母親は地方出身で、
 この辺には親類もいないそうなんだ。
 夜の仕事で、身体もきついそうだ。
 あの子の面倒をもっと見てあげたいそうなんだけど・・・」
香絵 「福祉施設とかで面倒見てあげられないの?」
関川 「そう簡単には行かないよ。
 今、別に虐待されている訳ではないしね・・・。
 学童保育も薦めているんだけど・・・。
 最近、こんなケース、多くなってきてるんだよなぁ・・・。
 毎日、ブランド物をとっかえひっかえ着て来て、
 自慢している子供もいるし・・・」
香絵 「なんか、世の中、おかしくなっちゃったんじゃない? 
 先生、どうにかしてよ・・・」

関川先生の話は、我々の想像通りでした。
えりちゃんの母親は夜の仕事の為、
えりちゃんが登校する時間は、
まだ、寝ているそうです。
えりちゃんは、何も食べずに、
学校に来るそうです。
関川先生が家庭訪問にアパートを訪れた時、
えりちゃんの母親は出勤前で、
部屋には男がいたそうです。
なんと、えりちゃんは、ずっと外の階段に
座っていたそうです。

えりちゃんが店に来る様になってから
一ヵ月程がたった日のことでした。
店を姉に任せ、私は、まりこ美容室の床の
タイルを修理していました。
そこに救急車のサイレンが聞こえてきました。
商店街の近くで交通事故があった様です。
私は気にも留めず、剥がれた床のタイルに
ボンドを塗っていました。
そんな時、私の肩が鏡の横に置いてあった、
香絵ちゃんが作ったドングリのトレイに触れました。
そのとたん、トレイは床に落ち、
どんぐりはバラバラに壊れ、床一面に飛び散りました。
その瞬間、私に不吉な予感が訪れました。

「ちょっと見てくる」と言い、
私は事故現場に走りました。
現場にはすでに救急車は無く、
警察が現場検証をしていました。
車同士、出会い頭の衝突で、
一台が弾みで歩道に乗り上げたそうです。
それに歩行者が数人巻き込まれた様子で、
割れたヘッドライトやバンパーがあちこちに
散らばっていました。
胸騒ぎが治まらない私の目に飛び込んで来たのは、
散乱している破片の中にある、
使い古した一足の子供の運動靴でした。
歩道の端の方に、ぽつんと放置してある
片方だけの運動靴は、
見覚えのある穴の開いた靴でした。
それは、あろうことか、えりちゃんの靴でした。
愛らしい靴ひとつだけが持ち主のいないまま、
そこに転がっていました。

現場警察官に搬送先の病院を聞いた私は、
急いで香絵ちゃんがいる事務所に走り、
香絵ちゃんと一緒にえりちゃんが運ばれた病院へと
向かいました。
病院に着くと、そこにはえりちゃんの母親が
すでに到着し、娘の様態を気遣っていました。
母親は出勤前であったのか、
夜の仕事独特の服装と化粧をしていました。
えりちゃんが寝ている病室の外にいた彼女は、
我々を見つけるなり、泣き出しそうな顔で
深々と頭を下げました。
我々の事はえりちゃんから聞いていたそうです。
「御礼にも伺わずすみません」と、
彼女は何度も何度も我々に頭を下げていました。
そして、一粒のどんぐりを我々に見せました。
それは病院に運ばれたえりちゃんが
ずっと握り締めていたどんぐりだそうです。
少しして、母親が病室の中に呼ばれました。
我々は、扉の向こうにいるえりちゃんが
気がかりで、たまらない気持ちでした。
「えり! えり、・・・」
えりちゃんの母親が大声で泣き叫ぶ、
悲鳴とも言える声が廊下に響きました。
母親 「えり、えり、ごめんね。
 ごめんね、えり、ごめんね・・・・、
 起きるんだよ、えり・・・、目を開けてよ、
 えり・・・、お願いだよ、えり・・・、
 ごめんよ、えり・・・」
剛 「なんてこった・・・」
香絵 「なんでだよ、こんなこと、
 あっていいのかよ。バカヤロー・・・」
その後、えりちゃんが私の店に顔を出すことは
 二度とありませんでした。
クッキーやケーキを美味しそうに
ほおばる笑顔を我々に見せてくれることは
ありませんでした。


続く

Author: 夢庵壇次郎
http://www.newvel.jp/library/pso-1967.html


愚人は過去を、賢人は現在を、狂人は未来を語る


(

ビートたけし』おまえたちは あっちにいってろ





誰にだってあるんだよ、人には言えない苦しみが。
誰にだってあるんだよ、人には言えない悲しみが。
ただ、黙っているだけなんだよ、
言えば愚痴になるから……



時は絶えず流れ、
    今、微笑む花も、明日には枯れる





P R
きれいなお風呂・宣言 

お風呂物語